クラウドやIoT などITの進化に伴ってデジタルデータの総量は急増し、データセンターが社会的なインフラとしての重要度を近年高めている。データセンター事業者にとっては、一層の競争力が問われる時代になってきたとも言える。こうした中、ITソリューションの開発やサポートを手がけるニスコムは2016年7月、英国DCD groupが提供しているデータセンター専門家育成プログラム「DCPro(Data Center Professional)」の国内展開を開始した。

世界で認められたデータセンター専門家資格DCP

DCD groupは、データセンター業界向けの情報発信や交流活性化のためのイベント開催、教育やコンサルティングなど各種サービスの提供を手がけているグローバル企業だ。同社が提供する教育プログラムDCProは多くの世界的大企業で採用され、これまでに10,000人以上が学んでいる。修了者に与えられる資格「DCP(Data Center Practitioner)」や「DCS(Data Center Specialist)」は、海外のIT業界ではひとつのステータスとして認められている。

ニスコムは2016年9月と11月にDCProの基礎コースである「DCDA(Data Center Design Awareness)」を開催し、参加者から好評を得たという。マイナビニュースでは日本での展開の仕掛け人であるニスコムの山口 薫氏と、データセンターコンサルティングを行う企業RSIで多数のデータセンタープロジェクトに参画しながら、その経験を活かしてDCProの基礎コース「DCDA(Data Center Design Awareness)」の講師を務める杉浦 日出夫氏に、プログラムの内容や受講後の効果、今後の展開について聞いた。

2017年 DCProクラスルーム開講スケジュール

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※4月以降は仮の予定です。原則、2か月に1度開催いたします。
※8/28(月)-30(水)の大阪開催を除き、すべて東京での開催を予定しています。
※日程についての最新情報は、DCPro特設サイトにてご確認ください。

データセンターを俯瞰できる人材を育成するメリットとは

RSI代表取締役/DCDA講師 杉浦 日出夫氏

杉浦氏は日本のデータセンターにおける人的環境について、次のように語る。

「データセンターにはIT、建築、電気、空調など、それぞれの分野の専門家が関わっています。今後更にデータセンターの重要度が高まるにつれ、その人数は増えていくことになるでしょう。しかし各分野がどう連携しながらデータセンターが成り立っているのかの全体像を説明できる人材はほとんどいません」

DCD groupの公表によれば「データセンターのオペレーターの60%は、幅広いスキルが不足していると考えている」という。これは多くのスタッフが自分の専門分野以外まで理解が及ばないがゆえ、あるいは他部門とのコミュニケーションが充分に取れないために、「縦割り」の仕事しかできないことに不安や不満を持っているということだと読み取れる。

DCProでは、データセンターの歴史から建設時の立地選定、各重要設備の仕組み、設計のポイントなどを、初心者にも分かりやすく、3日間という短期集中でレクチャーすることで、スタッフのこうしたストレスを解消する。また経営層にとっては、自社にデータセンターを俯瞰して管理できる人材を抱えることで、全体最適化によるコストダウンや効率化など、競争力強化を推進しやすくなるというメリットを生む。

最先端の教材・交流・共同作業で、視野と見識を拡げる

ニスコム DCPro担当 山口 薫氏

DCProの特長のひとつは、その教材にある。DCD groupが世界中に巡らせたIT分野のエンジニアや専門家のネットワークの中から、データセンターの設計や構築、コンサルティング、プロダクトマネージメントを手がけている現役の専門家たちが集結し、最新のスキルやノウハウを盛り込みながら練り上げているのだ。DCProの教材作成に関する特色を両氏は次のように説明する。

「教材開発にはIEEE(米国電気電子学会)やBICSI(情報配線システムの設計・施工に関する非営利教育機関)、BCS(英国コンピュータ協会)といった業界団体に所属しているテクニカルキーマンたちが携わり、自らのバックグラウンドを活かして、生きた教材を作り続けています」(山口氏)

「日本でのレクチャーにあたっては、グローバル向けのテキストを訳すだけでなく、日本のインフラ事情に合わせた改訂や補足説明を行っています」(杉浦氏)

DCProは単なる座学に止まらず、主要単元ごとに理解度を確かめるエクササイズ(練習問題)や、人的交流を深めるためのランチタイムなどもスケジュールされている。さらに最終日には、参加者を数名のグループに分けたケーススタディが行われる。昨秋行われた基礎コース「DCDA」でのケーススタディでは、与えられた条件下でデータセンターをデザインするという課題が出された。参加者たちはそれまでのレクチャーで学んだことと、普段それぞれが専門としている分野の知識を活かし、グループのメンバーと意見交換しながら、共同でひとつのデータセンター企画に取り組んだ。2時間ほどでスケッチを完成させて、グループごとにプレゼンした後は、そのデザインが適当かどうか、改善点はないかなどのディスカッションが行われた。

「参加者が交流しながら知恵を出し合って、一緒に考えるというのが、DCProがレクチャーだけの研修とは違うところです」(杉浦氏)

