2012年にグループ規模で情報系システムをGoogleのG Suiteに集約し、基幹系システムのインフラもAWSへと移行するなど、先進ITを活用した取り組みの数々で知られているミサワホーム。前回に続き、本稿では同社のIoTへの取り組みを紹介する。

ショールームにて、市販のIoT機器の家庭内での実用性を検証

2016年よりミサワホームでは、渋谷にある住宅展示場で市販のIoT製品を並べたワークショップを実施している。その目的は、日々市場に出回るIoT機器について、住宅内における「実用性」と「課題」、住宅メーカーの担うべき役割を見極めることにあるという。

「いまやいろいろな場面でIoTをはじめとした最先端技術を生かした製品を目にします。しかし、実際にそれらの機器を"家の中"に置いたらどうなるかというのは、いまひとつわかりません。そこで、IoT製品を一挙に並べて使い続けてみようとなりました」と、ミサワホーム 情報システム部長 兼 BR働き方改革推進室 担当室長の宮本眞一氏は話す。

  • 宮本眞一氏

こうして、いざ家庭内の環境を想定して使用してみると、配線だらけで見た目も利便性も損なわれたり、WiFiルーターを変えるたびに各機器の設定をし直さなくてはならなかったり、パスワード変更の機能が存在せずセキュリティ面で大きな不安があったり、など、多くの改善点が見出されたというのだ。

「お客さまは家の中で様々な便利なモノをお使いになります。IoT機器にしても実際に家の中で使われるとどうなるか、いろいろ試したいと研究をしています」(宮本氏)

宮本氏は続けて、前回紹介した、"IoTブロック"「MESH」を用いた会議室の予約管理システムが、まさにこうしたIoT機器の可能性、実用性を探る活動の1つだと言う。

「MESH」+「G Suite」=会議室の効率化

予約管理システム導入のきっかけについて、宮本氏は次のように振り返る。「MESHについては、個人的に持っている社員もいたし、私自身もメディアでよく目にしていましたが、具体的に紹介を受けたのはサテライトオフィスさんからでした。サテライトオフィスさんにはG Suiteの導入を手伝っていただいてから現在まで、一貫してIT支援を得ているのですが、MESHとG Suiteとの連携ツールをつくるというお話をうかがいました。渋谷の住宅展示場での経験から、IoTというのは『使ってみなければ効果はわからない』『使ってみることで想定しなかった事態が生じ、それが新たな使い方のアイデアにつながる』ことがわかっていたので、自分達のオフィスでもIoTを活用してみようと決断したのです」

この会議室予約管理システムでは、ブロック形状のIoTセンサーである「MESHタグ」7種類のうち、「人感センサータグ」と「ボタンセンサータグ」の2つを使用する。そしてG Suiteのスケジュール機能と連携しながら、会議室の入口前に設置されたiPad、会議室内に設置されたスピーカーをコントロールするという仕組みを持っている。

  • 「人感センサータグ」と「ボタンセンサータグ」

同システムでは、スケジュールで予定されていた会議が始まって10分過ぎても入室者がなければ、スピーカー等で予告をしたうえで自動的にスケジュールを削除する、会議の終了予定時刻が迫ると10分前と5分前に出席者にスピーカーから告知する、予定よりも早く終了した際には予定を繰り上げて会議室を開放する、といったことが可能だ。入口前のデバイスには、「使用中」「空室」といったステータスや、担当者と参加者、予定時刻と経過時刻、次の予定などが表示される。

  • デバイスに「使用中」「空室」といったステータスが表示される

「IoTの体験機会を社内に提供する、というのが大きな目的でしたが、約3ヶ月使ってみた段階で、会議の効率化という側面でも多くの効果が見えてきました。1つの会議室だけでも、予約しながら実際には使われない空予約が15%を超えていることが判明しましたし、終了前のアナウンスのおかげで時間をオーバーする会議も減りましたね」と宮本氏は言う。

IoTは使ってみなければわからない

ミサワホームでは、センサーやスピーカーの設置場所など、導入成果の最大化に向けた試行錯誤をしながら、現在本社の会議室3室でこのシステムを利用している。本社には16室の会議室があり、2月以降、MESHの会議室予約管理システムを拡大していく構えだ。

「基本的にはすべての会議室に導入したいと考えています。こうして社員みんなの目にIoTが触れるようになることが、ユーザー視点のアイデア創出につながることを期待しているのです。また、会議効率化による効果をスケールしていく意味でも、全会議室へ導入することが有用だと考えています」と宮本氏はコメントする。

こうした様々なIoTへの取り組みから得られた知見やノウハウをベースに、今後もミサワホームでは、商品である家そのもの、家の中の顧客の暮らし、社内の職場環境など、様々な切り口から積極的にIoTの可能性を探っていくという。

最後に宮本氏は、これからIoT活用に取り組みたいと考える人々、もしくは現在、IoT活用を進めているが今ひとつ効果を感じていない人々に向けて次のようなメッセージを送ってくれた。

「とにかくIoTの効果は体験してみないとわからない、これに尽きるでしょう。そして重要なのは、お客様だけでなくサービスを開発するスタッフが実際に体験してみなければ、有用なものはつくれないということです。頭の中でいくら考えていても実際に使ってみると大きく違うのがIoTです。であれば、まずはチャレンジしてみるという姿勢こそが重要だといえるでしょう」

  • ミサワホームでは、働き方改革についても現在、取り組みが進められている。「先進技術は働き方改革の観点でも有効に機能すると考えています」と、同取り組みを宮本氏(右)と一緒に推進する経営企画部 コーポレートコミュニケーション課 主幹 兼 BR働き方改革推進室 エリア再編改善・企画課の宮田氏(左)は語ってくれた

サテライトオフィス


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