では、NECエレクロトンデバイス以外のカンパニーは、どうなのだろうか。NECでは、NECエレクトロンデバイス以外に、通信事業を担当するNECネットワークス、コンピュータ事業を担当するNECソリューションズがあるが、「来期の事業拡大に向けて順調に推移している」(西垣社長)として、徐々に構造改革の成果が出始めていることを明らかにした。
NECネットワークスでは、大規模プロジェクトである海洋通信事業が下支えとなり、安定的な収益を確保、さらに携帯電話の端末事業が好調に推移していることも、成果につながっている。第3世代携帯電話に関しても、国内では、NTTドコモのFOMAサービスの開始とともに、松下電器との開発協業体制をとることで、第3世代携帯電話のアーキテクチャーでの標準化、製品の相互供給などを推進。海外では、アジアにおけるハチソングループとの端末供給での基本合意、欧州でのシーメンスとの協業によるインフラプロジェクトへの参画といった動きもみられる。
一方、NECソリューションズでは、政府のe-Japan重点計画の推進にあわせて、官公庁需要の活発化による案件が相次いでおり、東京都の電子入札システム案件など、電子政府、自治体ソリューションといった領域での商談が増加しているほか、同社がソリューション事業の軸として掲げている「ブロードバンド&モバイル」の進展による新たな需要喚起、Eビジネスソリューション、インターネット関連サービスの拡大など、追い風が吹き始めている点が大きく影響している。西垣社長も、「世界的な不況下においても、今後3-4年は、ソフト・サービス市場は拡大する」との見方を示しており、それにあわせて、ソフト・サービス要員を6万人に拡大する計画を明らかにした。
6万人体制に向けては、NECグループ全体での採用強化に加えて、ハードウェア技術者のソフト・サービス技術者への転換、社内人材公募の継続的強化のほか、システム系子会社の強化、独立系SIer(システムインテグレーター)への資本参加による人員拡大なども視野に入れている。なかでも、独立系SIerへの資本参加では、先頃、日本SGIへの資本参加を決定しており、これによる新市場開拓にも乗り出す考えだ。
日本SGIは、過去3年間の間に売上高で24%増という高い成長率を遂げる一方、ハードウェア事業からの脱却をすすめており、99年には24%だったソフト・サービス事業の比率が、01年には49%へと上昇、同社の和泉法夫社長が目指すハードとサービスの比率を50対50にするという目標の達成は、すでに射程距離に入っている状況だ。
NECソリューションズの金杉明信カンパニー社長は、「日本SGIとはすでに提携関係にあるばかりか、事業の補完関係にあり、お互いの得意分野をシナジーとして生かすことができる」と発言、なかでも、日本SGIが得意とするビジュアライゼーション(可視化)、ハイパフォーマンスコンピューティング分野での事業強化を推進していく姿勢を見せている。
ところで、NECソリューションズのなかで、唯一、事業の悪化が取りざたされている部門がある。それは、パソコンを中心としたパーソナルプロダクトである。NECが9月28日に配布した資料によると、NECソリューションズの今年度の分野別業績予想では、「SIサービス/ソフトウェア事業」が増加、「インターネットサービス/サポートサービス」が増加、「サーバー/ストレージ/ワークステーション」が大幅増加、としているのに対し、「パーソナルプロダクト」は唯一、減少という見通しになっている。
NECの西垣社長は、「上期に続いて、下期のパソコンの市況回復が見込めないことから、今年度のパソコン事業は10%台半ばの減少になるだろう」とし、当初見込んでいた下期からのパソコン事業の黒字転換についても、「下期の需要停滞が少なからず影響するだろう。来年度には、黒字化を達成したい」と言葉を濁す格好となっている。
業界内では、下期には、WindowsXPの発売を控えていることや、ADSLの普及進展などにより、ブロードバンドのへ本格的な浸透がはじまることから、年末商戦から年度末商戦にかけては、台数ベースで前年同期比2桁増の伸び率を期待する声も高まっているのだが、同社ではかなり厳しい見方をしているといえよう。
NECは、パソコン事業部門に関しては、10月1日から新体制がスタートすることになったが、この成果が数字として出るのは、残念ながら来年度以降ということになりそうだ。各カンパニーの取り組みをみてきたが、結果として、NECは、2002年3月期連結決算予想が赤字決算になるとの見通しを発表した。
今回下方修正した2002年3月期決算予想では、売上高5兆3,400億円(今年4月の発表に比べて5,100億円の下方修正)、税引き前損益でマイナス2,200億円(同3,300億円の下方修正)、当期純損益でマイナス1,500億円(同2,150億円の下方修正)。今年7月に発表していた黒字予想から一転して赤字への転落となる。
カンパニー別では、2002年3月期売上高でNECソリューションズが前年比0.1%増、NECネットワークスが同15.8%増に対して、NECエレクトロンデバイスが同28.4%減を見込んでいる。エレクトロンデバイスの減少幅が大きいが、西垣社長は、すべてのカンパニーにおいて、事業の選択と集中を、引き続きすすめていく考えを示している。
今年1年で、どこまで構造改革の成果を出すことができるのか。全世界同時の不況となり、しかも、過去に例がないほどの悪化ぶりのなかでの構造改革は、苦難の道となるのは間違いない。
(中上真吾)
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