カシオ計算機は、その社名の通り、電卓の歴史とともに発展してきた企業だ。現在でも国内トップシェアメーカーとして数多くの電卓を販売しており、その種類は多岐にわたる。そんなカシオ計算機が、このたびカラフル電卓スタイリッシュ電卓のラインアップを一新。それが以下である。

机上に並べられた全モデル、全カラーのカラフル電卓スタイリッシュ電卓

机一面に広がるくらい多くのラインアップを取り揃えている、新しいカラフル&スタイリッシュ電卓。一体どのような狙いでデザインされたのだろうか? 今回、製品のデザインと開発を担当した3名にお話を伺ってみた。

左からプロダクトデザイン部 宮原氏、コミュニケーションデザイン部 村田氏、第一商品企画部 玉本氏、という別々の視点を持ったみなさんにお話を伺った

新しいカラフル&スタイリッシュ電卓が目指したデザインとは?

―― 私もそうなのですが、「電卓といえばカシオ」という印象の人が多いと思います。そんなカシオ計算機が販売している電卓には、どのような製品があるのでしょうか?

カシオ計算機株式会社 コンシューマ開発部 第一商品企画部 玉本 真一 氏

玉本氏:国内で言いますと、まず「本格実務電卓」があります。これは電卓を毎日高い頻度で使用される経理の方などに向けたもので、実用性に注力した製品です。より一般的な用途を想定した製品として、2つの税率に対応できる「W税率電卓」や検算に便利な「チェック電卓」をラインアップしています。

少し趣向を凝らしたモノですと、機構や機能にこだわった「防水電卓」、レシートのようにすぐ紙に出力できる「プリンター電卓」、環境に配慮した「グリーン購入法適合電卓」、理系の学生にはおなじみの「関数電卓」、ローン計算や繰上返済計算に便利な「金融電卓」なども用意しています。近年ではモノにこだわりのある方に向けた高級モデルの「S100」も発売しまして、好評をいただいておりますね。

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―― そんなに種類を用意されているんですね。では、カラフル電卓・スタイリッシュ電卓をそれぞれリニューアルされた理由は?

玉本氏:電卓は個人で購入される方が多いモデルですので、入学や入社、転勤など生活が変わるタイミングで、製品を選んでいただくチャンスがあるのかなと思っています。 特にカラフル電卓、スタイリッシュ電卓は、デザインという面に注力した製品ですので、その時代に合った色や形を提案し、ユーザーの方に新しい電卓の活用や利用シーンの開拓を促し、市場に影響を与えていきたいのです。

―― 今回の製品は、色のバリエーションや丸みのある形だったり、これまでの電卓の"カタイ"イメージとは違う感じがしますよね。デザインテーマなどあったのでしょうか?

カシオ計算機 デザインセンター
コミュニケーションデザイン部 村田史奈 氏

村田氏:カラフル電卓・スタイリッシュ電卓の両方を通じて、「MY STYLE」というテーマでデザインしています。電卓は機能がシンプルな商品ですので、"色"を通じて、ユーザー個人個人のライフスタイルに合った一つを選んでもらえるような製品の展開を狙っています。

カラフル電卓で特にイメージしたユーザーは、雑貨が好きな方です。電卓の機能も大切ですが、モノとしてのかわいさを前提としてデザインしました。

スタイリッシュ電卓は、自分の持っているモノ、一つ一つにこだわりを持っているような"デキるビジネスマン"のイメージです。なので、仕事の電卓は会社支給という人もいると思うんですが、ビジネスのシーンで使っている姿がちょっと目を引く、そんな洒落ているデザインを目指しました。

―― 実際にデザインするにあたって、事前に決めていたことはありましたか?

村田氏:今回はシリーズ全体として、各製品のカラーを1トーンでまとめました。カラフル電卓はビビッドやパステルカラー、スタイリッシュ電卓はメタリックやシックなカラーですが、本体の色だけでなく、パッケージも含めて、1トーンで統一しています。"C"、"AC"キーなどよく使うキーを、補色で目立たせている電卓が多いのですが、今回はそこも同系色を使うことで、1トーンが際立つ配色になっています。そうすることで、お店に来られた方に、好きな色やその日の気分で「この色いいな」と手に取ってもらえるような、インパクトを与えたいと思いました。

従来のモデルではフロントパネルに2トーンを利用していたが、新モデルでは1トーンにまとめられた

また、パッケージではできるだけ機能の紹介を行わないようにしました。パッケージの文字からわかるのは、桁数くらいでしょう。カラフル電卓、スタイリッシュ電卓の特徴はカラーやデザインですから、他の情報よりも、色に注目してほしかったのです。

製品本体にあわせ、パッケージの色も製品と同じものを採用。またパッケージには製品名と桁数以外の説明を記載していない

玉本氏:お店ではわかりにくい部分なのですが、実は本体背面のカラーもフロントパネルと同じカラーに統一しており、1トーンにこだわっています。過去のモデルでは本体の表面と裏面では色が異なっていたので、横から見たときにちょっと違和感がありましたが、今回はより色の統一感が出せているのではないでしょうか。

本体背面のカラーもフロントパネルと同色を採用している