【最速インプレッション】PDAから"エンターテインメントPDA"へ進化するソニー製Palm

      [2000/07/13]
    ソニー版Palmと付属のクレードル

    ○まだ見ぬPalmへの憧憬

    ソニーとPalm Computingが提携したと聞いた1999年の秋以降、次に使う携帯端末はソニーから出るカラーでジョグダイヤルつきのPalm、と心に決めていた。ソニーフリークというわけではないのだが、家のDV-VHSの据え置きビデオや、液晶プロジェクタや、現在使用しながら原稿を書いているノート型のPCには「SONY」のロゴがついている。筆者がソニーフリークというわけではない。DVDプレイヤーはパイオニアだし、テレビはシャープだ。

    ソニーフリークでないなら、なぜ出る前からソニーのPalmに決めたんだ、と聞かれると、だから積極的な理由を説明できるわけではない。あえて探せば、ソニーならなにか新しい機能を追加したり、新しい提案をしてくるような気がしていたから。消極的な理由なら、既存の携帯端末は、Palmにしてもどこかしっくりこないと思っていたから。または、まだ出ていないものに漠然とあこがれていたから、とでもいったらよいかもしれない。

    ジョグダイヤル対応のアプリケーションは、アイコンに○がついている

    ○実物版は予想以上の完成度

    そうこうしているうちにも開発は順調に進み、米国PC EXPOでガラス越しの発表が行われ、ついに今日、正式に日本でのお披露目となった。

    まだ見ぬ美女は、しげしげと見ないうちが華、という話はある。どんなに現実のモノが優れていても、「あのソニーのあのPalm」と期待感にあふれて想像していた心のPalmと比べると、色あせてしまうかもしれないからだ。

    特に、米国PC EXPOで公開されたモックアップの写真は、ガラス越しというせいもあってかどれもかなり写りが悪く、なんだか弁当箱みたいに大きく見えて、がっかりだった。だから、今回の発表会も、実物を見たいような見たくないような、複雑な心境で取材にいったのだ。

    だが、実物のソニー版Palm「パーソナル エンターテインメント オーガナイザー PEG-S500C」(カラー液晶版、モノクロ版はPEG-S300)は、期待を超える完成度だった。9月の発売までとても待てない、という気持ちになってしまった。

    ジョグダイヤルを回すとメニューが表示される

    ○軽くて薄い!!

    PEG-S500Cが他のPalmを含む携帯端末と決定的に違うところは、その軽さにある。なんと120g。携帯端末というよりも、ちょっと重たい携帯電話、と言ったほうがしっくりくる軽さである。

    軽い/重いの感覚はかなり個人的なものだが、筆者はつねづね片手で扱える携帯端末は、150g以下が望ましいと思ってきた。先日ご紹介したザウルス アイゲッティは、約160g。これはちょっと重たく感じたのであった。

    日本IBMのWorkPad c3が約130gだから、カラー液晶を搭載して120g、というのがいかに軽いか、ご理解いただけると思う。さすがソニー。小さく作るのがやっぱり上手い。まずこの軽さで、実機をもった瞬間に心をがきっとわし掴みにされてしまった。

    弁当箱みたいなアンチVAIO風と感じていたデザインも、写真で見たのと実機を見るのとは大違い。実機は、いらないものをそぎ落としたような薄くてシンプルな仕上がり。やはり、実物を見ないと本当のところはわからない。

    実物を見ないとわからない、といえば、発売を2カ月も先にした発表会でありながら、ざっと20台くらいの豊富な試作機が、きちんと動作していたことも驚きであった。動いているPEG-S500Cの完成度は、すぐに発売してもいいくらいの仕上がりとなっていた。9月といわず、7月末にでも発売してほしいくらいだ。

    秘密裡に(?)いつのまにか搭載されていたかな漢字変換の最高峰「ATOKのPalm版」もジョグダイヤルで操作できる

    ○ジョグダイヤル・アプリケーションは増えるか!? 増えて!!

    機能の点では、やはりジョグダイヤルが大きなポイントだ。携帯電話やVAIOなど、ソニーといえばジョグダイヤルによる簡単操作が1つのトレードマークになりつつある。だが、ジョグダイヤルは、Palm用として、すぐに100%機能を発揮できるわけではない。

    というのは、携帯電話のように機種ごとの固有機能が決まっているハードウェアと異なり、Palmは世界で1万本近いともいわれるほどのソフトが流通している状態にあるのだ。当然、これまでに発表されているソフトは、残念ながらこの新しいデバイスであるジョグダイヤルには対応していない。したがって当初は、ソニー製のいくつかの搭載アプリケーションだけが、ジョグダイヤルで動作するだけなのである。対応ソフトが少ないことは、すでに知られているとおりだ。