「グループで何かをつくることは参加者にとっては凄く楽しいようです。主催者側としてもそれを一回で終わらせるのはもったいないと思っており、研修を通じてできたコミュニティを維持させていきたいと考えています。参加者の所属する会社は違いますし、会社間での競争もあるかもしれませんが、コミュニティが整っていればそこで情報をやりとりしたり、もしかすると一緒にビジネスをしたりするケースも出てくるかもしれません。そうした広がりを持たせることも、DCProを開催する狙いのひとつです」(山口氏)

DCProでは座学だけではなく、グループワークで理解を深めることができる

参加者たちの評価と今後への期待

2016年中に開催された「DCDA」には、既存のデータセンター担当者の他、これからデータセンターを建てようとする企業、ファシリティを担当する企業などから、総勢21名が参加した。ここで、プログラム後のアンケートに寄せられた感想のいくつかを抜粋して紹介しよう。

  • 自分の知見の棚卸しをすることができた。体系的な流れで学習できたため各知識につながりができた
  • 意見交換の場が非常に有益だった
  • データセンターに関わる知識を広く浅く学ぶ機会が今までなく、貴重な経験ができました。様々な業種の方々と会話ができたのも良い経験になりました
  • 全体的に肯定的な意見が多いが、海外で開発された教材では扱われていない「日本の事例・視点」を求める声も寄せられているという。一方これに呼応するように、自らが従事する分野での最新情報を提供し教材の改良を提案する参加者もいたとのことで、今後さらに様々な分野のプロフェッショナルたちが受講するようになれば、教材はより日本の実情にあったものへとブラッシュアップされていくと期待される。

    上級コースの提供、アジア圏への拡充を展開も準備中

    現在ニスコムでは、上級コース「EEBP(Energy Efficiency Best Practice)」の提供を準備しており、「DCDA」修了者の中には、開始次第、参加することを早くも表明している人もいるという。なお両コースの修了者は、冒頭で紹介したDCPの資格を取得できる。各コースの具体的な開催スケジュールについては、表1をご覧いただきたい。

    「これからのビジネスで重要になってくるデータセンターについて、その全体像を学びたいが、誰に聞いたらいいのか分からない、何から始めればいいか分からないという方は、ぜひプログラムに参加していただきたいと思っています」(杉浦氏)

    なおニスコムでは、現在展開している日本、インドネシアの他、台湾をはじめとするアジア圏にDCProを普及させる計画も進行させているという。もし貴社が、データセンター事業の海外展開を検討しているなら、今後のニスコムの動きには注目した方が良いかもしれない。

    Day Time Contents
    Day1 8:45 am コース受付開始
    9:00 am – 10:30 am Introduction & 1.データセンターの歴史
    10:30 am -10:45 am Coffee Break
    10:45am -0:10 pm 2.ビジネス上の正当性
    0:10 pm -1:10 pm Lunch
    1:10 pm -3:00 pm 3.サイト選定& 4.建築設計
    3:00 pm-3:15 pm Coffee Break
    3:15 pm -5:00 pm 5.フリーアクセスフロア& 6.インフラストラクチャーコネクティビティ
    Day2 9:00 am -10:30 am Review& 7.IT アーキテクチャー
    10:30 am -10:45 am Coffee Break
    10:45 am-0:10 pm 8.クーリングシステム
    0:10 pm -1:10 pm Lunch
    1:10 pm -3:00 pm 9.電源システム
    3:00 pm -3:15 pm Coffee Break
    3:15 pm-5:00 pm 10.ルームレイアウト
    Day3 9:00 am -10:30 am 11.防火システム&12.セキュリティシステム
    10:30 am -10:45 am Coffee Break
    10:45 am-0:10 pm 13.ビルディングマネジメントシステム&14.コミッショニング
    0:10 pm -1:10 pm Lunch
    1:10 pm -3:00 pm ケーススタディ
    3:00 pm -3:15 pm Coffee Break
    3:15 pm-5:00 pm Final Review and Examination
    (表1)2016年実施のDCDAのアジェンダ。内容が多岐にわたることがわかる

    ニスコム株式会社

    設立から40年以上にわたり、ITインフラを中心とした運用サービスを提供。大手Sierや官公庁、データセンターなどを中心に、様々な顧客へ、高品質で安定的、かつ効率的なサービスを継続して提供している。

    創業以来培ってきたIT運用のノウハウを強みに、"データセンターの最適化パートナー"として、近年、データセンター関連の製品・サービス提供を強化している。

    URL: http://www.niscom.co.jp/
    DCPro特設サイト: http://www.dcpro.niscominc.com/

    2017年 DCProクラスルーム開講スケジュール

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    ※4月以降は仮の予定です。原則、2か月に1度開催します。
    ※8/28(月)-30(水)の大阪開催を除き、すべて東京での開催を予定しています。
    ※日程についての最新情報は、DCPro特設サイトにてご確認ください。

    (マイナビニュース広告企画 : 提供 ニスコム)

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