気温がグイグイと上昇して日差しが眩しくなってくる頃になると、音楽フェスのハイシーズン。今年もたくさんのアーティストが、各地で行われるフェスを大いに盛り上げてくれることだろう。そこで今回は、日本最大級のフェス情報サイト「Festival Life」の代表を務め、さまざまなメディアにも出演する“フェスティバル・ジャンキー”津田昌太朗氏に、フェスの魅力や今年注目のアーティストについて話を聞いた。

\フェスティバル・ジャンキー 津田昌太朗とは?/

Festival Life:https://www.festival-life.com/

最初はフェスを“嫌っていた”!?

――日本・海外問わず、数々のフェスにまわられている津田さんですが、そもそも“フェス”にハマったきっかけはなんだったんでしょうか?

もともと音楽好きではあったんですが、初めてフェスに参加したのは、僕が高校を卒業するくらいで、大阪の「サマーソニック」でした。洋楽のアーティストが好きだったのですが、たくさんに観られる機会はあまりなく参加してみてましたが、実は……最初はフェスが嫌いだったんです(笑)。

まだ学生でライブに行くにも、お年玉とかお小遣いを貯めてって感じだったので、1組のアーティストを2時間たっぷり楽しみたくて。そのため、複数のアーティストが代わる代わる出演するフェスには、ちょっと否定的だったんです。でも、行ってみたら、見事にハマってしまって(笑)。そこから徐々に、いろいろなフェスに行くようになりましたね。

――最初は嫌いだった、とは衝撃です(笑)。

そうですね。でも、ハマってからはフェス中心で動いていました。大学に入って上京したのですが、それもフェスに行きやすくするため(笑)。当時は関東で開催されるフェスの方が多く、地方のフェスに行くにも関東からの方がアクセスがしやすいんです。

大学生になって「フジロック」に行くのも夢でした。ただ、タワーレコードの渋谷店でバイトを始めたのですが、多くのスタッフがフジロックに行くので一番下っ端の僕は行けず(笑)。悲しみに打ちひしがれてまた1年頑張って、次の年にやっと行けました。そこからフジロックはずっと行っていますね。

――いろいろなフェスに行くために上京して、バイトする。まさにフェス漬けの日々だったんですね。

はい。でも、お金が無かったので、、飲んでいるときに出会った編集者の方にお願いして連れて行ってもらったり。北海道まで鈍行列車で行って、雑誌のフェススナップを手伝ったりとか。なんでも手伝うんで!って言って入れてもらったり、とにかくフェスに参加するために頑張りましたね。

――そこまでさせてしまうフェスの魅力はなんでしょうか?

やっぱり“出会い”ですかね。フェスに行くと、いままで知らなかったことが体験できるんです。例えば、新しい音楽との出会いももちろんだし、他にも、その地方のごはんを食べられたり、そこでしか出会わないような人に出会ったり。そういう自分で行って体験するということに快感を覚えてしまったんです。フェスの音楽だけを楽しむのではなく、その前後の旅だったり、現地の人に会ったり、大きいステージじゃなく小さいステージの地元の人に出会ったり。そういうことにも興味が湧いたんです。

――フェスから始まっていろいろなところにつながっていく感覚が良かったんですね。そんなフェス三昧の学生時代を終えて、広告代理店に就職されますが、そこにもやはりフェスが絡んでるんでしょうか?

はい。やっぱりフェスに行くのはお金がかかるので、とりあえずちゃんと働いてみようと(笑)。エンタテインメントやメディアに関わることがしたかったし、音楽にも関われそうだったので。

――ブレないですね(笑)。そこから独立に至ったわけですね。

「Festival Life」は、もともと広告代理店にいた頃から運営していました。当時から編集長をやらせてもらっていたのですが、そのサイトがだんだん大きくなってきて。とうとう自分のいる広告代理店から「出稿できますか?」とか自分に電話がかかってくるという、不思議な状況になってしまって(笑)。

――確かにそれはいびつな感じですね。最終的な決断のタイミングは覚えてらっしゃいますか。

僕は、イギリスの「グラストンベリー・フェスティバル」に行くのが夢だったんですけど、その頃にたまたま友達がチケットを取れて“連れてってやるよ”って言ってくれて。

しかも、ザ・ローリング・ストーンズって普段はフェスとかにあまり出ないんですけど、50周年記念で、その年のグラストンベリーに出演してたんです。ストーンズのライブに行くことも夢だったから、もう同時に夢が叶った日でした(笑)。

そして彼らが、最後に「Satisfaction」を歌うんです。何もかも手に入れた男が“満足できない”って歌うんですよ。それを前の方で観ていて……その瞬間、「今の現状に満足しちゃダメだ!」と思って、帰りの飛行機の中で退職届を書いて、帰国したその日に提出して、辞めることになりました。

――すごい行動力(笑)。ここでもフェスが人生を変えたわけですね。

その後、イギリスに移住して、とにかくたくさんの海外のフェスをめぐりました。フェスを回るために車を買おうと貯金をしていたのですが、それを全部フェスと旅で使い果たしてました(笑)。

最近のフェスは進化してきている

――お話をうかがっていると「Festival Life」という言葉に重みを感じられますね。本当に生きざまという感じがします。現在の「Festival Life」のサイトについて教えていただけますか?

