【Comdex Fall/2001レポート】Treoで独自路線を行くHandspring

      [2001/11/15]

    Palm OS勢の中では、HandspringのCEO、Jeff Hawkins氏が基調講演を行った。

    Hawkins氏は、まずポータブル・コンピューティング・デバイスの歴史について個人的なコメントを加えながら振り返った。OsborneやGrid Compass、Grid Padなど、約20年前からのポータブルデバイス(現在のノートPCの10倍近い重さの製品だが……)をスライドで解説する。面白くなるのはAppleのNewtonが登場するぐらいからだ。Newton以降様々なハンドヘルド・デバイスが市場に登場するが、ことごとく失敗した。その原因の一つとしてHawkins氏は、Microsoftとの関係を指摘する。Microsoftと競合するような形で、新しい市場を開拓するのは非常に難しいと述べる。だから、96年にPalm Pilotを出した時には、「これはPCの周辺機器の一つなんです」と、Windowsを手助けするデバイスであることを強調したそうだ。それからPalmはハンドヘルド市場を形成し、Palm Vを出した時に初めてMicrosoftがPalmをライバルと捉えるようになったと述べる。そして、現在のPalmとPocket PCの争いとなる。Hawkins氏は、特にPocket PCについてはコメントしなかったが、Pocket PCが登場した時のエピソードを一つ紹介した。「最初、Pocket PCは、Palm PCという名前になる予定だった。それは、いくら何でも……と私たちは思ったが、Microsoftは『それは木(パームツリー)にちなんで付けたんだ』(Steve Ballmarの真似で)と言うんだ。本当の話だよ」。

    シンプルな講演だったがスピーチが上手く聴衆は聞き入っていた
    20年でノートPCのデザインは向上したが……

    過去から現在へと振り返えるのに講演の半分近くを費やしたが、ポイントはその先の未来である。Hawkins氏は、20年前と現在のノートPCの写真を比較して、ハードウエアのデザインは飛躍的に向上したが、ユーザーインターフェースはほとんど進化していないことを指摘する。これはGUIが優秀な発明だったこともあるだろうが、GUIが便利すぎて、そこから進化できなくなっている可能性もあると述べる。この状況を鉄道に例えて、「かって鉄道は自分たちが輸送ビジネスに属していることを自覚していなかった。だから航空や車など次の波に乗れなかった。もし私たちが進化する努力を惜しめば、同じことが私たちにも起こりえる」と警告する。

    Handspringが来年に発売するTreoは、Hawkins氏の一つの解答である。現在のポータブル・デバイスの重要な要素として、サイズ、使いやすさ、信頼性、ソフトウエアを挙げる。この4つを満たしながら、PDA、携帯電話、ショートメッセージという3つの機能をコンパクトにまとめたのがTreoだ。

    Hawkins氏は、「モバイル・コンピューティングはつきつめればコミュニケーションだ」と述べる。例えばVisorのメイン機能であるPIMは、モバイル環境ではEメールを送ったり、携帯で電話をかけるために使われることがほとんどだ。それならば、それらの機能を一つにまとめた方がよい、という考えからTreoは生まれた。将来はさらにこの傾向が強まり、ユビキタス環境の中でコミュニケーション・デバイスはさらに小さく、より優れた製品になると述べる。

    Treoが束ねた3つのデバイスのユーザー数
    同じ作業をやってもTreoはステップ数が少ない

    講演終了後に感じたのは、Hawkins氏が意外なほどにPalm OSに固執していないことだ。Palm OSを利用しても、もはやHawkins氏の頭の中にはPalm OSを中心にした製品プランはないようだ。TreoはHawkins氏にとって新たな挑戦であり、それゆえに、もしTreoが失敗したらHandspringは非常に苦しい状況に追い込まれるだろう。逆にTreoが成功した場合、Treoに続いてどのような製品をHawkins氏が出してくるか楽しみになる。

    (Yoichi Yamashita)

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