【産総研オープンハウス2001レポート】ヒューマノイドロボットなど最新の研究成果を一般公開(下)

      [2001/10/19]

    ○新しいロボットの動きを実現する

    新しいヒューマノイドの動きを開発する「ヒューマノイドインタラクション研究」のプラットフォームとなるロボット。まだ完成途中のもの。ロボットのスペック的には寝た状態から跳ね起きることも可能だという

    人とのインタラクション研究として2足歩行とは異なるヒューマノイドロボットにアプローチした研究もあった。ただ歩くだけではなくたとえば横になった状態からダイナミックに立ち上がったり、斜め懸垂をさせたりといった全身を使った動きを実現させたり、人間と自然に「ソフトに」触れあうことができるロボットの動きを実現するための新しい行動原理の研究が目的だ。

    たとえば先ほどの起きあがる例でも、すべての動きをアルゴリズムとして与えるのではなく、その途中途中にある節目となる動きだけを制御して、その間は自然物理的な動きに任せることができないかといったアプローチだ。また従来のロボットがデモとして何らかの動きを行う場合スタート&ストップの操作が必要だったが、そうではなく自然に動作を始めて終わるようなものも考えられており、実際にロボットの視野に人が入ってきて、その動きをまね始め、人が視野から去っていくと動きをやめるという自然な動作も実現しているという。展示では完成したばかりのヒューマノイドロボットが展示されており、今後研究が進められるとのことだ。


    ○ヒューマノイドロボットプロジェクト

    ホンダP3のハードウェアにオリジナルの制御プログラムを組み込んだHRP-1S。奥にあるコックピットはHRP-1Sが操作するためのもの。プロジェクトではロボットに機械操作させるアイディアもある

    知能システム研究部門はヒューマノイドロボットやコンピュータビジョン、分散システムなどを研究するグループ。注目を浴びていたのはヒューマノイドロボットだ。人との共存をテーマにした人間型ロボットの開発を目指すHRPというプロジェクトが大学や企業グループと共同で進行中で、その一部を担当するグループの途中成果がお披露目された。

    このグループではロボットの動作アルゴリズムを検証するシミュレータ「OPEN-HARP」の開発やホンダのP3(HRP-1S)を使った実験、そして独自の2足歩行ロボットの開発などがおこなわれている。従来のシミュレータはシミュレーション用のプログラムと実機に搭載するプログラムに互換性がなく、その変換時にバグが紛れ込んだりしていたが、OPEN-HARPではバイナリー互換が保証された。検証済みのプログラムをそのままロボットに載せることができる。実機情報を入力することでさまざまなタイプのロボットにも応用できるという、いわば汎用的なロボット開発プラットフォームで、今後の研究を加速化させるという。

    これによって開発された独自のプログラムをP3に搭載して、P3ではできなかった動きや制御を開発し、凸凹面の走破や片足接地などを実現していた。またP3を小型化した独自の2足歩行ロボット(HRP-2)の開発も進められており、下肢部分の歩行の様子が実際にデモされた。腿の付け根部分が2足歩行ロボットでは初めての「方持ち」になっているのが特徴。ホンダのASIMOのようにゲームパッドでリアルタイムに歩く方向を変えることもできる。

    手前が独自に開発中のHRP-2の下肢部分。奥がホンダP3のHRPバージョンだ。身長160センチ、体重130キロのP3に比べ、HRP-2は150センチ60キロ程度になる模様。P3とASIMOの中間のサイズだ
    HRP-2の脚の付け根部分は内側からの方持ち式になっている。その分スペースに余裕ができたため、お尻の部分に転んだときのクッションを入れるなどのアイディアがあるという

    ○モジュールを合体・変形させるロボット

    上下にモーターを内蔵したリンク機構でつながっているモジュール。4つの丸く見えるのが磁石の接合部分だ

    先日報道されて話題になった「合体変形ロボット」も展示された。リンク機構を持つモジュールを複数個使って、自分自身の形状を変えながら移動するロボットだ。モジュールにはモーターで駆動するリンク機構があり、モジュール同士を磁石で結合、コマンドによって結合を解いたりして(形状記憶合金で結合面を反発させる仕組み)、新たなモジュールと結合することで合体・変形をおこなうものだ。

    展示では10個のモジュールを使ったロボットがデモをおこない、形状を変えながらクローラ型での走行や4足歩行などをおこなっていた。もともと自己修復型の群ロボットなどの研究も行っており、個々のモジュールがマイクロマシン技術によって微少なものになれば自己修復するメカのようなSFマインドあふれる応用も考えられる。


    合体変形ロボットの動きの様子。4本の脚を構成して歩くことができる
    結合を変えてさまざまな形に変形できる。今後はモジュールを小型化して軽量化を図り、結合力も強めるという

    ○さまざまなマニピュレータ

    触覚を持つマニピュレータは、感圧センサーのシートを腕に撒くことで接触を検知、与えられた仕事をしながら人を避ける動作を行うことができる

    マイクロマニュピレーションシステムは、マイクロマシン技術を使った2本指のマイクロハンドのこと。人が箸を使う動作を取り入れることで、2本指だけで対象物を挟んだり回転させたりといった複雑な動きを実現させている。実際に直径2ミクロンのガラス玉を0.1μの精度でハンドリングすることに成功しているという。

    マニピュレータ関係では、薄いシート状のタッチセンサーをきょう体に巻き付けることで人との接触を検知、それを避けるような動作をするものや、布のような形状が変わりやすい素材を掴むことができるマニュピレータなども展示されていた。

    このほか分散オブジェクト技術の「HORB」やネットワークの中継サーバ「DeleGate」、暗号技術、JavaやXML関連、音声処理やコンピュータ囲碁などの展示も行われた。

    個々の研究は興味深いものも多く、ここから産業への応用や製品化など具体化していくものも出てくることだろう。

    (浅野純也)

    カメラとモニタをウェアラブルにした着用型アシスタント。無線でサーバと通信を行い、画像認識を行う
    カメラで認識したモノのカタログ情報を画面に合成して作業時のマニュアル的な使い方も研究されている
    アザラシ型の「メンタルロボット」。人と触れあうことで「癒し」効果を発揮する
    前脚と車輪付きの後脚を組み合わせた複合移動ロボット。アームの先の超音波センサーで段差を検出して平地では車輪、段差乗り越えでは脚を踏み出す。フィールドロボティクス研究グループは屋外での作業ロボットを研究している
    6脚を持つカマキリ型移動ロボット。斜面や凸凹面などの不整地での移動を行い、3本の脚のうち2本を上向きにして腕として使用することもできる
    車輪と脚を組み合わせたハイブリッド移動システム。両方をそれぞれに適した場面で使い分ける。階段の昇降も可能だ

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    http://pcweb.mycom.co.jp/news/2001/10/19/16.html

    【RWC2001レポート】経済産業省主導の10カ年研究プロジェクトの最終成果を展示
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