○WISS2001、淡路島で開催
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| 大阪大学の塚本昌彦先生。WISS2001の運営委員長でもあり、ウェアラブルな装備とうらはらな物腰の柔らかな人柄で、「近寄りがたさ」と「人を引きつける魅力」を同時に発散する |
日本ソフトウェア科学会のインタラクティブシステムとソフトウェア(ISS)研究会は、1993年から、毎年冬にワークショップ(WISS)を開催している。2001年末のワークショップは、12月5日から7日までの3日間、淡路島で行われた。
インタラクティブシステムというのは、コンピュータと人間とをとりもつ環境、いわゆるHMI(Human Machine Interface)をテーマとする研究テーマである。
HMIには、GUI、アルゴリズムアニメーション、視覚的プログラミング、 マルチメディア用言語、人工現実、CSCW、人工知能、ロボティクスなど、さまざまなジャンルが含まれる。このHMI関係の研究者が集い、インタラクティブシステムの構成原理/構成法、ソフトウェア技術について議論することを目的としているのである。
つまり、平たくいえば、ここで発表されたアイデアが、次世代のコンピュータを使いやすくする要素技術として使われる可能性がもっとも高い、ということだ。
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| 奈良先端科学技術大学院大学 情報科学研究科 知能情報処理学講座の河野恭之助教授。「ウェアラブルは、記憶を補助するための技術。見たものすべてを記憶し、それを抜き出して検索可能にすることで、やがて記憶にたどり着くのだ」という |
○身の回りで使われるコンピュータのために
いま、HMIのジャンルが急速に注目を集めるのには、理由がある。
その理由とは、取りも直さず、コンピュータが、たいへんな普及を始めた、ということに尽きる。デスクトップのPCや、ノートPCだけでなく、携帯電話がインターネットにつながり始めた。そしてケータイを契機に、もっとさまざまなものが、身の回りにあふれ始め、ネットワークにつながっていこうとしているのである。ビデオ、テレビ、冷蔵庫、電子レンジ、エアコン、カメラ、ロボットetc. etc.
このような多様なものがつながるようになってくると、従来からコンピュータを操作するために使われてきた「キーボード」と「マウス」では、あまりにも不都合が多すぎる、ということになってくる。キーボードはキースイッチが多数ついていて、初心者には脅迫的だし、マウスの相対座標操作は一般的な道具には類似するものがなく、慣れにくい、というわけだ。
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| WISS2001ウェアラブル5人衆。右から、大阪大学西尾研究室中村聡史氏、大阪大学塚本昌彦助教授、奈良先端科学技術大学院大学河野恭之助教授、インテック・ウェブ・アンド・ゲノム・インフォマティクス技術部 堀雅和氏と橋本隆之氏 |
○求められる新しいインタフェースの研究
そこで求められているのが、新しいインタフェースである。WISS2001では、そうしたインタフェースを、音声、入力支援、三次元、入力デバイス、WWW、検索、実世界指向の8ジャンルにわけ、合計で34種にも及ぶ多数の発表とデモが行われた。このデモがすごい。
デモセッション担当のNTTドコモマルチメディア研究所福本雅朗氏が「通常の学会と異なり、インタラクティブデモに力を入れております」と太鼓判を押すとおり、さまざまな機器が持ち込まれ、実際に動作している状態を目の当たりにすることができた。ちなみに、この福本氏も、指輪型の和音キーボードとか、ブルブル震える液晶ディスプレイつきのPalmとか、今回発表になったMMMという次世代通信端末のコアシステムを研究していて、その筋では有名な研究者である。
後述するが、デモのためのデモというより、生活に密着したデモとでもいったらよいだろうか。「ウェアラブル人間」として知られる大阪大学の塚本昌彦先生の発表など、他では見られないものを、数多く見てしまった。
ケータイの次はウェアラブルだ、などという声も聞こえる昨今だが、いや、なんというか、実際のウェアラブルというのは、相当にすごい。間近に見ると、近寄りがたい雰囲気も醸し出す感じだ。写真もあるので、ご自分でご判断されたい。また、ここで発表された研究の多くは、実際にWeb上にサンプルプログラムが公開されていることも多いので、実際に使って試すことができるようになっている。けっこうおすすめがあるので、試してみてほしい。
なお、ソフトについて、蛇足ながらつけ加えておくことがある。ソフトのなかにはすぐにも実用になるようなものもないではないが、基本的には研究用のサンプルプログラムである。そのため、そのソフトの使い方やダウンロード方法などの、あまりにも初歩的な質問を研究者の方に問い合わせたりすることは、やめた方がよい。そのような初歩的な質問は、残念ながら、あまり有益とはいえず、そのような質問がくることで研究が中断されたり疎外されたりすれば、最終的には「使いやすい環境」が実現しないで割を食うのは、エンドユーザーである質問者自身、ということになってしまうからだ。
使ってみたら、「これはすごい」ということを感じて、そのすごさを伝え、実際に商品を作るメーカーに働きかけて、すごいソフトを含む環境を実現させる、というのが、もっともよいフィードバックとなるだろう。
とはいえ、筆者自身もその目で見てみたが、ほんとにすごいものも少なくない。
(美崎薫)
WISS
http://www.wiss.org/
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