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| IntelのCTO、Pat Gelsinger氏 |
「10年後、マイクロプロセッサは10~30GHzに達し、1秒あたり1兆のオペレーションをプロセスする。これは今日、世界で最速のスーパーコンピュータに匹敵する数字だ」
サンフランシスコで始まったInternational Solid-State Circuits Conference(ISSCC)でオープニング・セッションの1つを務めたIntelのCTO、Pat Gelsinger氏の口から飛び出した言葉である。
パワーという点では、「ムーアの法則」は今後10年間も健在であると断言する。だが、この日、Gelsinger氏が説いたのは、この発言とは全く逆の「ムーアの法則」の限界についてである。10年後、約30GHzまで伸びるクロックのグラフを提示した後、「このペースを続けた場合、このような数字も問題になる」と見せたのは電力消費のグラフ。2008年には1万ワットぐらいまでグラフが伸びているのだ。つまり、パワーだけを追求するならば、今でも限界は見えないが、本来「ム-アの法則」では意図していなかった電力消費と、それに伴う熱という問題がCPUデザインに大きな影響を及ぼそうとしている。
「我々は、これまでパワーを理由にデザインを制限したことはなかった。我々のデザインを制限したのはコストと製造技術だ」
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ハイエンドCPUとしてのパワーを追求する一方で、バジェットと既存のデザインがすでに「ムーアの法則」に影響を及ぼし始めているのだ。今後も「ムーアの法則」を追及するのは不可能ではないが、同時に画期的な絶縁技術などが登場しない限り、現実的ではない。製品として考えると、今後はこれまで以上にクロックの向上よりも、リーク電流対策や安定性の向上が重要になってくる。
このジレンマの解決にIntelはどのように取り組むか。まずは、電力消費を抑えたサーキット・デザインとマイクロアーキテクチャ技術の開発。次にマルチ・コアである。複数のCPUコアを1つのダイに載せるというのは、サーバー向けにすでにIBMが取り組んでいる技術で、パワーを効率的に利用するという点では効果がある。オンダイ・キャッシュの増加も1つの方法だ。ロジック・メモリよりも消費電力が少なく、パフォーマンスも向上する。だが、CPUのパワーを消費するという問題も抱えている。
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他にはマルチスレッドもその効果を確かめる必要のあるオプションとして紹介されていた。また、広範な用途を対象としたロジック・サーキットではなく、特定の機能を対象としたSingle-Issue Multiple-Data(SIMD)のようなインストラクション・ユニットの利用も指摘している。これは音声処理や通信などヒューマン・インタフェースで効果を発揮する。
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オンダイL2キャッシュの効果。電力消費指数では効果が大きい |
これからの10年間、Intelはクロックの向上と効率化のバランスを図る。オープニング・セッションでは、そのためのさまざまなソリューションが提示されたが、効果という点では一長一短があり、どちらかというと課題だけが示された感がある。その意味では消化不良気味のセッションだった。だが、「これまでどおりのビジネスというのは、もはや通用しない」とGelsinger氏が述べるように、少なくとも大きく変わろうとしているIntelの姿勢だけは感じられた。
(Yoichi Yamashita)












