【レビュー】待望のLinux版Delphiこと「Kylix」がいよいよ登場(1)

      [2001/05/08]

    Windowsが普及した原因はもちろんユーザーに親和性の高いGUIの存在抜きには語れないが、それにプラスして、VisualBasicやDelphiなどの生産性の高いビジュアル開発アプリケーションが存在したという部分も大きいだろう。

     

    汎用機で基幹システムを作っていた時代からクライアント・サーバーベースのアプリケーション開発の時代を経て、Webアプリケーション開発の時代へ変化していく過程でこれらのビジュアル開発アプリケーションによって業務用のソフトをはじめ、多くのソフトウェアが作られてきた。豊富なソフトウェアはOS自体の普及も促進するのだ。

    そうしたビジュアル開発アプリケーションは、例えばC言語がすべてのGUI要素をいちからコードとして起こしてやって、プログラムを完成させ、コンパイラを用いてコンパイルしなければならないのに対して、フォームにあらかじめ登録されているオブジェクトを配置し、そのコンポーネントに対してコードを記述し、コンパイルするだけで簡単にGUIプログラミングを作成できるので、プログラミングに馴染みのない者でも、多少訓練すればある程度容易にプログラミングを作成できるようになれるというメリットがあるのだ。

    ○Linuxでの開発環境の現状

    クライアントOSとその開発環境ではWindowsは圧倒的とも言える強さを見せ付けてきた。その一方でWebの網の目の広がりとともに、非常に急速な勢いで広がりを見せ、現在ではサーバーの約6割を占めるようになったがLinuxだ。しかしそのLinuxがクライアントOSとして普及しない一番の理由は、X Window Systemが定着したとはいっても、まだまだGUIベースで利用できるビジネス・ホビー分野でのアプリケーションが少ないことと、それに加えて何よりWindowsで存在するような開発・習得とも容易なビジュアル開発アプリケーションが少なかったからだ。X Window Systemベースで利用できるアプリケーションをそういったツールなしに開発するには非常に高い技術レベルが要求されるし、時間も労力もかかる。

    しかしそんな中でようやくLinuxでのアプリケーション開発に一条の光が差し込んできた。Windowsでのビジュアル開発ツールとして高い人気と評価を得てきたDelphiのLinux版であるKylixがいよいよ登場したのである。

    ○Kylixとは

    前述した通りKylixはDelphiのLinux版といっても差し支えないものだ。そしてLinuxではじめての本格的なビジュアル開発ツールなのである。Kylixではフォームにコンポーネントを配置しながら、専用のエディタでそのコンポーネントの動きを決定するソースを記述していく2way-Toolsを始めとする操作性に富んだ環境を提供してくれる。こうしたコンポーネントはCLX(クリックス)と呼ばれ、ユーザーインターフェイスの設計やデータベース対応アプリケーション、Webサーバーアプリケーションなど、広範な開発を容易に実現できる。

    コードエディタの画面。配置したコンポーネントのイベントハンドルを実行したり、全体的な変数の宣言や、コンポーネント以外にコードを記述する

    また、非常に多機能なソースレベルデバッガ(コンパイルする前にデバックが可能になる)を搭載しているので、かなり信頼性の高いアプリケーション開発が可能になっている。さらにKylixにはボーランド社が長年蓄積してきたコンパイル技術を用いて新たにLinux用に開発したネイティブコードコンパイラが搭載されており、PentiumIII 667MHzのマシンにおいて毎分400万行という高速なコンパイル処理を可能にしているのだ。

    ○Kylixの開発スタイル

    コンポーネントの各プロパティを設定することができる「オブジェクトインスペクター」

    Kylixの大きな特徴であるCLXであるが、広範なアプリケーション開発を行うのに必要な130以上のコンポーネントから構成されている。その種類であるが、以下に、代表的なコンポーネントの一部分を挙げてみよう。

    ・Standard,Common Controls
    Frames,Mainmenu,PopupMenu,TexstBrowserなどアプリケーションのインターフェイスとして標準的なコンポーネント

    ・Additional
    Timer,PaintBox,Checklist,ScrollBoxなどKylix独自の拡張コンポーネント

    ・Diarogs
    OpenDialog,SaveDialog,FontDialogなどコモンダイアログ

    ・DataAccess,dbExpress
    Datasource,CliantDataSet,SQLConnection,SQLDataset,SQLQueryなどデータアクセス

    ・DataControls
    DBGrid,DBNavigator,DBEdit,DBImageなどデータ対応コントロール

    ・Internet
    WebDispatcher,PageProducer,TcpClient,UdpSocketなどインターネット対応コンポーネント

    ・IndyClient,IndyServer,IndyMusic
    インターネットプロトコルのためのオープンソースコンポーネント

    ※InternetコンポーネントはServerDeveloper版のみに付属

    これらのコンポーネント群はクラスライブラリのひとつとして機能する。クラスを継承するのと同じようにコンポーネントを拡張して独自の新しいコンポーネントを作成し、Kylixに登録することもできる。

    Kylixのコード記述(プログラム言語)はObjectPascalを利用する。またglibcで提供される関数の呼び出しやポインタ操作、クラスの作成・継承など、一般的な手法ももちろん可能になっている。

    それでは、Kylixでの簡単な開発の特徴を説明していこう。

    (桐生霧)

    【レビュー】待望のLinux版Delphiこと「Kylix」がいよいよ登場(2)
    http://pcweb.mycom.co.jp/news/2001/05/08/16.html
    へ続きます

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