宇宙でも環境保全が必要な時代に? - 産総研の「宇宙メンテナンスロボ」開発

      [2002/05/27]

    産業技術総合研究所(産総研)は、東京大学、NEC東芝スペースシステム、東芝と共同で、ロボットを利用し、人工衛星や軌道を保全する「宇宙環境保全システム」の基本的な技術を開発した、と発表した。

    「宇宙環境保全システム」のリファレンスミッション
    今まで、人類は数多くの人工衛星・ロケットなどを打ち上げており、その破片など、いわゆる"宇宙ゴミ"は増加の一途をたどっている。現在、地球周回軌道上には、直径10cm以上の大きさの宇宙ゴミが約9,000個もあるとされており、その相対速度は秒速10kmという超高速なもので、広大な宇宙空間では衝突の可能性は非常に低いものの、その衝突エネルギーは衛星や宇宙船などの大きな脅威となっている。この「宇宙環境保全システム」は、こういったゴミを抑制するために、平成9年度より同研究所において研究が行われているもので、従来の"使い捨て型"宇宙システムから、"保守・再生型"へと転換することを目指している。

    技術の中核となるのが、ロボット化した宇宙機「宇宙メンテナンスロボ」で、「軌道上で小型衛星を組み立てる」「衛星を捕獲して診断・保守・補給を行う」「衛星を回収して投棄する」など、まさに衛星の「ゆりかごから墓場まで」をケアする。このシステムでは、衛星はロボットで保守しやすいように、モジュール分割された状態で打ち上げられる。これを軌道上でロボットが組み立て、検査、配置などを行う。さらには定期点検も行い、必要に応じて修理も行う。そして、衛星がその寿命を迎えたときには、衛星を回収し、分解、さらには軌道外に輸送して投棄する。

    軌道上組立・保守対応小型衛星の構造。複数のミッション部、アンテナ、太陽電池パネル、それらを結合するバス部に分割されている
    ロボットによる衛星組立(太陽電池パネル取付け・展開)の様子
    軌道保全作業機による模擬衛星捕獲

    今回、同研究所は、その主要な技術である衛星の「組立」「捕獲」「ミッションモジュール交換」「分解・収納」の地上実証実験に成功した。実用化にはまだ時間が必要だが、同研究所は今後に関し、「本研究は、宇宙インフラストラクチャの構築技術、宇宙システム全体を保守・再生型へ構造転換する基盤技術、宇宙システムの低コスト化に役立つ技術を含んでおり、利用分野の開拓、研究成果の移転に努める」としている。

    産総研と東京大学、人間型ロボットのソフトウェアプラットフォームを発表
    http://pcweb.mycom.co.jp/news/2002/03/20/08.html

    産業技術総合研究所
    http://www.aist.go.jp/index_j.html

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