【特別企画】

よく聞くピアノは「3歳から」という通説は正しいのか? - 音楽教育学の専門家に話を聞いた

電子楽器を取り扱うメーカーとして有名なローランドでは、「Roland - Blog」にて同社製品に関する情報を配信している。その中で、「ピアノを始める前に知っておきたい5つのこと」と題した、ピアノ講師によるアドバイスをまとめた連載を始めた。

その連載と連動する企画として、マイナビニュース編集部では子供にピアノを習わせたいと思っている親がどれくらいいるのか、マイナビニュース会員の父親150人/母親151人の計301人にアンケートを行った。

まずは、子供に習い事をさせたいと思っている親がどれだけいるのか気になったので質問したところ、父親の80%、母親の76.2%「子どもに習い事をさせたい」と答えた。

正直なところ、筆者にとって母親よりも父親の方が「子どもに習い事をさせたい」と思っているというのは、少し意外な結果だった。

約半数の親が子どもにピアノを習わせたいと思っている!?

さて、次は本題である「子どもにピアノを習わせたいと思いますか?」という質問に対し、結果はどうだったのか、みていきたいと思う。

「子どもにピアノを習わせたいと思いますか?」に対して、父親の61.7%、母親の65.2%「習わせたい」と答えており、なんと父母ともに6割以上の親が子どもに"ピアノを習わせたい"と思っていることが分かった。

また、その理由としては以下のようなものが挙がった。

・「指先を使うと頭も良くなる気がする」(男性/48歳/電気・電子関連/IT関連技術職)
・「リズムがとれるようになると他のこともリズムにのってできそう」(男性/40歳/コンピューター機器/その他)
・「ピアノができれば、他の楽器にも興味が持てそう」(男性/42歳/生命保険・損害保険/事務・企画・経営関連)
・「左右両方の手を使うので頭によさそうなので」(男性/38歳/鉱業・金属製品・鉄鋼/公共サービス関連)
・「絶対音感を身につけさせたい」(男性/38歳/官公庁/技能工・運輸・設備関連)
・「自分が習っていたので」(女性/29歳/家電・AV機器/IT関連技術職)
・「情緒教育のひとつだから」(女性/45歳/建設・土木/事務・企画・経営関連)
・「右脳と左脳の両方によいらしいから」(女性/40歳/ホテル・旅館/販売・サービス関連)
・「ある程度弾けたら大人になってもストレスなどの逃げ道になる」(女性/32歳/教育/事務・企画・経営関連)
・「感性が磨かれるので」(女性/44歳/繊維・アパレル/クリエイティブ関連)

このように習わせたいと思う理由として、ピアノを通して子どもの脳や、豊かな感性の発達を期待する親が多いことがわかった。確かにピアノは知育に良いというような話はよく聞くが、実際はどうなのだろうか。そこで今回、目白大学人間学部子ども学科教授で、音楽教育学を専門としている三森桂子先生に話を伺った。

ピアノはさまざまな楽器を始めるきっかけに

はじめに音楽全般に対して、知育面でどのような利点があるかを訊ねてみたところ、「音楽を習うには地道で根気強い練習が必要です。その過程で身に付く"人として生きていく力"によって、頑張る心や優しい心、やり遂げようとする強い意志を持った人間的成長が期待できます」と三森先生。また、「繰り返し練習を積み重ねることにより、音楽的な感性が育ち、豊かな表現力を表出しようという知的好奇心が大きく膨らみます。そして、音楽を表現する満足感とともに、周囲の人の気持ちを音楽で心地よくしてあげたいという優しさを持った人間性を育むことにもつながります。どんな学びも大切ですが、特に音楽は継続こそが子どもの力になり、心の支えになるのです」とのことだ。

音楽の中でもピアノに特化した場合については「ピアノは譜面が読めなければならないなど、さまざまな楽器を始めるきっかけになります」と、音楽の"入門"として最適な楽器という見方を示す。

しかし、ピアノが情操教育や知育面によいと聞いても、自身がピアノを習ったことがない、音楽経験がない、センスがないなどで躊躇する保護者もいるかもしれない。そんな方へ、三森先生は次のようにアドバイスする。

「親がピアノの経験がなくてもまったく問題ありません。むしろ親子で共に音楽を楽しみ、一緒に練習をしてはいかがでしょうか。ピアノに限りませんが、目標に向かって楽器を練習すること、繰り返し課題ができるまで継続するというのは、自分との戦いでもあります。好きな遊びや興味のある趣味、スポーツ等への気持ちを我慢して懸命に練習している子どもにとって、親の見守りや応援は心強い励みになります。また、家族揃っての楽しみにできれば、親子で味わう魅力や満足感が子どもをさらなる目標に向かわせる向上心につながるでしょう」

