世界の命を預かる工具

世界の自動車保有台数は2014年に12億台を突破した。地球上の6人につき1台の割合で自動車は普及している(*)。どんな場所でも車のある生活が当たり前になりつつあるいま、国内外の自動車メーカーは、もっと安全に、低燃費に、快適に、と性能を追求し続けている。

そんな自動車の心臓部であるエンジンをかたちづくるために、ミクロン単位の精密な特殊工具を生産しているのがタンガロイの名古屋工場だ。全国に生産拠点を持つタンガロイは、金属を「切る」「削る」「穴をあける」といったすべてのものづくりに欠かせない切削工具を製造販売するメーカーである。

タンガロイ名古屋工場の外観

2万種類を越えるタンガロイの切削工具のうち、ドリルやリーマ、ツールホルダなどの特殊工具を名古屋工場では生産している。カタログに載っている既存品では性能が満足できない高度な加工を施すためのものだ。自動車のほかにも、航空機のエンジン加工にも用いられている。工場長を務める斉藤武志氏は「自動車も航空機も人命を運ぶので、緊張して作っています」と、責任の重さを語る。

「ワンクランプ加工」で精密加工を実現

超高精度を満たしながら、ロット数の少ない特殊な工具をいかに素早く安定的に生産できるか。こうした命題をタンガロイ名古屋工場では「ワンクランプ加工」によって実現させた。これは、製品を一台の機械ですべて完成させてしまうという加工方法だ。加工段階によっていくつかの機械を渡り歩くと、精度が落ちてしまう。「いったん掴んだら放さずに最後まで仕上げる」ことで、高い品質の製品を安定して供給できるのである。

ワンクランプ加工をするために、タンガロイは専用の製造機械を開発した。それは熟練工の手順を見極め、機械の制御システムに落とし込む挑戦でもあった。自動測定しながら加工し、狙い通りの寸法になったらストップする。これはコンピューターの進歩とともに生産技術を工夫・発展させてきた成果だ。

タンガロイ 名古屋工場 工場長 斉藤武志氏

「会社によって文化が異なりますから、中にはソフトウェアですべて解決しようとするメーカーもあると思います。しかしタンガロイは、治具にもこだわって自動機械を設計しました。治具が貧弱では、精度が出ません。何十年も特殊工具をつくってきたノウハウがあるからこそできたことです」(斉藤氏)

タンガロイ名古屋工場では生産のシステム化を先駆的におこなっており、交代勤務すること無しに機械の24時間稼働を可能にしている。日中に段取りを整え、ボタンを押して帰ると、工作機械が自動的に素材を加工して、完成まで仕上げていくのだ。ひとつの製品をつくるためには、通常4,5種類の工具を用いるが、機械が自動的に交換して工程を進める。また、摩耗して精度が低下してしまった工具は別のものに取り替えるなど、工場が24時間働き続けるように、すべてがシステム化されているのだ。

一方で、名古屋工場はタンガロイの中でも最も熟練工が揃っている生産現場だ。PCD(焼結ダイヤモンド)を使った工具などの「1点もの」を作り込むときは、NC機による「ワンクランプ加工」にはこだわらず、一部は熟練工が指の感覚を駆使して仕上げた方が素早く、精度の高いものができる。ここでは、熟練工とコンピューター加工をハイブリッドさせることで、工具の高い生産性を実現しているのだ。

古い工場が“ショールーム”へ生まれ変わった

タンガロイでは、ものづくりのこだわりを伝えるために、工場見学を積極的に実施している。自動車や航空機のメーカー、切削工具のディーラーなどが、毎週のように見学に訪れる。見学を終えた後に共通するのは「キレイな工場ですね」という反応だ。名古屋工場の敷地には、築50年を越える倉庫もある。しかし、2008年から時間をかけて工場内を“ショールーム”へと変えていった。

タンガロイ 名古屋工場 製造長 上田勝氏

「正直なところ、昔はキレイとは言いがたい工場でしたからとても苦労しました。以前は工作機械の汚れが目立たないよう、あえてくすんだ色で塗り替えていたのですが、汚れがあるということは品質を損なうことにも繋がります。そこで、まずは設備の上に余計な物を置かないよう、清潔に保つ習慣を徹底することから始め、次に設備を一度動かし、床を塗り替えました。また、工場をキレイに保つことで現場の雰囲気も明るくなりました」と、熟練工のひとり、製造長の上田勝氏は当時の説明をする。

さらに、2012年には名古屋工場に「テックセンター」が設置された。複合旋盤や5軸マシニングセンターなどの工作機械を使い、試作品の性能をブラッシュアップしたり、お客様から預かった製品の加工テストを行う施設だ。タンガロイの工具を活用するノウハウをお客様に伝授する機能も持ち、いつも盛況だ。

もっと高度な加工を、もっと難しい加工を。工作機械の精度向上もあって、切削工具には卓越した精度・品質が求められるようになっている。しかし、工場長の斉藤氏は誇らしげに言う。

「今朝、製造課長が『こんな注文がきたんだけどどうしよう』って、ニコニコしながら話していました。難しい物を喜んでやる、そんな文化がタンガロイの名古屋工場には根付いているんです」

タンガロイのHPはこちら
https://www.tungaloy.com/ttj/

(マイナビニュース広告企画:提供 タンガロイ)

*世界の自動車保有台数出典
一般社団法人日本自動車工業会
http://www.jama.or.jp/world/world/index.html

[PR]提供: