【特別企画】

正義か悪か、『仮面ライダー555』稀代のアンチヒーロー草加雅人の魅力は「語りつくせない深み」 - 「CSMカイザギア」発売記念! 村上幸平スペシャルインタビュー

 

「大人のための変身ベルト」をコンセプトに開発されたバンダイボーイズトイ事業部の「COMPLETE SELECTION MODIFICATION(CSM)」の第17弾として、『仮面ライダー555/ファイズ』に登場する「仮面ライダーカイザ」の変身ベルト・カイザギアが、「CSMカイザギア」として発売される。同社にて行われた商品化リクエストアンケートにおいて、ダントツ1位の結果を受けての商品化である。

放送開始から14年。『555』はなぜ今でも多くの人の心をつかむのか、そして、なぜアンチヒーロー的存在である草加雅人という男にこれだけ多くの人が惹かれるのか――。今回は「CSMカイザギア」の発売を記念し、カイザの変身者である草加を演じた俳優・村上幸平にインタビューを実施。撮影当時の思い出や、十数年の時を経ても愛される草加の魅力について訊いた。

草加雅人を演じた村上幸平 撮影:大塚素久(SYASYA)

――村上さんが『555』に出演されたのは、オーディションがきっかけだったのでしょうか?

そうなんですけれど、最初はファイズに変身する乾巧役でオーディションを受けていたんです。あのころ同時期に『爆竜戦隊アバレンジャー』のオーディションも受けていましたが、あちらは2次審査で落ち、『555』は3次の最終で落ちました。

よく覚えているのは、最終審査の時に隣に座っていたのが、巧役に決まる半田健人くんで、ひとり置いて向こうにいたのが菊池啓太郎役の溝呂木賢くんだったこと。オーディションに落ちて、その後オンエアを見ていたら、あっ、俺の隣にいた奴だ!なんて(笑)。

それ以来『555』は見ていなかったんですけれど、ある時に事務所から「2番目のライダー役に決まったよ」と知らせが入りました。聞いた話だとカイザの時にもオーディションがあったのですが、該当者がいなくて……そういう経緯で僕のところに出演依頼が来た、ということらしいです。

――第13話で巧や真理、啓太郎の前に姿を現した草加雅人は、非の打ちどころのない好青年、さわやかでたくましい男として描かれていましたが、実は相当に腹黒い人物で、表と裏の使い分けがハッキリしているかなりクセの強い男でした。草加の言動によって、巧や木場(ホースオルフェノク)たちは激しく翻弄され、人間関係がこじれていきました。このような草加を演じて、どのような思いを抱かれましたか。

僕が草加を演じるにあたって、転換点になったのが第16話のセリフ「俺の事を好きにならない人間は邪魔なんだよ!」なんです。あの場面で、ひとつ踏み越えられたかな、と思いました。田村(直己)監督の演出のおかげもあったのですが、あそこでもう、まっとうな道にはいけないな、越えてはならないラインを越えた、という思いが強まりました。

――表面上はオルフェノクと戦う人類のヒーローでありながら、その性格が極めてダーティという草加には、放送終了から十数年を経た今なお根強い人気がありますね。

草加が今でも多くのファンの方から愛されている理由としては、彼についていくら語っても語りつくせない深みがあるからじゃないでしょうか。彼の根本は正義なのか、悪なのか……。捉え方によっては、どうにでも捉えられるんです。性格が悪くて周囲の人間関係を常にひっかきまわすけれども、一方で誰よりもオルフェノクを倒していますからね。一言で「こいつはこういう奴なんだ」と言いきれない、という部分は草加を語る上で重要だと思います。

――テレビシリーズ、映画版を含む『555』全てのエピソードを執筆された脚本家・井上敏樹さんとは、放送当時からのお付き合いで今でも仲良くされているそうですね。井上さんと当時どんなことをお話されていましたか。

最初にお会いした時のことは、今でも鮮明に記憶しています。井上さんからは「悪いけど、俺のほうが草加雅人は上手いぞ」と言われたのが心に残っていて。井上さんはすべてのキャラクターのセリフを自分で演じながら書いている、って言うんですよ。それを聞いたら、役者としては悔しいですから、草加を演じるときは「井上敏樹を超える」思いでやっていました。最終的には「お前が草加でよかったよ」と言っていただけてうれしかったです。

――井上さん自身も、非常に屈折した性格で物語をかき回す草加というキャラクターは大変お気に入りだとうかがっています。

あのころは、毎回の台本をいただくのが本当に楽しみでしたね。常にこちらの予想を超えてくる内容なんですよ。井上さんが書かれた小説版『仮面ライダーファイズ正伝 異形の花々』の後書きにも書かせてもらったのですが、草加がなぜいつも手をウエットティッシュでふいているのだろうか、僕なりに草加の過去を想像して「こうじゃないんですか」ってメールをしたことがありました。そのときは「惜しいな」と返事が来たのですが、これが井上さんと仲良くさせてもらうきっかけになりました。

『555』はご存じのとおり1年間もの連続シリーズなのですが、演じているほうは現状の台本があるだけで、先の展開とか、誰がどうなるってことがまったくわかっていないんです。だから、今後どうにでも修正できるような芝居をするときもあれば、こういう風になったらいいな……と期待しながら意味深な芝居をすることもありました。「こうなればいいな」というのは、次の展開を考えているはずの井上さんに対する勝負だ、という思いがありましたね。僕の演技次第で、今後のストーリー展開が変化する可能性もありますから。そういうところは、役者としてはやりがいがありますよね。

――最終回で「現場監督」として特別出演しているくらいですし、井上さんは『555』に並々ならぬ思いをそそがれていたのでしょうね。

あの最終回、よかったですよね。僕はすでにオールアップしているにも関わらず、出演者みんなで井上さんが芝居するところを見に行きましたから(笑)。井上さんとは今でもご自宅で酒を飲んだり食事をごちそうになったりと、お世話になっています。料理にも並々ならぬこだわりと腕を持っている井上さんですが、僕も料理を教わったことがあるんです。一度、井上さんの家でチャーハンを作ったらぜんぜんダメだったので、中華鍋の使い方からご飯をパラパラにするテクニックまで、全部教えてもらったんです。それ以来チャーハンは僕の得意料理になりました(笑)。

――印象的なセリフが多い草加ですが、今回の「CSMカイザギア」にも収録されているという彼のセリフで、もっとも気に入っているものは?

そうですね……たくさんあるのですが、あえて3つくらいに絞りましょうか。第16話の「俺の事を好きにならない人間は邪魔なんだよ!」は、草加を代表するセリフですよね。誰もが一度はこんなこと言ってみたいと思っても、なかなか言えない(笑)。まさにアンチヒーローというか、草加らしいセリフです。

次は、第37話で巧に言った「お前、死にたいんだってな。俺は木場とは違う。望みどおりにしてやる!」ですね。これは台本では最後のところが「手加減はしない」だったのですが、僕のアイデアで「望みどおりにしてやる」に変更していただいたんです。これが唯一、井上さんの脚本を変えさせてもらった部分ですね。

その後の戦いの場面で「この化け物がッ!!」と草加が叫ぶところも、僕のアドリブです。あと、第30話で澤田(スパイダーオルフェノク)に向かってニヤリと笑いながら言った「じゃあ、死んでもらおうかな……」も印象深いですね。澤田を演じた綾野剛くんとのシリアスなお芝居をするのが楽しくて……。あのとき草加が見せた邪悪な表情がイカしてるなあって(笑)。綾野くんとは今でもたまに連絡を取りあっていて、以前実施したイベント「913(カイザ)祭」のためにメールで一言メッセージをもらえないかってお願いしたら、わざわざ動画メッセージを送ってくれて。あれはうれしかった!

――放送から10年以上もの歳月がすぎましたが、当時の映像を見返してみていかがでしたか?

今と比べるともちろん拙い部分や、初々しいところが多々あるんですけれど、芝居っていうのは技術だけじゃなく、あの時だけしか出せない"味"というものがあると思うんです。今の僕があのころの草加を演じたら、「なんか違う」って言われますしね(笑)。あの初々しさ、至らなさも含めて草加ですし、あの映像の中でガムシャラに頑張っている姿というのが「若さ」だったりするんです。そういうものを表現できたのは、やはりあの時しかなかったんだろうなと思っています。

――昨年は『動物戦隊ジュウオウジャー』(2016年)でヒーローたちを助けるジュウオウバード/バド役として、ひさびさに特撮番組にセミレギュラー出演されましたが、若きヒーロー俳優さんたちにどんな印象を抱かれましたか。

バドは面白い役でしたよ。回が進んでいくうちに「これ以上変身したらヤバい」とか「お前の体はもう耐えられない」とか言われて、「あれ? こんなセリフ以前にも聞いたぞ?」なんて思いました(笑)。ジュウオウジャーの若い子たちが「子どものころ『555』を見てました!」と言ってくれるのを聞いて、僕自身が昔『大戦隊ゴーグルV』(1982年)、『宇宙刑事ギャバン』(1982年)、『科学戦隊ダイナマン』(1983年)などを夢中で見ていた子ども時代を思い出しました。

子どものころヒーローを見ていた人が成長してヒーローになり、それを見ていた子どもが成長してヒーローに……という、これまでの長い歴史とこれからの未来について思いを馳せるようになりましたね。きっと『ジュウオウジャー』を見ている今の子どもたちの中から、新しいヒーローが生まれるんだろうなっていう……。いま僕は年に1度「913(カイザ)祭り」というイベントをやっていますが、お客さんの層も大人のファンだけでなく、かつて『555』を見ていた子どもたちが大人に成長して、見に来てくれることが多くなってきたんです。平成ライダーがシリーズとしてずっと続いていて、今や特撮作品が「文化」として完全に根付いている印象を受けました。

