エキスパートが集合して議論を重ねる

前述の通り、Connected エンジン 3-wayモジュールを企画したのは小島氏である。では、彼がその企画で果たした具体的な役割とは、どのようなものだったのだろうか。

小島氏「どのような機能を実装するのか、そのためにはどのようなモーターやデバイスをどれだけ組み込めばいいのかを考えます。このモジュールを使って、どういった時計を作りたいのか、どういったテクノロジーが必要なのか、モーターをどの針にいくつ割り当てるか、といったことまで考えます」

――各テクノロジー開発者の方々と、かなり綿密に話し合わないと、仮に企画を考えても「可能か不可能か」がわからないのでは?

小島氏「最新の技術開発情報は開発部門内で共有していますので、大まかにはわかります。しかし、今回は新技術要素があまりにも多く、全てを組み合わせて目標を達成するのは非常にハードルが高かったです。そのため、詳細な情報収集や調整は、各部署スタッフとのコミュニケーションが重要でしたね。初回のミーティング時には、商品企画だけでなく、デザインや設計、開発(受信・通信技術)などのエキスパートが一堂に会して、アイディアや意見を出し合いましたし、その後も何か課題が生じるたびに集まって話し合いました。もう、画面を見ながら喧々諤々で(笑)。カシオは部門間の壁がなく話がしやすいので、それがConnected エンジン 3-wayの開発にも、良い形で生かされたと思います」

なお、小島氏によれば、Connected エンジン 3-wayのモジュール開発がスタートしたのは、2014年の後半だという。それは、ちょうどGPSハイブリッド電波ソーラーを初めて搭載したG-SHOCK「GPW-1000」が発売され、OCEANUS「OCW-G1000」の開発が終了した頃。つまり、着手からモジュール量産の見通しが付くまで、2年半を要した計算だが――。

小島氏「各技術者は、その前から基礎研究を進めているので、実際にはそれ以上かかっていますね」

時刻情報の取得方法が増え、みちびき対応、耐磁性能、モーター追加、ディスク針搭載と格段の進歩を遂げたConnected エンジン 3-wayのモジュール。にも関わらず、モジュールサイズ(径)は前作と同じ。厚みに至っては10%薄型化した。これによりOCW-G2000は、ケースが1mm以上薄くなっている(前モデル「OCW-G1200」のケース厚は14.8mm、OCW-G2000は13.7mm)。