ハイパーコンバージドインフラは企業システムの標準的な選択肢に

企業システムは、統合・仮想化を中心とした従来型データセンターの時代から、クラウド技術を活用した次世代データセンターの時代へと移り変わろうとしている。その転換期にある現在において、システム担当者には、厳しい目を持ってインフラを選定・調達する責任が課せられている。

クラウド環境では、複数のハードウェアをシームレスに融合して、膨大な量の仮想マシンを稼働させ、ソフトウェアで統合管理するという利用方法が一般的になる。ビジネスが急速に変化する近代においては、システムが稼働するまでの時間をできるだけ短くしなければならない。そのため従来のシステムのように、サーバー、ストレージ、ネットワークを個別に調達し、相互接続試験などの細かな検証を行って、個別に運用するというスタイルでは、もはや時代が求めるスピードに追いつかない。また、ITエンジニアが不足しがちな現在においては、作業負荷に耐えることも難しい。

そこで注目されているのが、これらサーバー、ストレージ、ネットワークを1~4Uほどの小型筐体に収めた「ハイパーコンバージドインフラ(HCI)」だ。メーカー側が事前検証を行い、ソフトウェアやハードウェアが最適化された製品として提供されるため、細かな設計や検証を行う必要はない。また保守・サポートも、ベンダーが一元的に受け付けているケースが多い。ハードウェアや仮想基盤技術にうとくとも、すぐに利用を開始できるというメリットは大きい。

ちょっともの足りない大規模環境向けのHCI

しかしながら、人気のHCIにも課題がないわけではない。ネットアップ マーケティング本部 広報室 室長 篠木 隆一郎氏によれば、大規模環境での活用に関するニーズを満たせなくなっている傾向があるという。

ネットアップ マーケティング本部 広報室 室長 篠木 隆一郎氏

「HCIは、小規模な環境向けに成長してきた分野ですが、エンタープライズ企業でのニーズが高まるにつれて、大規模環境の要件にマッチしない面が浮き彫りになってきました。『パフォーマンス』『柔軟性』、そして他のITとの連携を含む『インフラの管理性』という3つのポイントで、課題が残されていると分析しています」

複数のワークロードが稼働する環境では、あるワークロードの負荷が他のワークロードに悪影響を及ぼすケースが見過ごせないという。いわゆる「ノイジーネイバー(うるさい隣人)」の存在だ。大規模になればなるほど、内在するシステムは複雑になっていくため、パフォーマンスの変化に応じて、細かに制御する機能が必要になる。

柔軟性は、拡張性とも言い換えられる。基本的にHCIは、サーバー、ストレージ、ネットワークをセットとして捉え、ビジネスの拡大などでシステム強化が必要になったときには、このセットを追加することでシステムのパフォーマンスを向上させる。つまり、CPUのみ、あるいはストレージのみを増強するという柔軟性に欠けるため、拡張が過剰になってしまうケースが多い。

HCIは運用しやすいシステムではあるが、大規模になればなるほど煩雑になりがちである。ハードウェアからハイパーバイザーまで完全に統合され、初期導入から将来的な拡張まで、一元的に管理できるシステムが望ましい。最先端の自動化技術を活用し、多くの管理作業が自動化されているとベストだ。ハイブリッドクラウドの時代が進むにつれて、他のITシステムとの連携も重要になる。

専業ベンダーのストレージ技術が満載

こうしたニーズに応えるため、ネットアップは2017年6月、同社初となるHCI製品「NetApp HCI」を発表した。篠木氏は「後発」と表現しながらも、ストレージ専業ベンダーが投入した「エンタープライズ向けのHCI」に自信を見せる。

NetApp HCIのベース技術は、同社のスケールアウト型オールフラッシュストレージ「NetApp SolidFire」だ。たとえばパフォーマンスの面ではSolidFireの「QoS」機能を実装し、複数のワークロードを他に影響しないように稼働させることが可能になった。加えて、すべてのVMを1台単位で制御し、予測可能なようにパフォーマンスが可視化される。データベースやVDIなど、用途に応じてハードウェアを使い分けるという煩雑さは、NetApp HCIには存在しないというわけだ。

NetApp HCIは、冗長化された2Uのシャーシ×2台を最小構成としてスタートでき、完全に無停止で拡張していくことができる。また特徴的なアーキテクチャとして、コンピュートノードとストレージノードをきっちり分離しており、1台のシャーシに4つのノードを搭載できる点があげられる。

NetApp HCIは1台のシャーシに4つのノードを搭載でき、拡張が容易なことが特長だ

ネットアップ ソリッドファイアー事業部 SEリード&テクニカルアカウントマネージャー 松浦 敦氏

さらに特筆すべきなのが、ノード単位でも拡張できる点だ。たとえば6ノード(4ノード+2ノード)からスタートし、ストレージを拡張したいときにはストレージノードを、CPU/メモリを拡張したいときにはコンピュートノードを、選択的に拡張できるというわけだ。ネットアップ ソリッドファイアー事業部 SEリード&テクニカルアカウントマネージャー 松浦 敦氏はメリットをこう説明する。

「従来のHCIと比較すれば"裏技"ともいえる手法ですが、ユーザーにとっては非常に大きなメリットです。小規模向け、大規模向けそれぞれのノードも用意していますので、導入時でも拡張時でも、流動的なニーズにぴったりフィットさせて、投資を最適化することができるのです」

NetApp HCIはストレージノードとコンピュートノードを個別に拡張できる

ハイブリッド時代を見据えた最先端のNetApp HCI

管理面では統合管理ツール「VMware vCenter Server」を用いて、ウィザード形式の画面操作で簡単かつ短時間で導入作業を終え、利用を開始できるのが特長だ。上述したような仮想マシンのプロビジョニングやQoS設定、ログの表示やレポーティングなども、統合されたvCenterのUIで一元的に作業できるため、インフラに不慣れでもそれほど困ることはない。

さらにネットアップは、多数のAPIも開発・公開しているため、他のクラウド管理環境などとの統合や、統合管理ツールへの参加も容易に実現できる。SolidFireのデータファブリック技術も応用されており、パブリッククラウドサービスとの連携や、AltaVaultを活用したクラウドバックアップなどにも対応する。近い将来に一般的になるハイブリッドクラウドに備えたHCIだといえるだろう。

今後HCIは、企業規模を問わずスタンダードな存在になることはまちがいない。NetApp HCIは、HCIのなかでも特に重要なストレージに同社の技術を採用しており、性能面でも管理面でも特に優れた製品となっている。従来は希少だったエンタープライズ環境向けのHCIとして、強力な選択肢になるだろう。

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【開催直前】NetApp Innovation 2018 東京

  • 開催日時
    2017年11月30日(木) 9:00 - 18:00(受付開始 8:30 予定)
  • 会場
    ANAインターコンチネンタルホテル東京 〒107-0052 東京都港区赤坂1-12-33
  • 対象者
    情報システム部門にて、システム企画・設計・運用を統括される責任者様、部門長様、およびご担当者様、
    経営企画部門や情報化推進部署などで、システム企画の責任者様、部門長様、およびご担当者様、
    企業向け情報システムの構築に携わる技術者様、企画ご担当者様
  • 主催
    ネットアップ株式会社
  • 参加費
    無料(事前登録制)
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