19日にマイクロソフトから発表されたHailStorm(ヘイルストーム)は、昨年発表した「.NET」のビルディング・ブロック・サービスの集合体だ。このビルディング・ブロック・サービスは、マイクロソフトがWeb上で提供する基本的な.NETサービスといえるだろう。今回発表されたHailStormでは14種類のサービスが用意されている。
・MyAddress
ユーザー自身の住所、電子メールなどを登録したり、問い合わせたりすることができるサービス
・MyProfile
氏名、ニックネーム、誕生日、自分自身の写真など
・MyContacts
住所録
・MyLocation
現在ユーザーいる都市
・MyNotifications
あらかじめ登録しておいた時間に通知を送る(いわゆるアラートやタイマー)
・MyInbox
ユーザー個人の電子メールボックス(ボイスメールも含む)
・MyCalendar
カレンダー
・MyDocuments
ユーザーが作成した文書を保存しておくインターネット上の保存エリア
・MyApplicationSettings
さまざまなアプリケーションの設定
・MyFavoriteWebSites
ユーザー個人が登録してあるWebサイトリスト(IEのお気に入りがインターネット上に保存されているもの)
・MyWallet
クレジットカード番号などを登録しておき、いちいちオンラインショッピング時にクレジット番号を入力しなくてもよくする機能(以前IEのオプションとしてあったウォレット機能の.NET版)
・MyDevice
各種機器の設定などを保存
・MyService
個人認識をするためのサービス
・MyUsage
各種サービスの使い方説明
これ以外に、HailStormサービスを利用するための認証サービス「Passport」やWebベースの電子メール「Hotmail」、インスタントメッセージ「MSN Messenger」がHailstormとは別に用意されている。
今回発表されたHailStormは、必ずしもマイクロソフトのプロットフォームを必要としないという特徴がある。すべてのサービスはXMLをデータとしてSOAPプロトコルで通信される。つまり、HailStormサービスが提供されるサーバーでは、SOAPプロトコルを使用していれば、WindowsOSやマイクロソフトのアプリケーションから以外でもアクセスすることができるのだ。
例えば、将来的にはiモードなどの携帯電話やPalmのPDA、LinuxシステムからHailStormサービスへアクセスすることも可能なのだ。このとき重要なのが、ユーザー認証のPassportだ。Passportを使用することによって、1度Hailstormにログインすれば、すべてのサービスを一括して利用することができる。
HailStormを利用することでどのようなサービスが考えられるのだろうか? 例えば、ユーザーがオフィスで利用しているパソコンでHailStormサービスを利用していれば、自分のスケジュールや電話帳リスト、作成した文書などが、インターネット上のサーバーに置かれているため、別の場所のパソコンを使っても同じデータを使うことができる。さらに、PCだけでなく、PDAや携帯電話などでデータを見たり、住所録やスケジュールを共有することができる。これにより、個々のマシンで住所録やスケジュールが異なることはなくなるのだ。いずれかのマシンでデータを更新すれば、すぐにインターネットのサーバー上にあるデータもアップデートされる。これなら、いちいちオフィスに帰ってからシンクロナイズなどを行わなくてもいい。
Hailstormサービスに賛同している企業としては、アメリカンエキスプレス(クレジットカード)、Click Commerce(B To Bサービスを提供している企業)、eBay(オークションサイト)、Expedia(飛行機のチケットやホテルの予約などを一括して行える旅行関係サイト マイクロソフトの子会社)、Groove Network(P2Pを利用したネットワークアプリケーションを提供している会社。Notesを開発したレイ・オジーの会社)などがある。
HailStormの発表会では、アメリカンエキスプレスのICクレジットカードを利用して、商品の購入などを高いセキュリティで行えるというデモが行われた。PCやPDAに用意されているICカードスロットにICクレジットカードを差せば、実際に商品購入を行うときに、ICクレジットカード自体をチェックするようにできる。これにより現在のオンラインショッピングのシステムよりも、高いセキュリティで利用者を保護することができる。
また、Groove Networksでは、MSN MessaengerをGrooveの招待リストに組み合わせてサービスが行えることをデモしている。eBayはオークションシステムそのものをHailStorm対応と開発しなおし、システム自体をebay APIという1つのサービスとして、他のサイトにも提供する予定だ。このAPIを導入すれば、さまざまな会社のWebサイト上にeBayのオークションサイトのデータを表示することができる。さらに、個人オークションサービスだけでなく、企業間の商取引をも同じシステムで実現しようとしている。マイクロソフト社では、アプリケーションやOSのアップデートシステムとしてHailStormを利用する予定にしている。
HailStormサービスは、さまざまな可能性を秘めたWebサービスといる。ある意味では、インターネット自体をアプリケーションのいち機能として取り込むことになるだろう。これにより、アプリケーションは、Webサービスを経由して、いろいろなデータにアクセスしたり、取り込んだりして、サーバーとクライアントというモデルではなく、インターネットを利用した新しいアーキテクチャーへと移行することになる。
このモデルのメリットは、XMLやSOAPをべースとしているため、特定のOSやハードウェアに制限された環境ではないということだろう。マイクロソフトが提供していても、SunやIBMなどのハードウェア・ソフトウェアからこのサービスを利用することができる。
しかし、HailStormのようなサービスを考えているのは、マイクロソフトだけではない。多くの企業がSOAPやXMLベースのサービスを検討している。こういった環境で、マイクロソフトのHailStormがWebサービスの基本プラットフォームになるのかどうかがもっとも重要なことになるだろう。HailStormは、今年中にアルファ版がリリースされ、β版は2002年後半となる予定だ。このスケジュールを考えれば、HailStormはWindowsXPではなく、次世代のBalckcombをターゲットに考えたサービスといえる。
(山本雅史)
マイクロソフト
http://www.microsoft.com/presspass/features/2001/mar01/03-19hailstorm.asp
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http://pcweb.mycom.co.jp/news/2001/03/21/13.html
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