9月は3月に続いて転職する人が多い月。また、あらたな四半期の始まりで転勤や配転属を迎える人も多いはずだ。そんな第二新生活時期とも言えるこの時期に、心機一転、パソコンも新たな環境を整えたいという人もいるだろう。ビジネスだけでなくプライベートでもしっかり使える製品を選ぶため、マイナビニュースのデジタルジャンル 林利明編集長に、オン・オフでも使えることを意識したPC選びのポイントを語ってもらった。

なお、本稿中に記載する価格はすべて税別である。

オンとオフ両方で使えるPCの選び方

ビジネスマンがパソコンを選ぶ場合、最近はBYOD(Bring Your Own Device)の動きもあって、会社でも使うことを考え、"モビリティ"(可搬性・携帯性)という観点からノートPCを選ぶ人が多いだろう。

もちろんこれは、ひとつの正解なのだが、最近は在宅勤務やテレワークといった、新しい勤務形態も登場しており、従来よりもモビリティを重視する必要性は必ずしも高くない。したがって、仕事も意識したパソコン選びもずっと選択の幅が広がったと言っていい。

そこで今回は「ノートPC分野」と「デスクトップPC分野」の2つの軸を対象にそれぞれ推奨機種を選ぶことにした。モビリティを重視したい人はノートPC分野を、スペックを重視したい人はデスクトップPC分野をそれぞれ参考にしてほしい。

マイナビニュース デジタルジャンル 林利明編集長

今回の選択基準としては、仕事に使うだけでなく、自宅でのプライベートな趣味にも利用できることを重視している。ビジネス用途ではMicrosoft Officeなどが快適に利用でき、プレゼンテーションなどにも活用しやすいこと。プライベートな用途では動画の視聴やゲームなど、目的に合わせたコンテンツの再生や作成に十分なスペックを備えていることが重要だ。このため、あえてモビリティよりも性能を重視した機種選びをしている場合もある。

ノートPC分野では、伝統的なクラムシェル型のノートPCに加え、タブレットPCとしても使える2in1型のPCも選択肢に加えている。これらを選ぶポイントとしては、『軽さ』『大きさ』『インタフェース』『スペック』、という順になる。

『軽さ』と『大きさ』については言うまでもないが、単に小さく、軽ければいいというものでもない。特にビジネス用途では、表計算アプリなど、用途によっては画面サイズがある程度大きい方が使いやすい。一方で、カバンに収まるかどうかも重要な問題だ。モビリティと使い勝手のバランスを考慮して、画面サイズは11インチから13インチ前後に抑えた方がいいだろう。また、持ち歩く際の重さについては本体だけでなく、電源アダプターや、必要であれば光学ドライブなどの重さや大きさも考慮したほうがいい。

『インタフェース』については、特にビジネスユースではプロジェクターなどに接続する機会も多いため、外部ディスプレイ接続の有無を確認したい。以前より利用されているVGA端子(D-sub)に加え、最近は液晶TVなどに接続するためのHDMI端子の出番も増えたので、HDMI付きのモデルが理想的だ。

また、最近は特に薄型ノートを中心に、外部端子がUSB Type-Cコネクタに集約されているものもある。こうしたモデルはコネクターがすっきりする反面、既存のインタフェースに接続するためにアダプターが必要なことがあり、結局荷物が増えてしまう傾向にある。Type-Cコネクターが普及するまでは従来型のインタフェースを搭載したモデルのほうが安心だ。

スペックについてはモバイル、特にタブレットや2in1タイプの場合、特に低消費電力に特化したCPUを搭載しており、処理性能に特化したモデルは少ない。とはいえ、オフィス作業が中心で、あとは動画などの配信サービスを楽しむだけであれば、より低いCPUでも大丈夫だろう。

デスクトップPCはノートPCと比べ、サイズが大きくなる反面、電源や熱設計に余裕があり、モバイル向け製品と比べるとはるかにパワフルなCPUやGPUを搭載できる。性能面の余裕があれば、3DゲームやVRといった、高度なリソースを要求する最新コンテンツも気兼ねなく楽しめるわけだ。そこで、せっかくデスクトップPCを選ぶからには、パワーを最重視して選びたい。パワー重視のPCとしては、3DCG作成などに使われるクリエイター向けの「ワークステーション」と、ゲーマー御用達の「ゲーミングPC」があるが、ここでは汎用性の高さからゲーミングPCをお勧めしたい。

ゲーミングPCにも様々なモデルがあるが、どうせ買うならCPUもGPUも上位のモデルを惜しまずに選んでしまうのも手だ。ただしハイスペックなモデルはタワー型の大きなケースを採用していることが多いので、置き場所も限られる。購入前に、あらかじめ設置スペースを決めておこう。

デスクトップPCの場合、ディスプレイも別途必要になるが、せっかく高性能なPCを選ぶなら、ディスプレイも最新の4Kディスプレイを選びたい。4Kディスプレイは文字どおり横方向が約4,000ドットの高解像度ディスプレイだ。なお、古いモデルや安価な4Kディスプレイには、HDMI接続時に画面を書き換える「リフレッシュレート」が30Hzまでのものがあり、画面がちらついて目が疲れることもある。せっかく買うのであれば、リフレッシュレートが60HzのHDMI 2.0に対応したモデルを選ぼう。

おススメのモデルは?

オンとオフの両方に使えるパソコンの選び方については紹介したので、ここからは実際にどんな製品を選ぶべきなのか、BTO製品を扱うマウスコンピューターの製品を例に、その中からおすすめの3製品を紹介していこう。

13.3型のモバイルノートPC「LB-J520B2」

作業を快適にこなせる広さを持つ13.3型フルHD液晶と高速な「Core i5」CPUを搭載しつつ、約1.5kgと軽量なモバイルノート。モバイルノートの軽快さと、スタンダードなノートPCが持つ汎用性の高さを併せ持つ1台だ。外部インタフェース類も充実しており、モビリティとパフォーマンスのバランスが高いレベルで取れているため、初心者からパワーユーザーまで幅広くジャストフィットするだろう。予算に余裕があれば、BTOによるカスタマイズでSSDを追加したり、メモリを増設して購入することも考慮したい。

11.6型の軽量モバイルノートPC「MB-C250E2」

11.6型のHD液晶を搭載し、使いやすいA4サイズで約1.3kgと軽量なボディに身を包んだモバイルノートPC。モバイル性を重視したモデルながら、クアッドコアのCeleronプロセッサーを搭載しており、内蔵の「Intel HD グラフィックス500」GPUは4K出力や、HEVC(H.265)、VP9といった最新の動画コーデックをハードウェアで処理できる性能を持つ。今回選択した「MB-C250E2」は、基本モデルの「E1」よりSSDの容量が倍増して実用性が高まっており、4万円を切る高コストパフォーマンスが魅力の1台だ。

ゲーミングデスクトップPC「MASTERPIECE i1620PA1-SP2」と28インチの4Kディスプレイ「ProLite B2875UHSU」

パフォーマンス重視のデスクトップPCには、ゲーミングPCブランドの「G-Tune」でもフラッグシップとなる「MASTERPIECE」シリーズをチョイス。CPUにはIntelのCore i7シリーズを、そしてハイエンドな「GeForce GTX 1080 Ti」GPUを搭載し、最新の3DゲームやVR、4K動画の編集なども楽々動作する余裕のパワーが最大の魅力。さらにコストパフォーマンスが高いiiyamaブランドの4Kディスプレイをセットにすることで、マシンパワーを余すところなく発揮できる。

それでは次ページから、各製品を詳しく解説していこう。