【特別企画】

千原ジュニアの脳で生まれたものを天然100%で番組に – よしもと森俊和Pが明かす"頭にフルスイング"の裏側

人間の頭をプラスチックのバットで思い切りフルスイングすると、血がほんのり……そんな地上波ではお目にかかれない光景が、Amazonプライム・ビデオのバラエティシリーズ『千原◯ニアの◯◯-1GP』で繰り広げられている。

今やMCにコメンテーターと幅広く活躍する千原ジュニアだが、この番組において「本当に熱がある」と見るのは、よしもとクリエイティブ・エージェンシーの森俊和プロデューサー。そんな森氏に、番組の裏側やこだわりなどを聞いた。

森俊和プロデューサー

――森さんはこれまでどのような番組に携わってきたのですか?

よしもとに入って10年くらいになるんですけど、最初は大阪で半年、その後東京で2年ほどマネージャーをやらせてもらった後に番組制作に携わるようになり、8年くらいになりました。最初はAP(アシスタント・プロデューサー)業が主で、『リンカーン』(TBS系、2005~13年)などをやらせていただいて、その後、ジュニアさんが出ていた『ざっくりハイボール』『ざっくりハイタッチ』(テレビ東京系、11~16年)という番組の立ち上げから、終了までやらせていただきました。他にはタカトシさんの『フットンダ』(09~14年)から『ビックラコイタ箱』(14~16年)、『採用!フリップNEWS』(16年~)という中京テレビさんの番組をずっとやらせていただいているのと、今は『ダウンタウンDX』(読売テレビ・日本テレビ系、93年~)も担当させてもらっています。

――そうすると、ジュニアさんとの出会いは『ざっくりハイボール』ですか?

ジュニアさんは覚えてらっしゃらないと思うんですけど、CSのチャンネルNECOでやっていた『千原ジュニアの映画製作委員会』(09~12年)という番組で最初に関わらせてもらいました。そこではそんなにお話しすることもなかったので、ガッツリ一緒にお仕事させていただくようになったのは『ざっくり―』からですね。

――当時のジュニアさんの番組に対する姿勢は、いかがでしたか?

『ざっくり―』は、立ち上げのときに、ジュニアさんとテレビ東京の伊藤隆行プロデューサーなどとの食事会があって同席したんですけど、そこで「ジュニアさんの好きなことをやる番組にしよう」という話になって、本人の熱量が高かったことを覚えています。毎回企画を打ち合わせして、作家さんやディレクターさんが内容を詰めて、もう1回ジュニアさんと打ち合わせして、収録して…みたいなことを5年間やっていましたので、それはすごい勉強になりました。

――今回の『千原◯ニアの◯◯-1GP』も、ジュニアさんはかなり自由にやらせてもらってるとお話しされていますので、またそういった番組ができたという感じなのでしょうか?

そうだと思います。ジュニアさんが出られてる番組はチェックするんですけど、「ジュニアさんの案が入ってる番組だなぁ」と思うのもあれば、MCがメインの番組もある中で、今回の番組に関しては、あの時のようなジュニアさんの熱が高い番組だなというのを感じながら、一緒にやらせていただいています。

――今回の番組は、どのような経緯で立ち上がったのですか?

それこそ、よしもとのAmazonさんの窓口の人から「『ざっくりハイタッチ』みたいな番組やれるってなったら、ジュニアさんどうかな?」と言われたんで、「めっちゃ良いと思います!」と答えて、やりましょやりましょ!って話になりました。

――そのお話を、ジュニアさんに入れた時の反応はいかがでしたか?

僕がいうのもアレですが、本当に少年のような目をされて「ええな!ええな!」って言われていたように記憶しています。最初は配信数が6本くらいという予定だったんですが、始まってもいないのにみるみる増えていっても、ジュニアさんは「増える分には全然いい」って言ってくれたので、本当に熱があるんだなと思いました。

――そんな中で、ジュニアさんは「ダメだろうと思う企画も全部通る」と喜んでいました(笑)

そうなんですよ、「これ、誰が止めるんだ?」みたいな(笑)。たぶん僕なんだろうなと思いながら、結局止めることはできていません(笑)

――この番組におけるプロデューサーの役割は、どのように意識されているんですか?

とにかく、ジュニアさんの脳で思いついたものを、どこまで具現化できるのかということに尽きると思います。出てきた企画に対してできるだけ形を変えずに配信できるかかというのが、プロデューサーの役割だと思っています。

――最初の企画である「フルスイング-1グランプリ」(※1)は、ジュニアさんも「頭にほんのり血が出てます」とおっしゃってましたし、最初に思いついた通りのコーナーになったのではないですか?

いやぁ、あれが一番大変でして…。頭を殴るんで、法務にも確認して、安全性の部分を実はすごく綿密に打ち合わせしました。でも、そういう裏方の部分が見えてしまうとサブい企画になってしまうんで、そこをなるべく出さずに、かつ“安全”というところを探る作業をやりました。

(※1)…ふとした言動や行動で人を傷つけている、傷つけた人を、プラスチックのカラーバットで頭にフルスイングして制裁する企画

――番組では「スタッフが何回も試しました」と説明してましたが、森さんもフルスイングを食らったんですか?

やったんですよ! 動画も撮って「いてぇーー!!!」ってなったんですけど、法務に見せたら「いや、ダメでしょ」と却下されて(笑)。そこから試行錯誤して、ようやく企画が進められました。

――この「フルスイング」はジュニアさんが企画したにもかかわらず、本人はバットで叩く側でなく、叩かれる側ですよね。これは本人の意向だったんですか?