「CSMカイザギア」はプレミアムバンダイで9月13日11時より予約受付がスタート。仮面ライダーカイザに変身するための変身ベルト「カイザドライバー」と、全長約87cmの発光する「カイザブレイガン」のほか、「カイザポインター」、「カイザショット」など8点が含まれた豪華セットとなっている。「カイザフォン」には新規録り下ろしした70種以上の草加雅人の名台詞に加え、着信音中にCALLボタンを押すことで、園田真理、菊池啓太郎からの通話セリフも再生することが可能。さらに、変身解除音、変身失敗時の灰化する音のほか、「カイザ、圧倒的な力」、「サイドバッシャー」と「EGO~eyes glazing over」の3曲のBGMを搭載している。価格は48,600円(税込)。2018年3月発送を予定している。

解説/『仮面ライダー555/ファイズ』とは

2003年に放送された連続テレビドラマで、平成仮面ライダーシリーズの4作目にあたる。変身ヒーローと怪人が現実社会に出てきたら、人々はどのような対応をとるのか、といったリアリティを突き詰めるドラマ作りを目指した『クウガ』(2000年)、立場の異なる3人の仮面ライダーがそれぞれの信念に基づいて行動する群像劇を描いた『アギト』(2001年)、そして複数の仮面ライダー同士が自分の「願い」をかなえるため最後の一人になるまで争い合うという、ヒーローの「正義」に大きな揺さぶりをかけた話題作『龍騎』(2002年)と続いてきた平成ライダーで、4作目の『555』では原点である第1作『仮面ライダー』(1971年)を見つめ直し、「ヒーロー」と「怪人」の存在意義を破壊した上で再構築を試みる、興味深いドラマが指向された。

もともと仮面ライダーを名乗って悪のショッカーと戦う本郷猛は、ショッカーによって「バッタ」の能力を与えられ、改造人間にされた存在。つまり、仮面ライダーもショッカーの怪人たちと根っこの部分は同じだというわけだ。『555』では、一度死を迎えた人間が「覚醒」して生まれ変わった「オルフェノク」なる怪物が、人間を襲って命を奪う「敵」として登場する。このオルフェノクと戦う「味方」として活躍するのが、ファイズギアを使って仮面ライダーファイズに変身する乾巧や、園田真理、菊池啓太郎といった仲間たちである。ドラマは巧たちの戦いを描きながら、一方でオルフェノクとして生きる道を選んだ木場勇治、長田結花、海堂直也という若者たちの苦悩や葛藤も同時に描いており、単なる「正義が悪を倒す」勧善懲悪の物語ではない、確固たる主義主張を秘めた各キャラクターが織りなす見応えのある熱い群像ドラマを展開した。

解説/『555』における「ベルト」の意義

このように、ヒーローサイドと怪人サイドのウエイトをほぼ同等に描くという試みを行った『555』での"鍵"となるアイテムが、オルフェノクを支援する巨大企業・スマートブレイン社が開発した一連の「ベルト」、すなわちファイズギア、カイザギア、デルタギアである。本作の特徴として、仮面ライダー(劇中ではその名称は呼ばれない)に変身できる者は特定されておらず、ある「重要な条件」さえ満たすことができれば誰でも変身することが可能となっている。

乾巧はファイズに、草加雅人はカイザに変身してオルフェノクと互角以上に戦う戦闘能力を得ることができるが、ファイズギア、あるいはカイザギアをオルフェノクに奪われてしまうと、たちまちファイズやカイザが人間にとっての恐ろしい敵になってしまう。仮面ライダーに変身する主導権が変身する者でなく、ベルトのほうにあるという本作の設定は非常に斬新で、毎回予測不能のスリリングなストーリーが展開された。

解説/草加雅人とは

第10話からその姿を見せた2人目のライダー「カイザ」は、ファイズと同じくカイザドライバー(ベルト)のバックル部分に携帯電話型のカイザフォンを装填することによって変身を完了する。しかしベルトに適合していない人間が使用すると、一回は変身が可能となるものの、変身を解除したとたん死んでしまうという、"呪いのベルト"として恐れられていた。このベルトを使いこなすことのできる唯一の人物として、第13話より登場したのが草加雅人だった。なぜ草加だけがカイザに変身した後も生きていられるのか、その秘密は、謎めいた草加の過去にあった。幼なじみの真理を守り、オルフェノクを倒すことだけに執着し、自分の目的を果たすためならどんなに酷い嘘をつくことも平気という非常にクセの強い草加は、『555』のドラマを語る上で絶対に外せない重要な存在である。

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