国内企業のデータ利活用から見える現状

2016年12月7日、マイナビニュースが主催する「マイナビニュースフォーラム2016 Winter for データ活用 ~IoT時代の機先を制す~」が開催され、インフォテリア ASTERIA事業本部 マーケティング部 シニアプロダクトマネージャー 森一弥氏は「失敗しないためのデータ活用の勘所」と題した講演を行った。IoT市場の拡大成長が進む中、増加していく大量のデータをどのようにビジネスに活用していくのか。森氏はデータの分析と活用に焦点をあてて解説した。

インフォテリア ASTERIA事業本部 マーケティング部 シニアプロダクトマネージャー 森一弥氏

総務省が行った調査によれば、国内企業の約半数はデータの蓄積・収集を行っているが、見える化など現状の把握まで行っている企業は50%以下、分析予測や既存業務の効率向上といったレベルまでデータを活用できているのは2~30%程度、付加価値の拡大まで到達できているのはわずか10%前後だという。「実際に、貯めたデータをそのままにしている企業も多く存在します」と森氏はデータ利活用の現状を語る。

データ分析プロセスとその課題

データを活用するためのプロセスは大きく4つに分けられる。IoTデバイスや各種システムからのデータ収集、データウェアハウスなどを用いたデータの蓄積、BIツールやExcelなどを使用したデータ分析、そして分析内容の業務活用とそれによるビジネス改革だ。各プロセスにおいてはそれぞれ課題が異なるという。

データを活用するためのプロセスは大きく4つに分けられる

データの収集時には、IoTで加わる新たな分析対象を含め本当に分析すべきデータかどうかの選別を行う必要がある。またデータウェアハウスにデータを入れる際には複数データの変換・統合・転送方法についても考慮しなければならない。森氏は「IoTデバイスの導入検討時点で、どのような分析を行い、どのような仮説を検討するのかまでを考えた上で、やるか・やらないか決めることを勧めます」と語る。

データの蓄積に際しては、分析を見据えた適切なデータモデルの設計とともに、パフォーマンスを考慮できる人材の確保が必要となる。収集したデータのクレンジングコストをはじめ、データを維持するための運用・保守にかかる固定費の発生は避けられない。データを分析できる人材の教育やツールの選定、分析から得られた結果の共有方法も検討すべきポイントだ。

「誰かに分析結果を見せると、フィードバックを受けると思います。見せた分析結果そのままで”それで良いね”とは絶対になりません」と森氏。他のデータはないのか、さらに情報を足せないのかなど、データの分析結果が目に見える形になった後には必ず要望が出てくるため、それらにどう応えていくのかまでが課題となるのだ。

操作の難易度や扱うデータ量で分析ツールを選定

データの分析ツールを用いて行えることは非常に幅が広い。森氏はデータ量の多寡と利用の難易度でデータ分析ツールを分類し、その選定方法について解説。部門の業績向上のために用いるのであれば誰でも扱いやすいExcel、企業の業績向上を目的とするならばBIツール、新規事業開発や研究などにはR言語の活用を勧めた。

「データ分析ツールというと、皆さんがイメージするものはどういったものでしょうか。大体の方はBIツールを想像しそうですが、用途によってはExcelで十分かもしれません」(森氏)

データ分析のツールはデータ量の多寡と難易度によって使い分けられる

そして各課題をクリアし、分析結果をレポートとして提出しても、現場からは特定の時期や場所に限定した集客・売り上げデータの追加など、さまざまな要望が上がる。ツールの選定も含め、修正や追加が簡単にできるかどうかもデータ分析の成否を分けるポイントだ。

業務活用・ビジネス改革時に課題となるのは、分析結果を元にした改善策の立案方法だ。関係部門を説得し、理解を求めた上で改善を実行に移すところまで進められなければデータ分析はその意味をなさない。また森氏は「分析やデータの活用は1回やれば終わりではなく、繰り返していかなくてはなりません」と、データから新たな仮説を立案するところまでが必要なスキルになることを提言。こうした取り組みはソフトウェアで解決するものではないため、社内での体制の確立が重要となる。

データの分析・活用を行うための導入ポイント

森氏はここまでの課題をもとに、改めてデータ活用のポイントを解説。まず1つ目は、今集めているデータでどう言った結果が出るのかを試してみるという点だ。既存の業務・システムに手を入れてまで新しいデータを収集しようとすると必ず抵抗が発生し、新システムへの教育コストも発生する。そのため、まずは現在の環境でできるデータの活用方法を把握しておくことが重要となるのだ。

2つ目は、現場からの要望にすぐ対応できるような体制づくりだ。目に見えるデータが生まれると併せて各現場から要望が出てくる。その要望に即座に対応することでプロジェクトへの現場の参加意識の向上にも繋がるため、さまざまな部門の社員を巻き込む手段として、迅速に対応できる組織づくりも必要となる。

3つ目は、提供する分析レポートには柔軟性をもたせるという点だ。受け取った側が手を加えられる余地を残しておくだけでなく、専門的な知識がなくても簡単に扱えるものにすることが重要だ。

「データ活用」のプロセスの中でより重要な「データ分析」、「ビジネス改革」にリソースを注力させるための鍵を握るのが、抽出したデータを必要に応じて変換・加工するためのEAI/ESBツールだ。インフォテリアが提供するデータ連携ミドルウェア「ASTERIA WARP」は、機能ごとのアイコンを並べるだけで既存のデータベースやファイルシステム、各種業務システム、クラウドサービスと簡単に連携することが可能。前工程の「データ収集」、「データ蓄積」フェーズを格段に効率化することができる。

森氏は「ASTERIA WARP」について、ノンプログラミングでデータ連携の環境を構築できる導入の簡便さや、様々な形式のデータフォーマットに対応する使い勝手の良さといったデータ活用時に役立つポイントを紹介。5,000社以上の企業での導入実績を誇るツールであるとアピールして講演を締めくくった。

(マイナビニュース広告企画:提供 インフォテリア)

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