国内のフェスの情報を発信しているのですが、ちょうど4月にリニューアルをしました。今、日本のフェスは400~500くらいあって、それを網羅している形です。フェスが好きな人たちが運営しているので、PVとかSEOもそこまで気にしていないんです。SNSとかも業者に頼んでいなくて、自分たちで気づいたときにやる感じなんですよね。

――それでも広がっていくのは、やはりフェスが好きな人がやっているというのは大きい気がします。

フェス自体に関わる人が増えているというのもあると思います。地方のフェスでは、地元のバンドや、学生のブラスバンドが演奏する、なんてこともあります。そうすると、友達とか両親も観に行こうと思うじゃないですか。そしたら、次の年も行ってみようという人も出てくる……そうやって、どんどん増えていってるということもあるんじゃないかと。

――最近のフェスの傾向としていろいろなものとコラボしたり、新しい形になったりしていますよね。

SXSWなんかは最新のテクノロジーと結びついていますし、GO OUTがアウトドアに音楽を足しました、みたいなことをやったり。アウトドアもフェスの一環だったら始めやすい。なぜなら、音楽を聴くためにアウトドアをするという理由があるから。フェスが色々な入り口になっているような気がします。実際に僕も、そこに“フェス”があったからここまでアクティブになれたんだと思います。

――フェスにも家族連れなど新しいオーディエンスも増えましたよね。

昔は年輩の方とかは“フェスとかちょっと……”って感じだったけれど、今は一度フェスを卒業した人たちが親になって子どもや家族を連れて戻って来ていたりする。家族を連れ立ってフェスに行くスタイルが出来ていますよね。

フェスって基本的に自由なので、極端な話、会場に行くだけでライブを見なくてもいい(笑)。自分でプレイリストを作ってフェスに行く道中で聴いて、会場ではダラダラ過ごすのもアリなんですよ。だから例えば、今日は子どもがいるから、子どもが好きそうなアーティストを聴こうかなとか、そういうところもいいんじゃないかなと思います。

津田さんが今年注目するフェスとは?

――そこまで自由なんですね(笑)。津田さんにフェスに対する熱い思いを語っていだきましたが、津田さんが今注目しているフェスはなんでしょうか? 教えて下さい。

今年、ポイントとなるのは、やっぱり最後を迎える「Taicoclub」でしょうね。Taicoclubは“フェスってイケてる!”というイメージを浸透させたフェスだと思うんです。モテキの舞台にもなったりとか。それが1つの役目を終えて、次に新しいことを始めたいというポジティブな意味でクローズする。日本のフェスシーンを振り返ったときに、大きなマイルストーンになるんじゃないかと思いますね。

――まさにフェスの時代が変わる瞬間、かもしれないですね。

あと、今年はヒップホップ勢に注目したいですね。フジロックのケンドリック・ラマー、サマーソニックのCHANCE THE RAPPERは絶対に見逃せないですね。この2人がどこまで日本で観客を盛り上げられるのかに気になります。

――ヒップホップの流れが変わるかどうかのタイミングですね。

ケンドリック・ラマーは去年アルバムをリリースして、コーチェラのヘッドライナーを務めたり、チャンス・ザ・ラッパーも地元シカゴのロラパルーザでヘッドライナーに抜擢されるなど、最近のアメリカのフェスシーンの中心人物たちですから。日本でも、ヒップホップ勢のフェス進出は注目したいですね。去年のフジロックのPUNPEEなんかは、ベストアクトにあげる人も多いくらい話題になったり。

挙げればキリがないのですが、それこそ、SpotifyのCMにもあっこゴリラが起用されましたもんね。※あっこゴリラさんのインタビュー記事はこちら

――確かに! ヒップホップの変化の兆しはあるかもしれません。そのほかにもおすすめのフェスはありますか?

おすすめのフェスを教えてとよく言われるのですが、もちろんその人の音楽の趣味だってあるし、住んでる場所も違うので、ベストなフェスを提案するのはなかなか難しいのですが……そんなときに最近よく言うのが「自分の地元のフェスに行ってみたら?」です。

日本全国津々浦々でフェスが開催されているので、実は住んでいる場所の近くとか、実家の近くでも調べてみるとフェスが開催されていたりするんです。しかも結構豪華なアーティストが揃っていたりして。そこで、知らない地元の名産が食べられたりとか、フェス好きの地元の人に出会えたりとか。新たな遊びとして、地元のお祭りみたいな感覚で行ってみるのも楽しいかもしれません。

――確かに、地元なら気軽に行けますし、発見が楽しそうですね。

フェスの主催者同士ってつながっているんで、フェスに行ったら“フェスinフェス”みたいな感じで、別のフェスの情報が入ってくることもあるんです。「このフェスに影響を受けました」とか、「ステージ装飾は〇〇のフェスが手伝ってくれました」とか。そうやって自分好みのフェスの情報をゲットできたり。

――そうやってフェス沼にハマっていく、と(笑)。最近、フェスで見てよく聞いているアーティストはいますか?