とはいえ、親がピアノを習わせたくても子ども自身がまったく興味を示さないということもある。そのような場合には「親がすすんでピアノを演奏し、楽しんでいる姿を見せてあげることが大事でしょう。ご自身が心から楽しみ、魅力ある姿を見せてあげると、子どもは自然とあこがれ、目標として近づきたいと思うようになるものです」という。ただし、「技能や能力は一朝一夕に身に付きません。生活の中で継続して学ぶ必要があり、その後に楽しみや喜びになり、成長がもたらされるものです。親が共に楽しく目標に向かうことによって、子どもも興味を示すようになり、より良い人間関係の中でコミュニケーション能力も育ちます。強制的に無理やり習わせるより、心温かく自然と寄り添うことのほうが大切です」と、子ども自らが興味を持つまで親はやさしく見守ることも大切だと語る。

ピアノは「3歳から」という通説は正しいのか?

読者の皆さんも、ピアノを習わせ始めるなら「3歳から」というのを、一度は耳にしたことがあるのではないだろうか。今回のマイナビニュース会員へのアンケートでも、ピアノには限らないが、「習い事は何歳から始めたほうがよいと思うか?」の問いに対して、「0~3歳」と答えたのは父親が20.8%、母親が20.9%「4~6歳(小学校入学前)」がそれぞれ45.0%41.7%と答え、多くが"就学前に始めるべき"という考えを持っているようだ。これに対し、三森先生は次のように考え方を話してくれた。

「ピアノを習わせる時期は3歳ごろからが理想的という考え方をしばしば耳にしますが、その時期に始めなければならないとは限りません。たとえ年齢を重ねてからであっても、まず大切なことは興味を持って集中し、練習に取り組むことができるかです。また、1日何時間もの練習が必要という考え方も聞きますが、年齢による興味の持続時間という発達過程も考慮する必要があります。無意味な練習は、かえって音楽への興味関心を失わせます。お子さんの気持ちを大切に判断しましょう」

ピアノを習った経験のない親にとっては、ピアノ選びも悩ましいポイントのひとつ。本物志向を目指すのであれば、将来も見据えて最初から高価なピアノを用意しなければならないものなのか。

それに対し三森先生は、「電子ピアノでも、現在はよりいっそうピアノに近い音色、タッチのものが作られてきています。いずれの楽器を選んでも違いによる影響はないと考えています」と自身の考えを述べ、むしろ大切なのは「それぞれの楽器の持つ特徴を活かした練習を考えることを優先してください。さまざまな音色やリズムの機能を備えた電子ピアノは、豊かな音の世界を感じ、リズム体験ができます。それを活かして、音楽にとって大切な響きやハーモニー、身も心も躍動するリズム感を味わいながら変化に富んだ練習を十分に展開してください」とアドバイスする。

子どもにピアノを習わせるべきか悩む親御さんたちへひとこと

最後に、音楽教育の専門家として長年子どもと接する中で感じている、「ピアノを習うことによるメリット」について語ってもらった。

「ピアノに限らず、いろいろな楽器での練習経験があると、その経験を生かして音楽活動を積極的に楽しむチャンスが期待できます。あるいは合唱の伴奏をする機会に恵まれたり、自分から進んでサークルや演奏会などに参加することは、大きな自信にもつながります。そうした経験は、その後の進路や生き方にまで大きく反映してくることがあり、自分の特技としても大きな自信となりえます。また、精神的に辛くなった時には自分自身の心の支えとなり助けてくれるということもあります。ピアノはさまざまな楽器を始める良いきっかけになりますので、入門としてもお子さんにぜひ挑戦させてみてください」(三森先生談)

このように趣味・教養、特技としてだけでなく、子どものメンタル部分の成長においても大きな効果が期待できるピアノ教育。これまで子どもに習わせたいとは思いつつも、なんとなくハードルが高いと感じていた人も、三森先生のアドバイスを参考に検討してみてはいかがだろうか。

合わせて読みたい

冒頭でも紹介した、「Roland - Blog」。その中で連載中のコンテンツ、「ピアノを始める前に知っておきたい5つのこと」。ピアノに関する不安や疑問を抱える方の手助けになるはずだ。また、ほかにも老舗の同社だからこその情報がたくさん揃っているので、是非とも参考にしてみてほしい。

今回ご協力いただいた先生のプロフィール

三森 桂子(みつもり けいこ)先生

目白大学 人間学部子ども学科教授
東京学芸大学卒業 東京学芸大学大学院修了
東京学芸大学、昭和女子大学、立教女学院短期大学、創価大学、竹早教員保育士養成所などの勤務を経て現職

主な著書
『実践保育内容シリーズ5 音楽表現』(三森桂子・小畠エマ編著 一藝社2014年)
『これなら弾ける!保育のうたピアノ伴奏160』(本間玖美子・三森桂子監修 ナツメ社2013年)などがある

(マイナビニュース広告企画:提供 ローランド株式会社)

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