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FBIは給料が安い? CIAの内定経験をもつREINAと犯罪心理学者 出口保行がFBIや犯罪心理を解き明かす - 海外ドラマ『ブラインドスポット』

米NBCが70億円というドラマでは過去最高額の制作費で放送前から話題となり、その年のNBC平均視聴率No.1になるなど大ヒットを記録した海外ドラマ『ブラインドスポット』。記憶を失った全身タトゥーの女“ジェーン・ドウ”とFBI捜査官のカートらが、タトゥーに秘められた暗号を紐解いて犯罪や陰謀に迫っていくというストーリーだ。

大ヒットを記録している海外ドラマ『ブラインドスポット』
© 2017 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.

このドラマの魅力を、ブラウン大学やハーバード大学院でテロ対策を学び、インターポールやロイター通信での勤務経験やCIAの内定獲得、FBIの最終試験にも臨んだという異色の経歴を持つお笑い芸人REINAさんと、法務省で心理職として刑務所や少年鑑別所に勤務し、長年にわたり犯罪者の心理分析をしてきた犯罪心理学者で大学教授の出口保行さんにそれぞれの専門的な見地から語ってもらった。

左からCIAの内定経験をもつREINAさんと犯罪心理学者 出口保行さん

――お2人にはすでにドラマの冒頭数話をご覧いただいていますが、どのような印象を持たれましたか?

出口「私のような犯罪心理学者にとっては、予想がつかなくて手こずる事件だと思います。もしこんな事件の法廷証人やってくれと言われたら、断るね(笑)。犯罪捜査というのは過去のデータに基づいて推測していくんですが、このドラマは過去の情報に沿わない。心理学的な用語で言えば“正常性バイアス”と言うのですが、私たちは『こうなるであろう』と、自分に都合の悪いことを無視した予測を常にしてしまっているんですが、このドラマはその正常性バイアスの外に出てしまう。そこが良い意味で観る側を裏切っていると思いました」

REINA「現代に合ったドラマですよね。自爆テロとか複雑になっている現代の事件をうまく描いている。あと、いろいろな機関が出てくるのが面白いですよね。FBIだけじゃなくて、CIAやCDC(米国疾病対策予防センター)も出てくる。ドラマ的な登場の仕方ではありますが、いろんな機関が絡まった事件を描いているところがとてもアメリカ的だと思います。FBIとCIAの関係もアメリカ同時多発テロ事件以降に良くなったといいつつも、今もライバル関係ではありますし、どちらが犯人を引き取るか、みたいなシーンは実際にあると思いますね。もちろんフィクションのドラマなので、ちょっぴりやりすぎかも知れませんが(笑)」

――アメリカで生活していたREINAさんからみて、作品で気づいたことや興味を持ったところはありますか?

REINA「1話でジェーンがネイビーシールズ出身かも、という話がありましたが、シールズってまだ女性隊員がいないんですよ。2015年に法律が変わって女性も試験を受けられるようになったんですが、まだ誰もなってない。だから、もしジェーンがシールズだったら、アメリカ人には相当衝撃だと思いますね」

出口「ドラマを見ていてすごく面白いなと思った部分があるんだけど、多分このドラマは目の動きまでものすごく考えて演技させているんだろうなと思いましたね。今、なぜ視線が動いているんだろう?って、視聴者が気になるように、すごく作りこみが細かい。人間って視線が怖いものだから、遠くからでも視線を向けられていると気づきますよね。それほど目に関心が高いんですよ。恐怖や喜びを目線で感じることもできる。そういうところを注目しながら見ると、また面白いんじゃないかな。実際に犯罪者と話をするときも、騒いでようが暴れていようが、だいたい目を見ていれば分かる。嘘を吐いているのか、本気で言っているのか。目を合わせないやつも怪しいけど、逆にずっと目線をそらさないやつも怪しいんだよね(笑)。口で言っている言葉だけじゃなく、犯罪心理学では行動観察がすごく重要なんですよ。その中でも目線は特に重要ですから」

――REINAさんはFBIに入るための試験も受けたそうですが、何か細かい条件があったりするんですか?

REINA「受けるには、そんな多くの条件があるわけじゃないです。25歳以上で、アメリカ国籍で大学を出ている、とかそれくらいです。体力テストもないですね。入ってからは厳しいそうですが……。アカデミーが1年間あって、架空の街でロールプレイシミュレーションをやったりします。そのためだけの役者を雇って、テロなどの事件のシミュレーションを何回も何回もやるそうなんですよ。筆記試験もありましたが、それよりもこれまで自分がどんな環境で育ち、どんなことをしてきたのか、いわゆるライフストーリーみたいな部分を重視されていた気がしますね」

――最終試験である嘘発見器を用いた試験で不合格になってしまったと聞いたことがあるんですが……。

REINA「そうなんですよ! (その試験で)ウソをついたと判定されて。本当にウソをついてないんですよ? それに今では裁判でも(嘘発見器による証拠は)証拠にならないのに。そういう昔の変なところにこだわるんですよね」

出口「(本当にウソつかなかったの?) ほら、ちょっと目を見せて(笑)」

REINA「大丈夫です、嘘はついてませんよ! ちゃんと目を合わせていますよね?(笑)」

――もし、REINAさんがFBIに入って、このドラマの捜査チームに参加するとしたらどんな立場になりそうですかね?

