【PC EXPO 2000レポート】基調講演 - オーガナイザーからインターネット・データ端末へと進化するPalm

      [2000/06/28]
    Palmの生みの親・HandspringのFounder, Chairman, and Chief Product Officerのジェフ・ホーキンス

    ○ユーザー第一主義がPalm成功のカギ

    PC EXPO 2000の開幕を飾る基調講演は、Handspringのジェフ・ホーキンスが登場した。今回は、「Handspringの~」というよりは「PalmOSの父」としての講演だ。

    まずはPalmの成功を自ら分析した。「コンピュータ崇拝」「多機能主義」「CPU高速主義」「標準化への執着」--以上は、Palm以前のPC界でかたくなに信じられてきた理念だ。これらをPDAにも応用しようとしたことが、Communicater9000(Nokia)やEnvoy(Motorola)など数々のPDAが失敗した原因になったと述べる。

    いっぽう、Palm流の考えは「ユーザー主体」「機能厳選」「軽快な動作」「ユーザーのためのスタイル」など。コンピュータに合わせるのではなく、ユーザーが役立つツールを選択し、必要な機能だけにしぼり込む。いくらCPUが速くなってもソフトウェアが重くなってはメリットがないので、ユーザーが軽快に操作できるかを第一に考えてデザインする。最後の「ユーザーのためのスタイル」はスプリング・ボードを指している。例えばコンパクト・フラッシュは広く普及しているが、CPUが変われば読み込めないことも多い。多くのデバイスで使えることよりも、自分のデバイスで確実に動作し、少しぐらい手荒に扱っても動じない安心感が大事と主張する。

    PalmOSの今後については、"ワイアレス"一色。Palm時代は優れたオーガナイザーを作ることだけを考えていたが、今はワイアレス・インターネット・データをどのように扱うかが課題になっていると述べる(ホーキンス氏はPalmを退社後、98年にHandspring社を設立)。携帯電話とぶつかるワイアレス・インターネットにおいて、Palmの強みはデータ管理と操作性だ。

    「私の持っているエリクソンの電話は機能満載なのはいいけれど、メニューが増えすぎてメニューを減らすためにメニューがある。これでは複雑すぎてスマートではない」

    アドレス・ブックと連携したシンプルな短縮ダイヤル。アドレス・ブックとコーラーID(発信電話番号通知サービス)の連携などPalm独特のシンプルな操作がスマートフォンの分野でも成功のカギとなる。

    パネルディスカッション

    ○いちばんのライバルはiモード!?

    後半は、PalmのCOOであるアラン・ケスラーやAvantGo設立者のフェリックス・リンなどが加わり、Palmエコノミーについてのパネル・ディスカッションとなった。ここで登場したPalmのライバルは、携帯電話、財布、カギ、ノートブックPCなど。財布とカギは、今後デジタル化されてPalmに取り込まれるかもしれないため。ノートブックPCはとりあえず取り上げられたが、PCの世界とPDAの世界は今や全く違うと断言されていた。

    やはり一番のライバルは携帯電話だ。「携帯電話は操作性が悪いので音声通信以外のデータ送信には不便」というのがパネリストの一致した意見だが、大きな謎が1つ。日本のiモードだ。「なぜiモードは売れるのか?」「なぜiモードでメッセージを送るのか?」。Palm企業のトップをしてはっきりとした原因がつかめない。最もiモードに対して理解があったのは、Palmのケスラーだが、ケスラーでもiモードの爆発的な人気ははっきりと分析できなかった。

    だが、iモードから学ぶ点として、1つだけ取り上げられたのが個人レベルのネットワークの必要性。株価情報やニュースなどだけでなく、例えば「学校の回覧」「病院の予約取り消し」「子どものサッカーの試合情報」など、個人レベルの情報交換に対応できるか否かがワイアレス時代のPalmの課題になる、とケスラーが代表してディスカッションをまとめた。

    (Yoichi Yamashita/N.Y.)

    PC EXPO 2000
    http://www.pcEXPO.com

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