秋葉原パソコン発祥の地、Bit-INN LOUNGEが8月末で閉鎖

  [2001/08/22]

秋葉原がパソコンのメッカと呼ばれるようになって久しい。その秋葉原におけるパソコン発祥の地ともいえるBit-INN LOUNGEが8月31日付けで閉鎖することになった。

現在、東京地区のBit-INNは、ラジオ会館内にあるBit-INN LOUNGEと、秋葉原電気街の中央通り沿いにあるBit-INN Aiの2拠点で構成されるが、NECの公式コメントによると、今回の動きは、Bit-INN LOUNGEの閉鎖というよりも、Bit-INN LOUNGEをBit-INN Aiに統合するものだという。

だが、外からみると、どうしても、ラジオ会館内のBit-INN LOUNGEを事実上閉鎖するというようにしかみえない。秋葉原駅前というラジオ会館の立地から、やや地の利の悪いBit-INN Aiに統合するというのは、前向きな決断には見えないからだ。ただ、その一方で、ラジ館のなかに、Bit-INNを設置しておくという意味合いがなくなってきたこともうなづける。

ところで、最近のパソコンユーザーには、Bit-INNという名称はあまり馴染みがないかもしれない。いや、むしろ、Bit-INNの存在を知らないというユーザーの方が多いかもしれない。

ここでBit-INNについて簡単に説明しておこう。もともとBit-INNは、1976年に、NECがパソコンの前身となるマイコンキット「TK-80」を販売するために、NECの半導体販売を手がけていた日本電子販売の協力を得て、ラジオ会館の最上階となる7階に開設した戦略拠点であった。

当時、NECから話を持ちかけられた日本電子販売社長の野口重次氏が、TK-80を見て、「これはいける」と判断、NECが「3坪のスペースでいいので」と申し入れたのに対して、「30坪のスペースを用意する」と、当時としては驚くべき面積の売り場を確保、連日のようにNECの社員が販売支援を行ったこともあって、数多くのマニアが訪れ、TK-80をベストセラーへと押し上げたのであった。これが、後にトップシェアを維持し続けるNECのパソコン事業の礎となったのだ。

同時に、秋葉原におけるマイコンショップの第1号拠点ともいえ、この成功を皮切りに秋葉原にマイコンショップが増加、後に「パソコンのメッカ」と呼ばれるほど数多くのパソコンショップが出店する、現在の秋葉原へとつながっているのだ。

その後、パソコンショップの林立に伴って、Bit-INNの役割は、販売というよりも、最新機器を展示するショールームとしての役割、セミナー、イベントスペース、そして修理窓口という側面が強くなり、現在に至っていた。横浜、名古屋、大阪・日本橋にもBit-INNはあるが、役割は同様のものとなっている。

設立当初に比べると、Bit-INNが、秋葉原に及ぼす影響は少なくなっているが、それでも、秋葉原におけるパソコン発祥の地として、古くからのマニアユーザーにとっては、今回の閉鎖は感慨深いものがあるに違いない。

話は戻るが、秋葉原駅前の好立地にあるラジオ会館の拠点を閉鎖し、中央通り沿いとはいえ、むしろ末広町に近いBit-INN Aiにこれを統合する背景には、ラジオ会館の役割そのものが大きく変化していることがあげられる。

もともと、家電量販店やパソコンショップなどが相次いで出店していたラジオ会館だが、現在では海洋堂をはじめとするフィギュア関連ショップなどが軒を連ね、電気街とは違う側面をもつ秋葉原の代表的拠点となっている。パソコンが目的のユーザーにとっては、足を踏み入れにくい場所になっているのは事実だ。

こうした状況を考えると、ラジオ会館からの撤退は、さもありなん、といえる。この動きを見る限り、フィギュアや同人誌ショップなどの秋葉原の新たな勢力に、国内コンシューマー向けパソコンの原点が弾き出されたという構図を感じざるを得ない。これを、「秋葉原の新たな勢力図の象徴」といっては言い過ぎか。

(大河原克行)

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