米IBMの新技術、切手1枚分の大きさに約2,500万ページの書籍データ記録が可能に

      [2002/06/11]

    米IBMは、6.45平方センチ(1平方インチ)あたり1兆ビット(1テラビット)という密度で、データを記録することに成功した。これは、約2,500万ページ分の書籍データを、切手1枚分のサイズに記録できることに相当、現在最も高密度な磁気記録技術の約20倍になるという。同社の実験チームが、研究プロジェクト「Millipede(コードネーム:ミリピード、ヤスデ、との意味)」での実験で達成した。

     カンチレバー(アーム)が、極薄フィルム(記録媒体)に穴を開けて、データを読み書きする

    今回のプロジェクトでは、ナノ(1ナノメートルは1ミリの100万分の1の長さ)水準の微細な先端部を持つ「カンチレバー」と呼ばれるアーム型の装置を用い、シリコン基盤上にある薄いプラスティック・フィルムに個々のビットを表す、直径10ナノメートルという、極めて細かな「穴」をあける手法を応用した。

    カンチレバーは厚さ0.5マイクロメートル、長さ70マイクロメートルで、実験では、3ミリメートル四方の範囲に、「カンチレバー」を1,024本配列、カンチレバーの先端部の並び方が、記録媒体となるプラスティック・フィルムに対して一定の位置になるように設計されている。

    それぞれのカンチレバーが受け持つ記録領域は、1辺100マイクロメートルという微小なものだが、記録部分は、この配列の下で移動できるため、これほどの極小領域でも読み書きが可能であるほか、カンチレバーが動作する間隔が短くてすむことから、消費電力も抑えられるという。

    カンチレバーには抵抗器が搭載されており、書き込みの際には約400度に、読み取り時には約300度に加熱する。この温度差が、抵抗値を変化させ、これらの変化の値を、いわば、0と1として認識される。

    これらカンチレバー先端部のデータ転送速度は現行、毎秒数K(キロ)ビット台程度だが、同社の他の実験では、毎秒1~2M(メガ)ビットにまで高速化することも可能であることが実証されている。また、毎秒数M(メガ)ビットで動作させた場合、Millipedeの消費電力は約100ミリワットになると予想されている。

    同社によれば、2003年初頭には、さらに進んだシステムが完成することが見込まれており、7ミリメートル四方の範囲で、4,096本のアームが同時稼動、現在のフラッシュ・メモリ程度の大きさに、10~15GBのデータ容量を収めることが可能になる見通しだ。

    Millipedeプロジェクトによる技術は今後、PDAや携帯電話、多機能腕時計などのモバイル機器が収容できるデータ容量を劇的に拡大させることが予想できる。同社ではさらに、この手法を多様な分野で応用することを考えており、「ナノスケールのリソグラフィー(基板表面に、微細な回路パターンを光学的に書き込む技術)、原子や分子の操作など」を想定している。

    次世代プロセッサの必需品!? ナノテクを用いた冷却チップ
    http://pcweb.mycom.co.jp/news/2002/05/15/50.html

    【レポート】半導体製造技術のロードマップ - ナノエレクトロニクス時代に向けて
    http://pcweb.mycom.co.jp/news/2002/01/01/06.html

    米IBM
    http://www.ibm.com/

    新着記事

    特設サイトの情報

      人気記事

      一覧

        イチオシ記事

        新着記事

        特別企画

        マイナビニュースマガジン