【レポート】つま先を持つ2足歩行ロボット 川田工業が開発した「isamu」

      [2001/11/12]
    公開された「isamu」は身長約1.5mのサイズ。クラシカルなイメージがする外観だ。なおデモンストレーションはヘリコプターが駐機する格納庫内で行われた

    11月8日、川田工業は、栃木県芳賀郡にある同社のヘリ・テクノロジーセンターにおいて、同社が東京大学の井上・稲葉研究室と共同で開発した人間型ロボット「isamu」を公開した。

    同社はもともと橋梁工事などを主に手掛ける土木・建築系の一部上場企業。事業の一部として航空・機械事業を展開しており、ヘリコプターのメンテナンスやカスタマイズを手掛けてきた(無人で飛行できるロボットヘリも開発している)。一方、人間型ロボットのソフトウェアの開発に専念したい東大側は、軽くて強いロボットプラットフォームの製作を委託できるパートナー企業を探しており、とある接点から両者による共同プロジェクトが始まったという。'99年に始まったプロジェクトの成果はこれまでに「H6」と「H7」という2体の人間型ロボットに結実していたほか、産総研と共同で取り組んだHRPでも実機の製作を担当している。

    今回発表した「isamu」もプロジェクトの分担通り、同社が開発したボディに東大側が開発した制御ソフトウェアを載せたものになっている。

    ○つま先を持つロボット

    「isamu」は身長146.8cm、重量55kg。ちょうどASIMOとP3の中間くらいの大きさだ(P3は160cm/130kg、ASIMOは120cm/43kg)。腕6自由度、脚6自由度、頭部2自由度のほか、指先のグリッパーとつま先で計30自由度を持つ。頭部にはステレオカメラを内蔵、外部環境を認識することができる。無線LANを装備しており、コマンド受信や映像の転送をサポート。両手のグリッパーにはセンサーがついており最大2.5kgまでの重さを的確に把持することができる。無線LAN以外にも制御用PCに接続されたジョイスティックによって操作でき、最大で時速2kmの可変則移動が可能になっている。バッテリは大出力が必要なため鉛電池を内蔵、7~8分程度の稼働時間を確保している。

    ステレオカメラを搭載する頭部。2軸の自由度を持つ。カメラで外部の状況を認識して行動することができる
    「isamu」は1GHzのPentium IIIをデュアルで搭載。PCI経由によるインターフェイスカードが露出している。無線LANカードが見える
     

    ↑反対側の胴体には冷却用のファンが露出している

    ←背中のランドセルがないスッキリした構造になっている。上が制御ボード関係、下にバッテリが内蔵されている

    最大の特長はつま先があること。従来の2足歩行ロボットのほとんどは足首から下は基本的に動かず、いわば「ベタ足」だったが、「isamu」はつま先に当たる部分が分割されており、人間と同じようにつま先で「踏みしめる」動作が可能になっている。これによりつま先がない場合よりも歩行速度を上げることができ、また、最大25cmの段差の昇降が可能になっている。

    つま先部分が分割されているのがわかる
    当然先端部分もアクティブに制御されており、瞬間的に自重がすべてかかる負荷にも耐えられるという

    この数字はロボットの膝下の長さによって限界が決まるが、つま先を含め可動範囲を拡げたことで限度一杯の数字を実現したという。今回の発表会では実際のデモは実施されなかったが(つま先ありとなしでは制御プログラムが異なるため)、事前に収録されたビデオ映像では確かにつま先部分が変位しながら歩き、昇降する様子が確認できた。瞬間的には一方のつま先部分にすべての体重がかかることもあるという。

    3点支持の手先は握力センサーを内蔵しており、持ったものの重さに応じて最適な力で把持することができる
    Robocraftは同社のメカトロニクス事業のブランドネームだ。自由度を上げるための腕の構造が独特だ

    OSはRT-Linux、CPUは1GHzのPentium IIIを2個搭載しているが、詳細についてはつま先の可動範囲同様、東大側のノウハウということで明らかにされなかった。

    ○メカトロニクス事業を強化

    航空機を扱うということで、軽さや小型化を実現する精密加工技術のほか防震対策や電磁干渉対策、高メンテナンス性、信頼性安全性などの技術ノウハウを持っていたことから実現した両者のプロジェクトだが、実機を見る限り上手くバランスが取れているのがうかがえる。55kgに収められた重量についても従来のロボットは削り出しや鋳造品が使われているが、「isamu」では「航空機用のジュラルミンの折り曲げ加工技術を使って精度と剛性を高めており、構造体だけの重さは胴体部分で4kg、片脚、片手とも10kg未満」(同社ロボットプロジェクトリーダー:五十妻隆勝氏)とのことだ。

     

    ↑「isamu」について説明する同社航空・機械事業部長の川田氏

    ←デモは有線によって行われた。完全ワイヤレスでも動かすことはできる。手元のジョイスティックによってリアルタイムに操作できる

    「isamu」は同社内での研究用として製作されたものであり、現時点では販売の予定はないが「共同研究の話を拒むつもりはない」(取締役事業部長:川田忠裕氏)という。同社は無人ヘリとあわせて「RoboCraft」というブランドを立ち上げており、「isamu」技術を含め広くメカトロニクス関連の事業を強化するという(同社の建築部門での利用なども含む)。なお「isamu」はIntegrated System of Advanced Motion-Control Unitsの略。「あとは元気な男の子のイメージで、共同プロジェクトのHよりもあとの「i」で始まるから」(川田氏)とのことだ。現時点では1体のみ存在する。

    (浅野純也)

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    つま先を持つ2足歩行ロボット「isamu」 - ムービーレポート
    http://pcweb.mycom.co.jp/news/2001/11/12/24.html

    【レポート】これが富士通の2足歩行ロボット「HOAP-1」だ!(1)
    http://pcweb.mycom.co.jp/news/2001/10/11/04.html

    川田工業株式会社 航空・機械事業部
    http://www.robo-craft.com

    東京大学 井上・稲葉研究室(情報システム工学研究室)
    http://www.jsk.t.u-tokyo.ac.jp/index-j.html

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