○すべてがデジタルになる
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| 講演に先だって、ネグロポンテ氏が紹介された |
現在のコンピュータやインターネットのコンセプト的バックボーンとなった何人かのうちの代表的なひとりに、MITメディア・ラボのニコラス・ネグロポンテ(Nicholas
P. Negroponte)所長を挙げたとして、異論のある方は少ないと思う。メディア・ラボの開設以来、精力的に未来についてイメージを語り、コンピュータの未来をかいま見せてきたのが、まさにネグロポンテ所長だ。
1995年に刊行された「ビーイング・デジタル」には、「すべてがデジタルに統合されていく」というイメージが登場している。いわゆるHDTVとか情報スーパーハイウェイといった言葉の震源は、みんなこのネグロポンテ所長なのだ。
「失われた10年」。アメリカで起こった同時テロやそれに続く戦争。IT不況、パーソナルコンピュータの販売数の頭打ちなど、コンピュータのまわりの話題は、暗いものが多い。
だが、「夜明け前の闇はいちばん暗い」のであって、ふとまわりを見渡すと、パーソナル・ロボット、2足歩行ロボット、コンピュータ内蔵家電、それにどこにでもコンピュータがある状態 --ユービキタス・コンピューティング-- など、次世代を見据えた新しい技術やコンセプトは、次々と誕生している。実は、話題ほど暗いことばかりではないのではないか、と思うのだ。
次世代を見ていくためには、「未来を見ることのできる」ビジョナーの存在が不可欠だ。そのビジョナーのひとりが、いうまでもなく、ニコラス・ネグロポンテ所長だ。
○夢を語り、未来を作る
そのニコラス・ネグロポンテ所長が、来日して講演をすることになった。株式会社インフォマティクスの20周年記念講演会としてである。
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| インフォマティクス社代表取締役の長島雅則社長。MITで学んだ、ネグロポンテ教授の弟子である |
インフォマティクスは、地理情報、建築、土木分野を専門とするソフトウェアハウスである。コンシューマ市場ではないが、2次元/3次元CADシステムの「MicroGDS
V7.0」、3Dにテクスチャを貼りつける3Dペイントレンダリングシステム「Piranesi」などを販売する。
建築専門ソフトと未来コンピュータアーキテクチャー。ちょっと畑違いな感じで、どういうつながりなのかと不思議に感じると思う。その疑問はあっさり解決した。インフォマティクスの代表取締役である長島雅則社長が、ネグロポンテ所長の教え子だというのである。
MITで長島社長がもっとも印象に残っているできごとが、ネグロポンテ所長と「夢を語った」ことであり、いま必要なことも「夢を語ることであろう」というのだ。教育ってすごいよな、と思う。MITでコンピュータアーキテクチャーを学んだ人間が、長じてコンピュータソフトウェアの会社で成功を収める。これこそまさに、未来を作る仕事ではないか。
○驚愕のプレゼンテーション!
「未来を見る」ために必要なことは、「いまとは違う」ことを肯定することである。ネグロポンテ所長の講演は、いきなりその事実をつきつけられた。
昨今、プレゼンテーションといえば、PowerPointできれいな電子紙芝居をめくりながら行うもの、と相場が決まっているようだ。どこにいっても、大画面のスクリーンに、見慣れたウィンドウズの画面が現れ、「ジャジャーン」とオープニングが鳴り響き、プレゼンテーションが終わると、サムネイルが現れる。しばしば「青い画面」が出てくることもあるけれど。
DTPR(デスクトッププレゼンテーション)という言葉が登場し始めた1990年ごろに較べると、すっかり日本人のプレゼンテーション能力もアップしてきた昨今である。絵に描いたような(ほんとうに描いただけの)未来を見せられて、その気になることも多い。
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| 真打ちネグロポンテ所長。なんと、生身のプレゼンテーションで、熱く「語った」 |
だが、さすがは(?)ネグロポンテ所長。プレゼンテーションのスタイルから、すでに「違って」いた。
使用したのは、ピンマイクのみ。話だけで聴衆を引きつける魅力は、「世界でもっとも集金力のある」メディア・ラボ所長の面目躍如たるものがあった。生身の言葉がもっとも力強い、ということを再確認した講演だった。
ここで大切なことは、いくら「いまとは違う」ことが未来への第一歩だからといって、単に奇をてらっただけでは、未来は見えないということである。
○「紙芝居」では未来は見えない!?
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| ちなみに、記念講演には、もうひとり、ケンブリッジ大学チャーチル・カレッジのポール・リッチェンス副学長も招かれていた。リッチェンス副学長は、インフォマティクス社のイギリス支社でアドバイザーもしているという |
映像と文学を比較すると、映像が具象的であるのに対し、文字は抽象的で想像力を刺激する、といわれる。この点でいえば、プレゼンテーションソフトで作った紙芝居は、具体的ではあっても、どこか限定的だ。
いっぽうの、言葉として話されたキーワードは、捉えにくいこともあるが、うまく発想を刺激された場合には、紙芝居以上に新しいものを生み出すきっかけとなる可能性がある。実際に、「教え子」の発展を目の当たりにすれば、いかに言葉が重要かがわかろうというものである。
教え子の会社の記念シンポジウムということもあって、非常にプライベートな雰囲気で講演は進んだ。
【レポート】Beyond Being Digital -ニコラス・ネグロポンテ-(2) に続きます
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インフォマティクス
MITメディアラボ
http://www.media.mit.edu/
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