そうですね。もちろん、制作側からも「ジュニアさんは叩かれる側の方がいいんじゃないですか?」と意見を出しました。ジュニアさんのイメージってシュッとしてて、青山とかに歩いてそうじゃないですか(笑)。でも、地上波と差別化するとしたら、ジュニアさんが汗かいたり殴られたり、男にキスされたりとか、そういうところがある種の見どころだとも思っているんです。でもそれって、本人には面白いかって分からないじゃないですか。だから、制作側の人間が「そっちのほうが絶対面白いですよ!」と言って、アイデアを出すように心がけてはいますね。

――ある種“地上波よりも体を張っている”というところも、見どころの1つなんですね。他に、制作で心がけている点はありますか?

怒りのトークを持った人が来て、豆腐をバーンって壁に投げて、怒りを調味料に変えて最後は麻婆豆腐にして食べる「怒りの麻婆豆腐-1グランプリ」という企画があるんですけど、それって一見、豆腐を粗末にしているように見えるじゃないですか。でも、そこでジュニアさんとも話したのは、とにかくこの豆腐をしっかり食べて、無駄にしないということだったんです。最後は麻婆豆腐にして食べるって、なんかシャレてるじゃないですか。「フルスイング-1グランプリ」でも、嫌だった気持ちを清算して、ハッピーエンドで終わるんです。そういう“たたみ方”がジュニアさんはすごくうまいんです。他の番組でもそうなんですけど、僕も見習ってただただ不快感で終わるのではなく、人の温かさとかが出るハッピーな番組作りを、心がけていますね。

――ところで、以前ジュニアさんに取材したときに、この番組はジュニアさんにとってどんな存在ですか?と聞いたら、「近所に新しくできた公園」とおっしゃっていました。森さんにとっては、どんな存在ですか?

すごい表現ですよね(笑)。僕はその公園の管理人みたいな感覚です。「ここのすべり台は少し高くしておきました」とか、「夏なんで緑増やしておきました」みたいな。公園をきれいにして、ジュニアさんが遊んでいるのが楽しく見えるように、他の人が来ても楽しく遊べるようにっていうのを、やっているんだと思います。

――それこそ、安全面もそうですよね。

そうですね。でも、僕はほぼそこを管理しきれてないですけど(笑)

――そんな地上波とは違う“公園”を管理する中で、ほかにも配信ならではの部分を感じることはありますか?

地上波ではあまり見ない人が結構出演してくれています。NON STYLEの井上(裕介)さんには休業明け早い時期で出てもらいましたし、山本圭壱さんとか狩野英孝さんなどにも積極的に出演してもらっていて、出演者の違いはあるなと思いますね。他のAmazonプライム・ビデオの番組でも演出面の工夫をしているそうで、『今田×東野のカリギュラ』ではなるべくテロップを入れないらしく、僕がプロデューサーをやらせてもらっている『野性爆弾のザ・ワールド チャネリング』はあえてテンポを悪くしたりとか、テレビに慣れている人が見たときにちょっと違和感を覚えるようなことを意識して編集しているんだと思います。

――そうした演出面は、まだ発展途上というか、探りながらやっているというところでしょうか。

そうですね。海賊船がどんどん出ていってるっていう感じです(笑)。みんなが旗を上げて「おれらが一番おもろいぞー!」みたいな。だから、制作者もAmazonプライム・ビデオの他の番組の並びは、結構気にしてると思います。

――ワクワク感が伝わってきます。周囲の反響はいかがですか?

評判はいいと思います。あと、制作会社の人や放送作家さんからは「一緒にやりたい」と言ってくれる人が多いです。「Amazonさんに企画持っていける?」とお話をいただくことが、すごく多いです。

――芸人さんの方はいかがですか?

やりたいという声は多いと思います。ジュニアさんもそうですけど、すごく豪華な方々がやられているので、Amazonプライム・ビデオで冠を持つということが、1つのステータスになればいいなと思います。10年後20年後に、若手の芸人も「いつかAmazonで冠を持ちたい」って思えるような環境になっている可能性は、すごくあるなと思いますね。 そのためにも面白いコンテンツ作りになるように一生懸命取り組ませてもらっています。

――Amazonプライム・ビデオや地上波に限らず、今後こういった番組をやりたいという展望はありますか?

僕、フジテレビの『ザ・ノンフィクション』が、毎週録画するほど大好きなんです。編集や演出では出せない人間の味があるじゃないですか。あの生レバーを食べてるような、「素材そのまま生かしました」みたいな感覚が好きで、それを見て感動したり、俺も頑張ろうと思ったりするんです。だから、いつかドキュメンタリー番組を作ってみたいですね(笑)

それと、最近思うのは、芸人さんあってこその企画がいいなと思います。『ENGEIグランドスラム』もやらせてもらっているんですけど、フジテレビの藪木(健太郎/演出・チーフプロデューサー)さんは、芸人さんのことをすごく理解されている方だなと思うんです。僕も、芸人さんのことが好きでこの会社に入ったので、やっぱり芸人さんがやって良かったと思ってくれたり、芸人さんが損しないような企画がしたいと思います。その思いは捨てずに持ち続けたいですね。

森俊和
1985年生まれ、大阪府出身。甲南大学卒業。よしもとクリエイティブ・エージェンシー入社後、大阪・東京でのマネージャー業務をへて、映像制作セクションを担当。現在は、『千原◯ニアの◯◯-1GP』のほか、『野性爆弾のザ・ワールド チャネリング』『ダウンタウンDX』『採用!フリップNEWS』などのプロデューサー

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●『HITOSHI MATSUMOTO Presents ドキュメンタル』

●『野性爆弾のザ・ワールド チャネリング』

●『今田×東野のカリギュラ』

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