【特別企画】

Twitterとjekiが仕掛けた、世界初の次世代デジタルマーケティングとは?

西谷忠和

2016月8月、JR山手線の電車内のディスプレイに、Twitterのロゴと"トレイントレンド"という文字、さらにハッシュタグが表示され、映画「グランド・イリュージョン 見破られたトリック」のプロモーション映像が突如放映された。すると、たった1日で「1万241リツイート」と「1万3082いいね」を記録し、業界関係者を驚かせた。

その仕掛け人は、Twitter Japanの高田氏と、ジェイアール東日本企画(以下jeki)の宮本氏。実は、同キャンペーンはTV局や、広告・マーケティング業界関係者もその存在を全く知らず、当日このキャンペーンを見て知ったというシークレット企画だった。本稿では、世界に先駆けたこの”トレイントレンド”サービスの背景や効果、業界へ与えたインパクトについて紹介する。

(左)ジェイアール東日本企画 交通媒体本部 交通媒体局 メディア営業部 宮本 守氏
(右)Twitter Japan コンテンツ・パートナーシップ&アンプリファイ事業責任者 高田 仁一郎氏

プロモーションサービス"トレイントレンド"とは

—"トレイントレンド"は、世界に先駆けた企画だとお聞きしましたが、どういった特徴があるのでしょうか?

高田: 全世界に展開しているTwitterですが、この"トレイントレンド"は、公共交通機関である鉄道の車内広告と初めて連携した企画で、実はアメリカでもまだ実施したことがありません。仕組みとしては、当社の広告サービスである「プロモトレンド」という、トレンド表示などの一番上に、丸1日間固定で表示できる1日1社限定のサービスがあり、これにjeki様が販売しているトレインチャンネル(首都圏のJR山手線などの電車内のデジタルサイネージ)で1週間広告を展開できるサービスを組み合わせた企画です。

宮本: 電車内での映像配信を実施したのは、2016年8月29日~9月4日の1週間。JR首都圏主要8路線におけるトレインチャンネルでの映像の放映とともに、Twitterのロゴやハッシュタグを使ったトレンドキーワードを表記して、この映像を観た人がすぐにツイートできるように画面を構成しました。

高田: 世界に先駆けてスタートするサービスということもあって、一番初めに「やってみたい」と手を挙げていただいたのが、KADOKAWA様です。9月1日(木)に劇場公開された映画「グランド・イリュージョン 見破られたトリック」のプロモーションの一環としてご利用いただき、トレンドキーワード「#イリュージョンヤバい」はKADOKAWA様が考えられました。

宮本: 実際に、映画の予告動画は、トレインチャンネルにおいて理論上1週間で約791万回再生されました。高田様、Twitter上での反応も大きかったですよね。

高田: そうですね。Twitter上でも、たった1日で1万241リツイートと1万3082いいねがつきました。KADOKAWA様にも、その広告効果はもちろん、首都圏主要路線で一斉に放映できたことで、「東京をジャックしたようなプロモーションができた」と非常に好評でした。

プロモーション時の画面

Twitterと車内広告との連携は、いまだかつてないサービス!?

—そもそも、この企画を立ち上げたのは、どんな背景があったのでしょうか?

高田: まずTwitter Japanでは、日本でしかできないサービスを以前から模索していました。徹底的にリサーチを重ね、その結果、2つのポイントがみえてきたのです。1つ目は、多くの人々がツイートしているのが、JR山手線などの鉄道の主要沿線とほぼ同じ所に位置していたということです。

また日常生活の中には、Twitterが十分に活用されていない時間帯があり、それが業界で「アクティブな時間帯」と呼ばれる、朝と夜の通勤・通学時でした。これが2つ目のポイントです。 日本ならではの企画を生み出すにあたって、この「アクティブな時間」での利用者をどう捉えて、どのように次のアクションに結びつけるかが重要だと考えました。これらの気づきから、私たちは電車広告とうまく連携することで、「利用者に何らかのアクションを起こさせることができるのでは?」という企画の方向性が明確になったのです。しばらくして、宮本様にもこの話をさせていただきました。

宮本: そうですね。私たちjekiもTwitter Japanさんとは違う観点ではありますが、スマートフォンとの連携は模索していたところでした。その背景として、1つは交通(車内)広告とスマートフォンとの親和性が高いという点があります。実際、サラリーマンやOL、学生は通勤・通学時に電車に乗っている時間の半分以上をスマートフォン等の利用時間に割いていて、かつスマートフォンを見る方ほど、しっかり車内広告を見ていることが、リサーチの結果から分かりました。スマートフォンを利用している方ほど、情報感度が高いという証です。

その一方で、スマートフォンが普及している現在において課題もあります。例えばデジタル広告の効果分析を行う3つのR指標(Reach→Resonance→Reaction)に当てはめると、車内広告が効力を発揮できるのは、ターゲットに広くReachをして、キャンペーンに共感してもらうResonanceの途中まで。そのあとの検索などResonance、およびReactionというプロセスは、スマートフォンが得意としているため、スマートフォンをプラットホームとしているパートナーとの連携が必要不可欠だと考えていました。特にTwitterの場合は拡散も期待できます。

媒体資料より抜粋

ですので、高田様からこのお話をいただいたときは「何かできそうだぞ」という予感はありました。

高田: 同感です。だから、こうしてTwitter JAPANとjeki様が持つお互いのサービスメリットを活かすことで、今までにない、よりよい企画を創り出すことができたのだと思います。

今後、車内モニターにはTwitter上でのツイートもほぼリアルに反映が可能に!?

