【特別企画】

製造業界の救世主あらわる! 中小企業と大企業のエンジニアリング格差を埋める

アルテアエンジニアリングが主催する国内最大級のCAE、HPCに関するユーザー会、「2017 Japan Altair テクノロジーカンファレンス(ATC)」が7月25・26日に都内で開催された。数々の大手企業や有名企業が登壇する中、参加者が熱心に聞き入ったある非営利組織の講演があった。デジタル設計モデルを活用し、設計品質向上や試作コスト削減などを図るデジタルプロトタイピングの取り組みを中小製造業に普及させる、デジプロ研である。本稿では、デジプロ研 代表の太田明氏へのインタビューの様子をお届けする。

デジプロ研 代表 太田明氏

中小企業の支援で日本の製造業全体の底上げを

――講演では、大企業がエンジニアリングの高度化を進めているのに対し、中小企業においては取り組みが進んでおらず、結果的に格差が広がっているとのことでした。この現状をどのように見ておられますか。

実際、あるハイエンドの数値最適化ソフトウェアでは全世界のユーザーの60%を日本企業が占めているなど、日本の大企業では明らかに高度化が進んでいます。しかし多くの中小企業ではソフトウェアの急速な進化についていけず、CAEはもとより3D CADも十分に使われていないのがほとんどというのが実態でしょう。多くの場合は、設計部門の各チーム・各人がそれぞれ扱い慣れたツールを使っている、個別最適な形態といえます。

――デジタルプロトタイピングの実践には解析ツールが不可欠ですが、他に必要なものは何でしょうか。

適切なソフトウェアを選択すると同時に、そうしたツールを組織として生かす体制作りも重要です。そこでポイントとなるのは、映像やゲームなどの制作現場で行われているようなワークフローの考え方です。どのソフトウェアのどの機能を誰がどのように使うのか、そのデータをどのように加工して次のソフトウェアへ渡すのか、といった具体的な作業プロセスをひとつずつ作り上げていくのです。

しかし、多数のツールをきちんと評価するには膨大な時間が必要ですし、その上で現場それぞれの特性に合ったツールを選ぶことはさらに困難です。コンサルティングを受ければ経験を積むより近道ですが、多額の費用が発生するため、中小企業ではなかなか手が出せません。

――デジプロ研が解決しようとしているのは、そういった課題なのですね。

デジプロ研は、協賛企業や個人サポーターからの支援で運営する非営利組織で、デジタルプロトタイピングの手法を研究・開発すると同時に、その知見やノウハウを元にしたコンサルティングサービスを、無償あるいは非常に低額で提供していきます。中小製造業にも、コンサルティングを受けるという文化を根付かせたいとも考えています。そうして、デジタルプロトタイピングの普及を通じて製造業全体のさらなる躍進を図っているのです。

私自身、前職は有機ELディスプレイ製造装置メーカーに設計開発エンジニアとして11年間勤務しまして、設計や解析など数々のソフトウェアを扱う中で、それらの評価も得意としています。デジプロ研でも同様に最新ツールの評価を続けており、その評価を提案に生かしていきます。我々はソフトウェアの直接販売は行っておらず、公平中立な立場で選定・提案を行うことが可能です。これも非営利活動ならではの強みと言えるでしょう。

設計者CAEの普及を阻害するものは?

――今回の講演では、設計者CAEに重点を置いていました。これもやはり太田さんの経験上、失敗に陥りがちな部分ということでしょうか。

解析専任でない人がCAEに携わるという部分に、現状はかなりのハードルがあります。設計者は、ミッドレンジのCAEツールくらいは使っていそうなイメージですが、実はまったく使っていないことが多く、知識もほとんどありません。ここにも、エンジニアリングの高度化による格差拡大があるのです。設計者CAEは料理と同様、「スキル」と「レシピ」、そして「環境」(道具)の3要素が欠かせません。ツールや利用環境を整え、設計者にスキルを身に付けさせても、なかなか活用が進まないのは、解析手法やワークフローといったレシピが抜け落ちているからです。

――解析専任者は解析手法を身に付けているため見落としがちで、解析のプロでない設計者にとってはそこまでの認識がないため、いずれもワークフローを構築するという点に考えが及んでいないのですね。講演では設計者CAE推進のために、3つのポイントを挙げておられましたね。

最初のポイントが、「必ずしも3D CADは必要ない」ということです。設計モデルと解析用モデルが別であることはシミュレーションの鉄則ですが、CAEの経験がない設計者にはあまり知られていません。3D CADソフトウェアの多くがデザインCAEを提唱していることもあって誤解されている部分です。ツールも重要ですが、同時に自分たちが本当にやりたいことや、自分たちの仕事の強みなども重視すべきであり、ワークフロー構築には自社の特性にマッチするソフトと利用技術を見出すことが重要となります。

それから、「ミッドフィールダーを育てよう」というのが2つ目のポイントです。解析専任者と設計者との間にある知識やスキルのギャップを埋めるために、まずは設計者側からひとり、ある程度の知識やスキルを身に付けてもらい、両者の橋渡しになってもらうのです。

最新ツールを用いた「トポロジー最適化」が救世主?

――最後のひとつは、「トポロジー最適化が救世主に」というものでしたね。

CAD/CAE分野にも“ウケが良い技術”というのがあります。その代表ともいえるのが、トポロジー最適化です。トポロジー最適化の中にも「剛性最大化」、「質量最小化」といった2つの方法があります。今回の講演では、この最適化の例として、マンホールの蓋の軽量化に向けた解析結果を示しました。

最新CAEソフトウェアによるマンホールの蓋の解析例。数値最適化手法のみでは1kgの軽量化に留まったが、トポロジー最適化を実施すると7kgもの軽量化を実現。さらにトポロジー最適化後に数値最適化を重ねることで11kgの軽減を達成

トポロジー最適化は、普通の設計者では誰も思いつかないような発想が得られます。しかも始めると奥が深いのが特徴です。さまざまな結果を見ていくことで、設計センスを磨くことにも役立ちます。

――たしかに、トポロジー最適化は設計者CAEを定着・発展させていく良いきっかけになりそうですね。このトポロジー最適化には、どのようなツールを推奨しているのでしょうか。

実は、トポロジー最適化は新しい技術分野だけに、良いツールが少ないという状況です。非営利組織という立場から決して特定ベンダーの肩を持つつもりはないのですが、数々のCAEツールを比較した結果、最も優れているのがアルテアエンジニアリングの「solidThinking Inspire」(以下、Inspire)でした。Inspireは機能と操作性のバランスが高い水準でとれており、優れたユーザビリティで3時間もあればすぐに習得できて解析結果を出せる、新しい技術の醍醐味をどんどん実感できるなど、他のツールより頭ひとつ抜きん出た存在です。

かれこれ2、3年間はInspireに触っていますが、ここ1、2年の改良は目を見張るものがあります。アルテアエンジニアリングはユーザーの声をきちんと聞いている印象で、特にメカ設計者の目線に立ったユーザビリティ向上が優れていますね。今後もこの調子で、設計者のニーズを上手に取り入れていってほしいです。

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