【レポート】地域の医療福祉にウェッブ技術ができること、なすべきこと(1)

第21回医療情報学連合大会が、11月26日から28日の3日間、東京ファッションタウンで開催された。今年のテーマは「ITによる新世紀の医療」。ITによる医療技術の革新や、医療・福祉支援システムなどについて、講演、シンポジウム、企業展示などが行われた。この中で、一般技術者、Webデザイナーにとっても関連の深いワークショップ「地域の医療福祉にウェッブ技術ができること、なすべきこと」について報告する。

○地域の医療福祉にウェッブ技術ができること、なすべきこと

このワークショップでは、Webサイトを利用する上で障害者や高齢者が直面する問題とその対策、事例などについて議論された。まず、中部学院大学の井村保氏の「医療福祉のための情報アクセスを目指す支援技術 - 現状と課題」により、医療現場でのWeb使用の利点と問題点が指摘された。次に、日本アイ・ビー・エムの飯塚慎司氏より「高齢者、障害者のためのWebのバリアフリー化と支援技術について」として、障害者や高齢者がWebサイトを閲覧する上での障壁とそれを補う技術が説明された。続いて、これらの技術の実装を促す法的手段について、私、石田優子が「米国リハビリテーション法 第508条の電子・情報技術アクセシビリティ基準」を発表した。さらに、ITによる支援技術を実際に活用している例として、メディア教育開発センターの広瀬洋子氏より「英国オープンユニバーシティに学ぶメディアを活用した障害者の高等教育」が紹介された。最後に、川崎医療福祉大学大学院の樫部公一氏よりXMLとSMILを利用した「医療従事者のためのウェブ対応・手話学習システム」が発表された。

○障害者に対するWebの障壁

ひとくちに障害者といってもその範囲は広い。身体障害に限っても、視覚障害、色覚障害、聴覚障害、四肢障害など、さまざまな障害があり、それぞれITに対するニーズも異なる。たとえば視覚障害者がWebページを閲覧する場合、画面読み上げソフトや点字ピンディスプレイによってテキストを読み取る。このため、画像、動画などにテキストの解説が付いていないと、情報を得られない。HTMLのalt属性で代替テキストを付けることは一般化しているが、イラストや罫線などにいちいち代替テキストが付いていると、その都度余分な情報が読み上げられて煩わしい。また、画像のナビゲーションバーをサイトの上下に付けたデザインでは、ページを繰るたびに同じナビゲーションの説明、たとえば、「ホーム」「ニュース」「会社案内」「製品情報」「サポート」のようなテキストが読み上げられてしまうので、視覚障害者の不満の上位に入っている。この場合は、ナビゲーションをスキップして本文に移動できるようにリンクを付けることなどが提案されている。

弱視の場合は、小さな文字や図が見えず、視野が狭いため、画面全体または一部を拡大表示するソフトが利用される。色覚障害では、赤地に緑色の文字など、配色によって文字が見えにくくなる。背景と文字色のコントラストを強くするなど配色を工夫するとともに、スタイルシートによって、テキスト自体と色や文字サイズを別々に設定し、ユーザーが自分に合ったスタイルに切り替えることができるようにすると便利だ。

聴覚障害者の場合は、音声、あるいは講演ビデオのような音声付動画から情報を得られないので、字幕を付けたり、別にテキストの解説を用意する必要がある。

上肢障害などでは、指や腕が動かないために、キーボードやマウス操作が難しい。マウスの代わりにトラックボールを使用したり、口にスティックをくわえる、手にスティックを固定するなどしてキーボードを操作するための補助装置を使う人がいる。基本としては、多くの補助装置がキーボード操作を利用しているので、キーボードのみで扱えるようなデザインが有効だ。JavaScriptのプルダウンメニューなどは、マウスの微妙な動きを必要とするので、操作困難な人が多い。また、JavaScriptに未対応の音声ブラウザも多いので、JavaScriptオフ用の情報を用意しておく必要がある。

このように、Webサイトの利用には、障害者にとっていろいろ障壁があり、それを乗り越えるためのアシスティブ・テクノロジー(支援技術)が開発されている。Webサイト制作者側での作業といえば、これらの支援技術を利用できるように、HTMLの要素や属性を追加したり、内容と構造を切り分けるといった、既存の技術で解決できるものが大半だ。しかし、少数の障害者のために、Webサイトを改変することを躊躇するサイト運営者も多いだろう。実際には、色覚障害のように全男性の5%程度を占める障害もあり、高齢による弱視などを含めると、マーケットとして無視できる数でもない。しかし面倒なものは面倒だ。そこで、少なくとも公の機関については、アクセシビリティ(accessibility)の保証を義務付けようというのが、米国で今年本格的に実施されたリハビリテーション法 第508条だ。

(石田優子)

【レポート】地域の医療福祉にウェッブ技術ができること、なすべきこと(2)
http://pcweb.mycom.co.jp/news/2001/12/05/06.html
に続きます。



転職ノウハウ

あなたが本領発揮できる仕事を診断
あなたの仕事適性診断

シゴト性格・弱点が20の質問でサクッと分かる!

「仕事辞めたい……」その理由は?
「仕事辞めたい……」その理由は?

71%の人が仕事を辞めたいと思った経験あり。その理由と対処法は?

3年後の年収どうなる? 年収予報
3年後の年収どうなる? 年収予報

今の年収は適正? 3年後は? あなたの年収をデータに基づき予報します。

激務な職場を辞めたいが、美女が邪魔して辞められない
激務な職場を辞めたいが、美女が邪魔して辞められない

美人上司と可愛い過ぎる後輩に挟まれるエンジニアの悩み

人気記事

一覧

イチオシ記事

新着記事

求人情報