REINA「私がFBIを受けたときは、アナリストをやってから捜査官に、というパターンだったので、まずはデータ分析などをやると思います。でも、私は単独行動が好きだし、いつも人を疑ってかかるので劇中に出てくるFBIの上司は信用できないですね(笑)。現実社会のFBIでも、かつてはアナリストと捜査官は壁があったのですが、最近になってやっと両方経験する流れができてきたんですよ」

――作品にはテロなど重大な事件も出てきますよね。

出口「テロを防ぐのは本当に難しい。普通は、人が犯罪に至るまでに心理的なハードルがいくつもあって、それこそ自宅のソファから立ち上がるかどうかからイエスorノーの選択をしているんですね。犯罪心理学では、罪を犯すことになるまでイエスの選択をし続けないといけないので、なぜイエスを選び続けられたのかを細かく分析するんですが、動機形成を考える際にリスクとコストを考えるんです。リスクは犯罪行為によって起こりうる危険性、コストは犯罪行為で自分から失われるもののこと。テロリストは、このリスクもコストも度外視しているんです。だからイエスの選択に迷いが無い」

――ジェーンの全身タトゥーはかなりインパクトがありますが、その点についてはどのようにご覧になりましたか?

出口「心理学ではタトゥーには強いハロー効果(※)があると考えられます。人はひとつの特徴に引っ張られて判断してしまう傾向があるんです。最初に持った印象がネガティブだと、そのあとの全てがそうじゃなくてもネガティブなものと捉えてしまうものなんですよ。そういう意味で、日本人と海外の人とでは今回の作品なんかは印象が違うんじゃないかな。日本ではタトゥーは反社会的な印象が強いけど、海外ではそうでもないから」

※ハロー効果とは、ある特定の何かを評価したり、判断したりする際、突出した一つの特徴(今回は全身タトゥー)に引きずられ、他の特徴についての評価がおざなりになるというもの。

REINA「ジェーンみたいな、ここまでのタトゥーはちょっと異常かもしれないですけど(笑)。確かにアメリカでは、タトゥーそのものは表現の仕方として、アートとして考えられていますね。アイデンティティを表すものだったり、何かのカギだったり。女性は後ろに入れることが多いんですよね。腰の後ろにタトゥーを入れる人はちょっと尻軽なイメージ(笑)。耳の後ろはアート系で、首の後ろはヒッピー。って、私の勝手な印象ですけど(笑)。でも、顔に入れるタトゥーは引いてしまいますね……。アメリカでは顔に入れるタトゥーは犯罪を示していることが多くて、犯罪組織に所属していることの証だったり、涙のタトゥーは人を殺した数だったり言われているんですよ」

――ジェーンのタトゥーほど難解でなくとも、タトゥーの形や入れる場所などに意味や傾向があるんですね。最後に、ドラマの見どころを教えてください!

出口「やっぱり、良い意味で裏切りが連続するところじゃないかな。犯罪心理学でいろいろ見てきた私でも、先が読めるものがひとつもない。視聴者と作り手の心理戦が、非常にうまく展開しているドラマだと思います」

REINA「このドラマって、FBI捜査官が本当にリアル。ドラマや映画だとFBIってすごくスペシャルな集団として描かれがちですが、実際は儲からない仕事だし、人数も多くていろんな人がいるので……。だから、借金しているFBI捜査官が出てくるところや書類を持ち帰って彼氏に見られちゃうところなんか(笑)。結構リアリティがあるので、そのあたりも楽しんでほしいですね」

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本作『ブラインドスポット <ファースト・シーズン>』のDVD、ブルーレイ、デジタルセルレンタルは4月26日にリリースされる。犯罪心理学者の目から見ても先が読めず、FBI最終試験の経験者から見てもリアルなクライムサスペンスを、ぜひ楽しんでみてはいかがだろうか。

ブラインドスポット <ファースト・シーズン>
ニューヨークのタイムズ・スクエアで不審なバッグが発見される。出てきたのは全裸の女性。全ての記憶を失っていた彼女の全身にはタトゥーが彫られており、その背中にはFBI捜査官カート・ウェラーの名前があった。ウェラーはこの身元不明者ジェーン・ドウ(身元不明女性の総称)の正体を探ろうとするが、やがてこの彼女のタトゥーが、これから起きようとしている数々の凶悪犯罪、そしてその裏にある巨大な陰謀を紐解く暗号、となっている事を知る……。

ブラインドスポット <ファースト・シーズン> コンプリート・ボックス DVD(12枚組)
14,300円+税
ブラインドスポット <ファースト・シーズン> コンプリート・ボックス ブルーレイ(4枚組)
16,200円+税
「ブラインドスポット <ファースト・シーズン>」公式ホームページはこちら
■REINA
1988年アメリカ生まれ。純日本人でありながら、25歳までアメリカで育つ。ハーバード大学院卒業。学生時代にビル・クリントンの事務所とインターポール(国際刑事警察機構)で働いていた経験や、CIA(中央情報局)やFBI(連邦捜査局)の内定経験を持つ。卒業後、ロイター通信へ入社。2014年来日。現在はタレントとして活動する一方で、ベンチャー企業の役員としてグローバル人材育成の仕事に携わっている。テレビ朝日「陸海空こんな時間に地球征服するなんて」(火)23時~ レギュラー出演。

■出口保行
1985年大学院修了と同時に法務省に心理職として入省。以後、全国の刑務所・拘置所・少年鑑別所で犯罪者の心理分析に従事。分析した犯罪者数は1万人を超える。その他、法務大臣官房秘書課勤務、法務省法務総合研究所勤務等を経て、2007年3月に退官し、同時に東京未来大学こども心理学部教授(犯罪心理学)に着任。2013年からは同学部長。現在、内閣府・法務省・東京都・足立区役所・警視庁・各都道府県警で様々な公職・講師職に就いている。昨年度・本年度、警視庁「地域安全都民大会」のコメンテーターも務め、広く防犯活動にも当たっている。また、少年事件における法廷証言者も引き受け、検察側証人として、被告の処分選択について証言も行っている。

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