3月にSXSWに行ってきたんですけど……日本勢だと、yahyelとCHAIのことを外国の友人からよく尋ねられましたね。他にも洋楽勢だと、Shoppingというイギリスの3ピースバンドとか、アメリカのSylvan Essoはもともと好きだったのですが、今年さらにブレークしそうな予感がしました。あと来日組でいうと、6月に来日するGoat Girlとか、フジロックで来日するSuperorganismもフェスでみてからよく聴いています。

――今、フェスのチェックや、最近よく聴くもののチェックもSpotifyをご覧になってましたが、普段からよく使ってるんですか?

フェスの予習・復習でよく使ってますね。最近、よくも悪くもフェスが流行っているので、あんまり予習せずに行く人も多いんです。でもしっかり予習していくとわりと3日間ヒーローになれるんです(笑)。それに海外、特にヨーロッパとかだと、Spotifyとフェスってセットというか当たり前なんですよね。

フェスの公式アプリとSpotifyが連携しているのもわりと当たり前だけど、日本ではまだまだなので、今後はそのあたりにも期待したいです。きっと僕がSpotifyを好きなのって、フェスに似てるからなんですよ。次々と自分の知らない“未知”に出会わせてくれるおもちゃ。僕にとってSpotifyは、いつでもどこでも好きな音楽も聴けて、さらに新しい音楽にも出会えるという、小さいときに考えてた音楽プレイヤーの最終系なんです。

――確かに、好きなアーティストやプレイリストから数珠繋ぎで繋がっていく感じとか、フェスに似ていますね。

そのほかにも英語のコメディとか寝る前に聞いたりしてます。英語の勉強にもなるし、動画と違って見る必要がないのが、うとうとしながら聞くのにちょうどいいんです。また、アルバムがリリースされたときに、アルバム収録曲の合間にアーティスト本人による解説コメントが挿入されるプレイリストが作られたりするんですが、これもかなり聞きますね。あとは、Spotify Liveとかも。

実は、広告代理店を辞めたとき、Spotifyで働きたいと思って交渉したこともあって(笑)。でもタイミングが合わなかったんですよね。Spotifyが海外ではじまってからずっと有料会員でしたし、それくらい好きなサービスです。

――かなり使い込んでらっしゃるんですね(笑)。Spotifyを使って、ぜひたくさんの人がフェスを楽しめるようにメッセージをお願いします。

Spotifyはたくさんのフェスのプレイリストがあるので、それを聴いて予習したり、フェス気分を味わって、いろんなフェスに行ってみてください。あと、できたら海外フェスにも! 今の日本はだんだんフェスが日常になってきているけど、海外フェスは本当に非日常。やっぱりフェスという空間が、ちょっと開放されているので、観光地では見えてこない“リアリティ”があって、そういうところは面白いですよ。

今年の夏に海外フェスの本を出版することになったんですけど、「いつか行ってみたい」と思っている人におすすめの内容になっているので、一度読んでみてほしいです。

――本当にフェスによって人生が変わった!って感じですね。

フェスは人生を変えてくれるくらい楽しい体験ができるかもしれなので、たくさんの人にフェスに行ってもらえたら嬉しいです。

――津田さん、本日はありがとうございました!

Spotifyにはフェスのオフィシャルプレイリストなどもあり、楽曲を聴きこんでから行けるのでフェスをより一層楽しめるはず。どのフェスに行くか迷っている人は、一度Spotifyでチェックしてみてはいかがだろうか。

また、現在フジロックやサマーソニックの公式サイト内で、同フェスティバルに出演するアーティストの曲の中から、Spotifyがあなたの好みに合う曲を自動的にセレクトし、あなただけのオリジナルプレイリストを生成する機能を展開中。この機会にぜひ、あなただけの夏フェスプレイリストを作成してみよう。

●フジロック公式サイト内「My Fuji Rock Festival」 http://www.fujirockfestival.com/artist/playlist.html

●サマーソニック公式サイト内「My Summer Sonic Playlist」 http://www.summersonic.com/2018/playlists/

※Spotifyに登録しているユーザーは、上記サイトに遷移後、「スタート」ボタンを押し、ご利用のSpotifyアカウントと同期させることでこの機能を楽しむことができます

Spotify内でも様々なフェスのプレイリストが楽しめるので、合わせて聴いてみるとよいだろう。

●FUJI ROCK

●サマーソニック

●Taicoclub※作成者:Festival Life

※「Festival Life」もSpotifyにてプレイリストを公開中! 詳しくはこちら

【要Check!】
Spotifyのホーム画面に並ぶ種別の“ジャンル&気分”には、「音楽フェス」というカテゴリーを用意。とにかくフェスについてチェックしたい方はココがおすすめです!

- 津田さん・関連情報 -

▼世界中の音楽フェス情報書籍「THE WORLD FESTIVAL GUIDE」
津田さんが過去に参加した海外フェスを中心に、世界中の音楽フェスの情報をまとめた一冊が発売予定です。

▼音楽フェス情報サイト「Festival Life」
津田さんが運営する日本最大級の音楽フェスサイト。詳しくはこちら

[PR]提供:Spotify