【レポート】地域の医療福祉にウェッブ技術ができること、なすべきこと(2)

○リハビリテーション法第508条

アクセシビリティとは、要は障害のある人でも誰でも利用できるかどうか、その利用しやすさ、アクセスしやすさ、ということである。第508条では、連邦政府が調達、使用する製品や、市民に提供する情報、サービスに対して、障害を持つ政府職員・一般市民が健常者と同等にアクセスできるようにすることを義務付けている。また、関連する法律で州政府や教育機関など、連邦政府から補助金を受けているすべての組織に第508条が適用される。

この第508条の施行規則にあたる「電子・情報技術アクセシビリティ基準」が2001年6月に実施された。Webサイトのアクセシビリティについても具体的に規定され、非テキスト要素に対する代替テキストの提供、アシスティブ・テクノロジーを使っても電子フォームが利用できることの保証など、16項目が挙げられている。

第508条は、単なる努力目標でなく、強制力を有する。政府が基準を満たしていない場合、それを理由に個人が訴訟を起こすことができる。第508条は民間サイトには適用されないが、米国最大のコンシューマであり、2万以上のサイトを抱える政府がアクセシビリティ強化を打ち出したことで、民間サイトでも自発的なアクセシビリティの見直しがかけられ始めている。また、FrontPage、Dreamweaver、GoLiveのようなWebオーサリングツールの新バージョンには、アクセシビリティ関連の属性をダイアログで設定するような機能や、アクセシビリティ・チェッカーなどが搭載されている。

○ITを活用した障害者の高等教育

第508条では障害を持った政府職員の業務上のアクセシビリティに多く言及されている。裏を返せば、米国では公の機関で働く障害者が多数存在するからこそ、そのアクセシビリティが問題になっていると言える。日本では、政府、企業の第一線で活躍している障害者がまだ少ない。また、その前段階として大学などで高等教育を受けている障害者の数も少ない。英国や米国においては、高等教育の場での障害者の学習支援が充実しており、それが社会で活躍する人材育成につながっている。広瀬氏より事例として挙げられた英国のオープンユニバーシティは、日本の放送大学のモデルとなったもので、世界中の在学者20万人のうち、約7,000人が障害者である。1970年の開学当初から、テキストの朗読テープの送付などの支援が積極的に行われ、現在では学習教材の電子化などで、さらに支援体制が整っている。

試験などの学習評価においても点字、拡大文字の使用、試験の超過時間などの猶予が設けられている。その一方、学習評価自体は健常者と同じレベルで行われ、教育の質が保たれている。また、放送大学以外の一般の大学でも、障害者の受け入れ体制が整っており、障害を持つ学生が入学した場合、専門のカウンセラーによって必要なアシスティブ・テクノロジーが案内され、十分な支援体制のもとに教育を受けることができる。大学教官向けには、自分のクラスに障害を持つ学生が入ってきた場合に即座に対応できるようなガイドラインが案内されている。このような支援体制の結果、一般社会で活躍できる人材が輩出され、アクセシビリティ関連の法案やガイドライン制作の場でも活躍している。

○日本の対応

日本の場合は、障害者に対して長らく慈善的な保護政策が取れれていたため、障害者イコール情報弱者という図式ができあがっている。しかしITこそ障害者の障壁を取り払う有効な手段のはずだ。外出が困難な障害者や、言語障害などでコミュニケーションを取りづらい障害者でも、インターネットを活用することで、健常者と同じ立場に立てる。逆に、電子投票や、電子入札制度などから障害者が阻害されれば、死活問題にもなる。政府もこのような点を忘れているわけではない。まだ日本では障害者のITの活用を促進するための法律や、具体的なガイドラインが制定されていないが、JIS規格にアクセシビリティ関連の項目の追加が検討されるなど、デジタルデバイドを取り払う努力が徐々に広まりつつある。「米国がクシャミをすれば日本が風邪を引く」というような話は、繰り返し語られてきたが、こんな場合は日本も素直に風邪を引いてくれても良いのではないかと思う。

障害者は社会の片隅に閉じこもっているだけの人間ではない。私の知人だけでも、障害を持ったSE、Webデザイナー、銀行員、企業の人事・購買担当者、主婦など、さまざまな人がいる。今、このページを閲覧している人の中にも、あなたの会社のページを閲覧している人の中にも、障害者は必ずいる。そして、自分が閲覧しにくいようなサイトからは、ユーザーは離れる。この不況の世の中で、貴重なビジネスチャンスを逃すようなことは得策ではないと思うのだが、いかがなものであろうか。

(石田優子)

関連記事
【レポート】地域の医療福祉にウェッブ技術ができること、なすべきこと(1)
http://pcweb.mycom.co.jp/news/2001/12/05/05.html

第21回医療情報学連合大会
http://jcmi2001.umin.ac.jp/



転職ノウハウ

あなたが本領発揮できる仕事を診断
あなたの仕事適性診断

シゴト性格・弱点が20の質問でサクッと分かる!

「仕事辞めたい……」その理由は?
「仕事辞めたい……」その理由は?

71%の人が仕事を辞めたいと思った経験あり。その理由と対処法は?

3年後の年収どうなる? 年収予報
3年後の年収どうなる? 年収予報

今の年収は適正? 3年後は? あなたの年収をデータに基づき予報します。

激務な職場を辞めたいが、美女が邪魔して辞められない
激務な職場を辞めたいが、美女が邪魔して辞められない

美人上司と可愛い過ぎる後輩に挟まれるエンジニアの悩み

人気記事

一覧

イチオシ記事

新着記事

求人情報