【レポート】"Xscale"でモバイル端末市場に切り込むIntel

      [2000/09/21]

    最終日の基調講演には、ワイヤレス・コミュニケーションズ&コンピューティング事業本部長のロナルド・J・スミス副社長が登場した。スミス氏は、今後Intelが力を入れていく携帯電話やモバイル端末などへの取り組みを明らかにした。

    同社は現在、携帯電話マーケットのフラッシュメモリで非常にシェアをもっている。今後は単なるメモリだけでなく、携帯電話やモバイル端末のCPUや、さまざまな機能ブロックを提供していこうとしている。特に、日本でも年末に登場するJava対応携帯電話、2001年登場予定の次世代携帯電話(データ転送速度は最終的に2MBを超える)などに搭載できるデバイスを提供していこうというものだ。

    携帯電話マーケット向けには、パソコンに使用しているIA系列CPUではなく、低消費電力で、高いパフォーマンスをもつCPUが必要だった。米国で行われたIDFで発表されたXscaleが、Intelにとって携帯電話、モバイル端末マーケットに切り込む上での強力な製品となる。

    Xscaleは、これまで同社が販売してきたStrong ARMを、より低消費電力で、低発熱にしたものだ。特に注目されるのが、投入するコア電圧をダイナミックに変更することができる。つまり、同じCPUでありながら、200MHzから1GHzオーバーの実行をサポートする。これにより、パフォーマンスの必要なプログラムを処理しているときは、クロック数をアップし、パフォーマンスが低くてもいいプログラムの場合はクロック数を落とすといった設計が可能になる。

    XScaleは、0.7Vで200MHz(消費電力は50mW)、1.0Vで466MHz(消費電力は2.5mW)、1.2Vで600MHz(消費電力は50mW)、800MHzで1.4V(消費電量は1W)、1GHzでは1.75V(消費電力は1.5W)となっている。例えば、0.7Vで50MHzまでクロック数を下げると、消費電力は10mWとなり、単三電池1本で1週間稼動できると説明している。

    また、パソコンなどに搭載されているACPIと同じような電源管理システムを採用しているので、CPUのレジスタ内容だけを保持するような低電流を流すことで、再起動時に25μ秒で起動できるようになっている。さらに、PentiumIIIなどに搭載されているようなマルチメディア処理命令「SSE」が入っている。これにより、MPEG2のエンコード/デコード、MP3のエンコード/デコードなどをハイパフォーマンスで行うことができる。

    Xscaleは、CPU単体だけがリリースされるのではなく、携帯電話、モバイル端末、ネットワーク機器、インターネットストレージ(RAID)、ADSLなどのネットワーク・アクセス機器などのコントローラとして利用できるように、さまざまな分野向けの周辺モジュールを組み合わせて、リリースされることになるだろう。

    Intelでは、買収により通信処理部で重要なモジュールとなるDSPを開発しているDSPコミュニケーションズやアナログデバイスなどとの提携を行っている。このことにより、今後の出てくるさまざまな携帯電話やモバイル端末に利用できるハードウェア・モジュールを提供できるようになる。

    また、ハードウェアだけでなく、これらの機能モジュール上で動作するマルチメディア・ライブラリなども提供することにしている。インテル・インテグレイティッド・パフォーマンス・プリミティブ(IPP)では、Xscaleだけでなく、Pentium4などのIA32、ItaniumなどのIA64などのCPUに対して、同じインタフェースでライブラリが提供されるため、開発者は他のプラットフォームで開発したアプリケーションを移行しやすくなる。IPPでは、MP3のコーデックやMPEG2のDCT演算などの計算部分を標準でもっているため、今後メインとなってくるAV機能を持った端末を構築しやすくなる。

    同社ではこのようなアプリケーションを構築しやすくするため、Access、Justsystem、Cybirdなどの企業とパーソナル・インターネット・クライアント・アーキテクチャを決めている。なお、Xscale CPUではないが、同じアーキテクチャのStrong ARMをNECが次世代携帯電話で採用すると発表している。

    (山本雅史)

    インテル
    http://www.intel.co.jp/

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