どうなる、ニフティ? 「金の卵」めぐる、ソニー、富士通それぞれの思惑

  [2002/01/23]

「ソニーがニフティを買収へ」昨年末、1部で突然報道されたこのニュースは大きな注目を集めたが、ニフティの親会社である富士通の秋草直之社長は、依然として、「まだなにも決定していないこと」とのコメントを繰り返すばかりだ。

1月17日に行われた富士通の記者懇親会の席上でも、最も多くの記者に囲まれたのが秋草社長で、同社のリストラ問題の行方とともに、ニフティ買収に関する質問が何度も飛び交った。だが、結果として、ニフティ買収については、その度に、同じく「なにも決まっていないこと」というコメントを繰り返すに終わっている。

ただ、水面下では、関係者の間で、いくつかの噂が囁かれている。ひとつは、富士通側が、ニフティの売却を迫られるほど業績が悪化しているという実態だ。同社は、ニフティへの共同出資者だった日商岩井から株を買い取り、ニフティを100%子会社とし、今後の事業戦略で重要な位置づけを担うとされたが、富士通全体では、今年度は赤字転落が確実になっているとともに、来年度以降も全世界規模での半導体需要の低迷、IT投資の抑制という流れがみえているだけに、日米欧の3極体制をとる同社としても、先行きは厳しいといわざるを得ない。そうしたなか、売却するとなれば、最も価値があるニフティを手放す選択肢が浮上するのは当然との見方だ。企業としての価値が大きい、現時点での同社売却が、富士通の経営体質の改善に大きく寄与することになるのは間違いない。

ふたつめには、ソニーが、プロバイダー事業に触手を伸ばしていたという点だ。同社が今後コンシューマー向け事業を拡大する上では、国内最大規模のプロバイダーを目指すのは当然の成り行きだ。昨年、ジャストシステムからジャストネット事業を買収した際にも、一度、ソニーはニフティにも買収の話を持ちかけたという話がまことしやかに流れている。

特に、ニフティの場合は、単に会員数が多いというだけのメリットだけではなく、クレジットカードで決済ができる「優良顧客」を約500万人も有しているという点が見逃せない。この「資産」を獲得するソニーのメリットは計り知れないだろう。今後、コンテンツ事業でも収益をあげたいソニーグループの戦略的な買収という点では納得できる部分が大きい。

実は、一部報道にあった1,000億円といわれる買収費用については、ソニー側が提示したものだとの観測もあり、富士通側では、もう少し高い金額で売却したいという思惑もあるようだ。

そして、第3点目には、ソニーにニフティを売却した後も、富士通には大きなメリットが残るという点だ。ニフティで利用しているサーバー、ネットワーク機器は、すべて富士通製のものである。企業向けのFENICSとの関連性を、今後、どう位置づけるかという問題もあるが、もし、FENICS部分を富士通に残すということならば、そのニフティの運用管理およびシステムの拡張といったソリューション案件は、すべて富士通が「受注」を獲得するということになる。

場合によっては、ソニーが、So-netまでをニフティと同じインフラへと統合するのであれば、巨大なプロバイダー事業のシステム運用管理を、富士通がソリューション事業として請け負うことができるようになるというわけだ。

富士通・秋草社長も、「仮にニフティが独立したとしても、ソリューション案件では、当社の優良顧客になることは間違いない」とコメントする。収益性の高いソリューション事業の大型顧客の獲得という意味での富士通のメリットは大きいだろう。ソニーによるニフティの買収に関しては、2月にも正式な内容が発表される公算が強い、との見方が一部では出ている。はたして、行方はどうなるのか。ここ数か月でその回答が出されることになりそうだ。

(中上真吾)

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