卓越したAF性能と高感度画質

「EOS M6」が搭載しているCMOSセンサーや画像処理エンジン、オートフォーカス(AF)システムは上位機の「EOS M5」と同等。キヤノン最先端の技術を採用している。ここでは、EOS M6で実際に撮影した作例を見ながら、その機能・性能について感想を述べていこう。

水面から急に潜ってきたペンギンを捕捉。鯱(しゃちほこ)のような珍しいポーズの一瞬を写せたのも、AFの高速化があってこそ。なお、背景の歪みは水槽のアクリルによるもので、当然、レンズの影響ではない。EF-M18-150mm F3.5-6.3 IS STM 焦点距離 35mm F5.0 1/800秒 ISO100

まずは、あらゆるシーンで高速な位相差AFが働く「デュアルピクセルCMOS AF」によって、大きく進化したAF性能について触れたい。実は筆者、これまでサーボAFを使った動体撮影の経験があまりなかったのだが、EOS M6を使ってみて「自分でもイケるかも」と自信を持つことができた。

とくに便利だったのが新機能の「スムーズゾーンAF」。大まかに画面の1/9ほどのエリアを指定してAFを働かせることで、動きを予測しにくい被写体もカメラ任せで捉えやすくなる。AF固定で最高約9.0コマ/秒、動体追従(サーボAF)時でも最高約7コマ/秒という高速連写と相まって、これまで「置きピン」で挑んでいた運動会の撮影も本格的に取り組めそうだ。

5月に開催されたハーレーダビッドソン ジャパン主催のイベント「BLUE SKY HEAVEN 2017」にて撮影。写真家・増井貴光氏に教わって、流し撮りに挑戦した。この画像は撮影した一部をトリミングしたものだが、クリックすると全体が表示される。EF-M18-150mm F3.5-6.3 IS STM 焦点距離 150mm F16 1/80秒 ISO100

「デュアルピクセルCMOS AF」の解説図。1つの画素が2つのフォトダイオードで構成されており、すべての画素が位相差AFセンサーとして機能する

EOS M6の設定メニュー。動体撮影初心者にとって、サーボAFとスムーズゾーンAFは最高に頼りになる

次は、高感度撮影時の画質について紹介したい。EOS M6は、APS-Cサイズ・有効約2,420万画素のCMOSセンサー、キヤノン最先端の画像処理エンジン「DIGIC 7」を搭載。常用ISO感度はISO100~25600に向上しており、暗所撮影性能が強化されている。

下の作例は、夕方遅めの時間帯に街中で撮ったスナップだが、感度の設定はISO3200。A4サイズにプリントをしても、ノイズは気にならず、十分に満足できる画質だ。このような高感度設定でもクオリティが担保されることで、いざ「厳しい撮影環境だ。どうする?」というときに、シャッター速度を上げられる、露出を明るくできる、といった余裕が生まれる。

ISO3200で撮影した夕景。高感度耐性が高ければ、暗いシーンでも速めのシャッター速度に設定できる。EF-EOSM + EF50mm F1.8 STM 焦点距離 50mm F3.5 1/125秒 ISO100 露出補正 -1/3

こちらはISO2500で撮影したもの。EF-M22mm F2 STM 焦点距離 22mm F2.8 1/125秒 ISO2500 露出補正 +1/3