【WISS2001レポート】実演を交えたポスター/デモセッション

      [2001/12/13]

    ○実演を交えたポスター/デモセッション

    中央が寺田氏。左から、大阪大学塚本助教授、寺田氏、中村氏

    夕食後には、ポスター&デモセッション1が行われた。翌日のセッション2とあわせてご紹介しよう。

    デモセッションでの白眉は、なんといってもデモセッションの優秀賞を獲得した「ツカモトバンドによるモバイル楽器の実演」だろう。

    大阪大学サイバーメディアセンターの寺田努氏、大阪大学大学院工学研究科の塚本昌彦助教授、大阪大学大学院工学研究科の中村聡史氏、阪大OB(現在NTT)の柳沢豊氏らによる演奏バンド。寺田努氏は、7日のセッションで発表をし、歌まで披露するという型破りな発表で会場中を沸かせたのだが、マルチメディア時代、研究者は「歌って」「踊れる」時代になってきたのだ。

    モバイル機器での楽器再現とは、モバイル機器を楽器に見立てて、通常の楽器と同じように演奏できるようにしたものをいう。

    実際に作られていたのは、エレキベース、ギター、ドラムの3つである。ベースは、ふたつのPDAをシリアルクロスケーブルで直結し、ベースのフレット部分(左手)と弦部分(右手)を再現している。フレットに相当するPDAでコードを押さえ、弦に相当するPDAで弦をつま弾くことで演奏を行う。

    ドラムは、テーブルに配置した複数のPDA1台1台が、それぞれ異なる音の太鼓やシンバルになっている。

    ドラムを再現したPDA群。床にも足でたたくドラムを再現。もちろん、足で叩いて使用する

     

    ドラムとエレキベースは、本物の楽器と全く同じインタフェースを再現することをめざしてたものである。したがって、楽器を扱えない人にとっては、PDAとなっても扱えない。テンキーとノートPCを使って実現したギターの場合には、少しコンセプトが異なる。ギターはテンキーひとつひとつに、C/D/E/F/G/A/Bのコードを割り当ててあるのだ。通常のギターでは、弦全体を押さえつけるようにして演奏する「F」とか「Bm」のようなコードでも、このモバイル楽器ならテンキーを押すだけで簡単に押さえられるのである。

    実は筆者はかつてギターを練習していたが、どうしても握力が足りなくて、弦を押さえられず、結局挫折した過去をもつ。けっこう弦というのは堅いので、指先が荒れたりするのである。でも、このギターならそのようなハード的な制約がないので、非力な人でもギター演奏をできるようになるかもしれない。

    手前から大阪大学塚本助教授、寺田氏、中村氏。中央の寺田氏がもっているのがベースギターを再現した2台のPDA。構え方はベースギターと同じである。奥の中村氏は、フラットに相当するテンキーと弦に相当するノートPCとでギターを再現した
    「ツカモトバンド」は、デモセッションの最優秀賞を獲得。表彰された

    寺田氏によれば、モバイル機器での楽器の再現は、「音楽を能動的に楽しむエンターテインメント」をめざしたものなのだそうだ。楽器を使う音楽は、演奏に場所の制約を受けてしまう。「場所を問わずに楽しみたい」というのが、発想のきっかけにあるという。

    技術的には、ソフトMIDIはまともな音が出ず、MIDIはPDAではいまのところ扱えないので、WAVEファイルを使ってサンプリング音を用意しているということ。

    音程テクニックを再現するためには、PDAではまだ少ない複数点入力が必要かもしれないとのことであった。現在はソニーCSLの松下氏が1999年に発表した2点を検出する方法(PDAの画面で2点を押さえると、その中間が入力点になるという)を使用しているという。

    有線LAN/無線LANは、応答が遅いので、クロスケーブルでの実装になっているとのことであった。

    会場からは「ケータイで音楽ができるようになると、電車の中でいきなり演奏する人が出てくるのかなぁ」などという反応も出ていたが、ともかく歌う研究者の迫力には圧倒されていた。

    (美崎薫)

    その他のデモセッションの発表から。日立製作所デザイン本部塚田有人氏、星野剛史氏による2層のタッチパネルを有する入力画面。赤外線と静電容量による2層のタッチパネルで、指が近づいたことを赤外線タッチパネルで感知し、近づいた部分をズームアップ、静電容量によるタッチパネルで入力を行うというように使用する
    指を近づけた部分がズームアップされ、たいへん見やすい。すぐにでも公共端末に全面採用してほしいくらいのできである

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    WISS2001レポート
    http://pcweb.mycom.co.jp/news/special/2001/12/12/01.html

    WISS
    http://www.wiss.org/

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