松下電器産業は、独自の走行系センサーに加え、世界で初めて、安全系・集塵系センサーを融合して、一般家庭の自動掃除を実現する掃除ロボット自律制御システムを開発した、と発表した。従来の掃除ロボットでは、走行効率が悪くゴミの集塵力が低かったものを、クロスパターン走行や新技術を利用した各種センサーなどによって性能を高めた、という。5月より一般家庭での実証実験が開始され、2~3年後を目処に実用化を目指す。
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今回開発された掃除ロボットは、まだ試作機の段階。丸みを帯びた、やや大型の一般的な掃除機、といった外観で、本体上部の四隅などに各種センサーを取り付けている。センサーは、超音波測距センサー・赤外線測距センサー・感圧センサーなど、50個のセンサーが搭載されており、ゴミを集める集塵系、床面や部屋形状、障害物を判断して自律走行する走行系、熱源や段差、外部からの力を判断する安全系といった系統に大別される。
掃除の際の走行では、まず部屋の壁に沿って外周走行をしたのち、障害物をさけながら縦往復走行・横往復走行を順次行い、結果的に碁盤の目状に室内を走行するクロスパターン走行を採用する。発表会のデモで使われたような、4.5畳程度の室内では92~3%をカバーし、螺旋状の走行やランダム走行など、通常考えられるそのほかの走行パターンと比べて走行効率が高いという。
障害物回避には、近距離(20cm程度)用の赤外線センサー、遠距離(50cm程度)用の超音波センサー、バンパー部の感圧センサーの3種類のセンサーを利用し、障害物や壁に対して、10~15cm程度の余裕を持って回避する。それらのセンサーは3cm以上の幅のあるものを認識できる。
碁盤の目状に走行するにあたって重要なのは、できる限りまっすぐ進むことで、航空機にも利用されるジャイロセンサーを搭載し、方向を検知して正確な角度のターンと直進走行を可能にした。それ以外にも、特にカーペットには目があり、普通に走行しては、ゴルフのグリーンの芝目のように一定方向に流されてしまう。それを回避するために、このロボットには角度検出器を利用したラダーセンサーを搭載し、できる限り直進するよう設計されている。
確実性・安全性にも配慮し、段差センサー・熱センサー・重量センサーなどが搭載される。段差センサーは、6cm以上の落差を段差と判断し、直前で転落をさけるために停止して方向を転換する。熱センサーは、ストーブのような熱源を判断し、通常の10~15cmとは異なり、熱源の手前50cmで方向を変える。重量センサーでは、特に子供がいたずらでロボットの上に乗ってしまった場合など、ロボット上に一定の重量がかかった場合に緊急停止する仕組み。ほかにも、スリップセンサー、モーター過負荷センサーなどが異常を検知し、自動停止と異常報知を行う。
肝心の掃除能力だが、ゴミセンサーを搭載しており、一定のゴミの固まりを見つけると、走行速度を低下させ、代わりに吸引力を増加させる、という仕組みにより、エネルギーを有効利用し、長時間運転を可能にするとともに、確実なゴミの吸引を行う。もちろん壁際や家具の隙間などは掃除できないため、あくまで掃除の補助としての利用になるが、日々の簡単な床掃除をロボットに任せ、週末などは念入りに隅々を掃除する、などというのが最適な利用方法だろう。
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こういったセンサーを融合した、障害物回避や姿勢制御などを行うアルゴリズムによるセンサー融合型の自律制御システムは世界初だという。松下電器産業取締役 電化・住設社社長・林義孝氏は、暮らしをさらに快適にし、家事を自動化するためのサービス・製品の一環で、自律制御システムを掃除ロボットに応用した、と述べ、この自律制御システムを活用し、家事ロボットや、留守宅を監視する見守りロボットなどといった将来的な事業展開の夢を語る。今回はパソコンやネットワークとの接続機能はないものの、今後の展開として、携帯電話から指示を出して家の中を監視する、などといったロボットが考えられるという。
こうしたロボットは、同社は2年ほど前より研究開発を続けてきたとのことで、総開発費は人件費を除いて2億円程度、現時点では1台数百万円もする。もちろんこの価格は量産段階に入れば下がり、製品化の段階では「50万円程度が希望」(松下電器産業電化・住設社エコクリーンライフ事業部事業部長・林精造氏)だという。
本体サイズは367(L)×292(W)×265(H)、9.8kgで、連続使用時間は約55分、充電時間は約2時間。清掃性能は80平方メートル/55分、走行速度30cm/s、8ビットおよび16ビットのマイコンを2個ずつ搭載する。
同社では、5月からの実家庭での実証実験を前に、25日よりモニター募集を開始している。モニターは無償でロボットが貸し出され、使用後にレポートを提出する必要がある。貸し出されるロボットは当初4台だが、状況に応じて順次提供台数を増やしていく予定。また、同ロボットは4月11日より開催される展示会「バリアフリー2002」に出展される。
同様のロボットは、三洋電機が2001年のロボフェスタ神奈川で展示を行うなどしており、家事の手間を削減したり、体力の衰えた高齢者の掃除を補助したりするなど、エンターテインメントだけでなく、日常で役立つロボットが今後さらに登場してくることだろう。
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