【レポート】ポケットサイズPCのSaintSong、LCDモニターモデル開発状況

  [2001/09/17]
電話をかけてきてくれたSaintSongのI.T.産品事業部/行銷處/業務經理の呉宏安(Harrison Wu)氏

ポケットサイズPC「Espresso(エスプレッソ)」、「Cappuccino(カプチーノ) G1」でお馴染みのSaintSong(聖桑)。実は、8月上旬に開かれた台北電腦應用展の際に、挨拶も兼ねて立ち寄った彼らのブースで、営業担当者からLCDモニターと組み合わせた製品の開発プロジェクトが進んでいるという話を聞いた。だめでもともとのつもりで「もし製品のプロトタイプでもできたら、真っ先に見せてほしい」と頼んでおいたのだが、9月に入りマーケティング担当の呉氏から、本当に連絡があった。それではということで、豆腐がおいしいことで有名な台北縣の深坑のSaintSong本社に押っ取り刀で出かけた。

以下、そのレポートをお届けしよう。

「えっ! これですか?」というのが私の第一印象。なぜなら「液晶モニターの台座に仕込まれた何か面白いドッキングのための仕掛けが…」と、勝手な想像を膨らませていた私の予想が、見事に裏切られたからだ。目の前にあるプロトタイプは、あっけないほどシンプル。液晶モニターの後ろに、ポケットサイズPCシリーズを固定する金具があって、それをベルクロ(マジックテープ)で固定するだけ。例えは悪いが、あえて言うなら『親亀(LCD)の背中に子亀(ポケットPC)が乗っている』といったところだろうか…。

『親亀の背中に子亀を乗せた』このスタイル。重役室でこれを見た訪問客の話題になるかも…
正面のLCDモニター側から見たところ。PC部分は見えないので、完全な一体型のよう。設置スペースも少なくでき、ワイヤレスキーボードとマウスを使えば、さらに自由度が高くなる

ただ、しばらくためつすがめつして見ているうちに、逆になぜこんな簡単な構造にしたのか、もくもくと疑問がわきあがってきた。そこでいつもの質問攻撃を開始。

--確か以前、色々なLCDモニターメーカーから、一緒に組まないかという話がくると言っていましたね。その中から、なぜこの方法を採用したのですか?

「おっしゃるとおりですが、以前に私達のところにきた話の多くは、他社のLCDモニターとのセット販売だとか、LCDパネルの後ろに基板を組み込んで一体型にする、あるいは台座にドッキングのための仕掛けを作るといったようなアイデアだったのです。いつもそういった話を持ってきたメーカーとの話合いの後、何か違うのでは…という気がしていたのです。」

--その「何か違う…」いう部分は?

「他社と協力しあって、新しい使い方というか、オフィスでPCを使うには従来と違った発想もあるんです…という提案をしたかったので、そういう意味でプラスαのようなものが欲しかったというか…」

--そういった意味では、今度のこの仕掛けで、プラスαが達成できたと…?

「そう思っています。出来上がってみれば、仕組みはいたってシンプルですが、このことが逆に、ユーザーの方々に色々な便宜を与えると思うのです。例えば、LCDパネルの後ろに基板を組み込んで一体型にした場合、モニターが故障したら、PC部分に問題がなくても修理に出さなければならず、一週間以上もコンピュータを使えない事態も考えられます。また、大型のモニターに換えたくなっても、そう簡単に乗り換えはできません。でもこの方式なら、問題なくこうした事態に対処でき、ユーザーにむだな時間を使わせることはありません。さらに、重要な資料の盗難を避けたいなら、退勤する前にPC部分を外して机の引出しに入れ鍵をかけておくという使い方も考えられます。それから、LCDモニター側から見れば、PC部分は見えないので、完全な一体型となり、設置スペースをより少なくできますし、ワイヤレスキーボードとマウスを使えば、さらに自由度が高くなります。もっとも、これは壁側に設置した場合の話で、重役クラスの部屋のように、訪問客がモニターの裏側を見られる状態の場合、一瞬驚くかもしれませんが…(笑)。」

--それもまた話題作りになって、かえって商談が進むかもしれませね。まさに「シンプル・イズ・ベスト」と言ったところですが、このプロジェクトはいつどのようにして始まったのですか?

「7月の上旬に、HONG YEI TECHNOLOGY CO.,LTD.( http://www.itactrade.org/vender/70604679 )という台湾のLCDモニターのメーカーから、私達と共同で製品を開発したいという提案がありました。彼らは非常に熱心で、何回かの話合いの後、相手方のエンジニアが持ってきたのがこの方式でした。LCDモニターの背面の四つのネジ穴さえあれば、簡単に取付けられるこの方式を見て、私達もすっかり気に入りました。それで、すんなりと製品化することが決まりました。その間、わずか三週間です。今月の下旬くらいから、台湾での販売が始められると思います。」

--日本での販売は?

「まだ決まっていません。これからといったところです。LCDモニターと一緒に売るのか、取付け金具だけオプションで売るのか、色々な方法があると思うのですが、今のところ未定です。ただ、HONG YEIはこの方式の実用新案特許を申請中です。」

--わかりました。話は変わりますが、ポケットサイズPCシリーズの今後の開発計画は?

「Cappuccino G1にIEEE1394を増設したCappuccino TX2の量産を開始しました。」

--Pentium4に対応した製品を開発する予定はないのですか?

「Pentium4に対応する計画もありますが、このサイズをほとんど変えることなく、熱対策やその他の問題を解決するのは大変ですので、発表するまでにはまだまだ時間がかかると思います。」

取り付け金具。四つのネジ穴で固定した後、ベルクロ(マジックテープ)で固定する。ポケットサイズPCを支える下側の金具には穴があけてあるので、ポケットサイズPCのすべてのポートが使える
この金具には、今まで同社が発売したすべてのポケットサイズPCが取り付けられる

以上が、質問をぶつけて得られた結果。確かに言われてみれば、一理ある。PCの性能が、一般的な家庭やビジネス用途での使用では、充分過ぎる程のパーマンスを発揮するようになった今、求められるのは「自分の使いたいように自由に使える」自由度なのかもしれない。そういった意味でも、ユニークなこのポケットサイズPCシリーズには、さらなる発展を目指して頑張ってほしいものだ。最後に、最新カタログでは、対応するCPUの項目に、従来のPentiumIIIやCeleronの他に、VIAのC3も加えられたことをお伝えして、このレポートを締めくくりたい。

(吉井孝史)

【レポート】台北コンピュータ応用展開催、喧噪と熱気の5日間(1)
http://pcweb.mycom.co.jp/news/2001/08/09/14.html

【COMPUTEX TAIPEI 2001レポート】SaintSong開発者に聞くミニPCの使い道
http://pcweb.mycom.co.jp/news/2001/06/07/11.html

【インタビュー】Cappuccino開発者に聞く! (1)
http://pcweb.mycom.co.jp/news/2001/03/26/07.html

Saintsong、「Espresso」に続く超小型PC第2弾「Cappuccino G1」を発表
http://pcweb.mycom.co.jp/news/2001/03/05/07.html

SaintSong
http://www.saintsong.com.tw/

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