    そのため、さまざまなアプリケーションをジョグダイヤルで操作できるようにするために、ソニーはデベロッパー用のサイトを設け、SDKを無償で公開した上で、有償でのサポートなども準備中という。ちなみに、サイト自体はすでに運営が始まっているので、9月の発売までには相当なソフトがジョグダイヤルに対応するのではないかと期待される。

    ちなみに、実際に使ってみたところでは、やはりジョグダイヤルは便利だ。万能ではないとしても、片手だけで操作できるし、回す回数というアナログの量で直感的に把握できるからだ。

    クレードルからは電源コードとUSBコードが伸びる

    ○カラー対応の動画はこれからに期待

    カラーを活かしたアプリケーションとしては、動画再生の「gMedia」と、デジタルカメラで撮影した写真などの画像を扱う「PictureGear Pocket」の2つが用意された。

    まずgMediaだが、動画といっても、モノクロで最大160×120ピクセル程度の画像(カラーは今後対応予定)であるから、かなり簡易的な感じである。MPEGなどのフォーマットには対応しておらず、モノクロ版に特化した特別なデータ形式のみが再生できるのみ。音声もなし。

    じっくりとスペックを聞くと、それのどこが動画なのよ、という感じだが、まあ、将来への展望の第一歩を踏み出した、というところで、あたたかく見守りたい。1~2年のうちに、携帯端末や携帯電話でビデオを見るのは一般化してしまうはず。今回は、そのデモンストレーションと理解すべきだ。

    メモリースティックを入れたところ。残念ながらMagicGate Memory StickやI/O機能付きには未対応

    ○静止画整理はよくできている

    PictureGear Pocketは、VAIOに搭載されて評価されてきたPictureGearを、Palm用に作り替えたもの。特に、メモリースティックを介して、デジタルカメラの写真を簡単に一覧して見たり、付属のアドレス帳に貼りつけたりできるように作り込んである。

    このPictureGear Pocketは、かなりいけてる感じだ。デジタルカメラで撮影するExifのJPEGデータは、画像データ本体に小さな縮小画像のサムネイルをもっている。サムネイルのサイズは、160×120ピクセルなのである。そこで、PictureGear Pocketは、デジタルカメラの画像からこのサムネイルだけを抜き出して扱うことができるのである。

    サムネイルだけを扱うために、データ容量が少なくてすみ、動作が高速になる。携帯端末サイズの機器に、PCの機能をすべて詰め込んでしまうのではなく、必要な機能だけを、うまくチョイスしてデザインしている。機能と設計のバランスの妙を感じさせる作りである。これはいける。こういう設計ができるセンスは高く評価したい。CyberShotのユーザーなどには、手離せない機能となるのではないだろうか。

    ○PDA向けの設計思想もきちんと感じられる

    アドレス帳についての細かな点になるが、画像を貼りつけるアドレス帳のようなアプリケーションを作る場合には、画像ファイル自体はすでに存在するわけだから、アドレス帳にはその画像へのリンクだけを追加する、というのが、もっとも効率のよい作り方となるというのは、ご理解いただけるだろうか。

    特にメモリが限られている携帯端末では、リンクだけにするという作り方をすることは大切だ。画像そのもののデータをアドレス帳にコピーすると、データの量が倍に膨れ上がってしまうためだ。

    PEG-S500Cのアドレス帳は、このリンクのみを貼りつけるという機能に対応しているという点でも、最先端の設計だ。単に写真データを貼りつけるだけのアプリケーションとは、質が違うスマートさなのである。設計以前の思想のスマートさを感じさせる作りだ。

    というわけで、外観を見ただけでは、そっけないなあと思っていたPEG-S500Cだったが、実際に手にとって操作してみると、軽くて薄くてシンプルで、そのうえ各種アプリケーションの設計。他に類を見ないスマートさを感じさせる、魅力たっぷりのマシンだった。

    あとは、9月までにどこまでジョグダイヤル対応のアプリケーションを増やすことができるか。ソニーの新しいビジネスモデルの構築にも注目しつつ、首を長くして待ちたいと思う。

    (美崎薫)

    ソニースタイルドットコム・ジャパンでは、この7月13日に発表された待望のPalm OS搭載新型PDA「パーソナルエンターテインメントオーガナイザー」の先行予約をに関するアナウンスを開始している。情報を操り、楽しむことを念頭に置いた、エンターテイメント型Palm OS搭載機「パーソナルエンターテインメントオーガナイザー」をいち早く手に入れたい貴方、是非ご覧ください。

    SONY製Palm OS搭載PDA先行予約に関するご案内
    http://pcweb.mycom.co.jp/advertise/sony/palm.html

    デベロッパープログラム
    http://www.sony.co.jp/peg/dev

    新着記事

    特設サイトの情報

      人気記事

      一覧

        イチオシ記事

        新着記事

        特別企画

        マイナビニュースマガジン