—"トレイントレンド"という初めてのサービスを立ち上げるのに、一番苦労したことは何でしょうか?

宮本: 一番苦労したのは、車内モニターへ映し出すためのクリエイティブ制作です。映画の予告動画はもちろん、連携を組んだTwitterのロゴやサービス名の"トレイントレンド"などを、どのように配置するのかを相当悩みましたね。というのも、路線や車両によってモニターの画角が異なるため、それを考慮したデザインにしなければならなったというのがあります。

高田: デザイン面に関しては、宮本様に本当に色々と調整いただきました。私たちにとっては直接の苦労ではないですが、表現チェック(広告審査)の部分は非常に勉強になりました。公共交通機関であるJRは情報の正確性などをより一層求められるため、当社以上の品質基準が設けられています。今後このような企画や運用を考える際にも、とても重要な要素であると感じました。

宮本: そうですね。実は車内モニターは、サーバーにアクセスして情報を更新できるようになっています。今回は導入しませんでしたが、例えば、Twitter上での良いコメントをこのモニターに随時反映させることもシステム的には可能です。今後はこうした企画も視野に入れていますが、そのためには、高田様からもお話がでたように、表現チェックをどのように行っていくかが今後の課題になりますね。

高田: Twitter上のツイートが車内モニターに表示できるようになれば色々な表現ができるので、ぜひ実現したいですね。

業界ジンクスを打ち破り、動員前作比119%!

———初めての試みでしたが、効果や反応はいかがでしたでしょうか?

高田: 先ほどリツイートの数が1日で1万強あったとお話しましたが、これは、当社の「プロモトレンド」による効果の中でも非常に高い数値です。リツイートは、観た人が皆さん必ず押してくれるわけではありませんので、実際リツイートをご覧になった人はもっとたくさんいるわけです。リツイート数の総閲覧人数は、リツイート数に100を掛け合わせた人数だと言われているので、1日で約100万人の方が観てくださっている計算になります。

また興行的にも、本作の「グランド・イリュージョン 見破られたトリック」はシリーズ2作目で、通常であれば動員数も減少することが多いそうなのですが、公開の初動で前作比119%の動員を記録し、KADOKAWA様にもご満足していただけました。

宮本: 8月29日から30日にかけて台風10号が関東に接近する可能性があって、人々が外出しづらい時期だったので……、車内での露出量やTwitter上でのリツイートなどは多かったものの、劇場まで足を運ばれるかどうかは私たちも危惧していました。でも関東への台風上陸は結局なくなり、土日には多くの人が映画を観に行ってくださったようですね。

予想以上に大反響! 「先を越された」という、業界関係者からの声が続々と!

———その後、広告代理店や他企業の反響はどうですか?

高田: 予想以上に大きな反響でした。ある大手企業の宣伝部長様は、電車内でこの"トレイントレンド"を観て、「聞いていないんだけど!」と思わずその場で口走ってしまったと仰っていました。それからすぐに「次回、是非やらせほしい」というお話を頂いてます。また、「この手の企画はテレビ局が主体となってやるものなのに、今回は先を越された!」と、あるテレビ局の幹部の方は非常に悔しがっていらっしゃいました。その他にも続々と問い合わせを頂いていて、当社やjeki様、そしてKADOKAWA様以外には知らせていなかったとはいえ、ここまで反響を呼ぶとは思いもしませんでした。

宮本: たぶん、見慣れた車内モニターではありますが、Twitterのロゴマークが表示されているだけで新鮮な映像に見えたのだと思います。皆さん知らなかっただけに、良いサプライズ企画になったのではないでしょうか。

現在の主流の車両では、扉の上にある2面モニターのうち、片方を広告用として使用しているだけですが、山手線E235系という新型車両には、トレインチャンネルに加え、座席の上部(3面マルチ型)、および連結部上部にもにもデジタルサイネージが増設されるようになります。現在は一編成のみ営業運転していますが、今後は山手線の全車両がこのタイプに切り替わっていくので、活用の仕方も、まだまだ広がっていくと思います。

高田: 広告代理店の方々にも、「今後恒常的に展開するなら、ぜひやりたいと思っているので企画書をください」とお話も頂いています。今、jeki様と新たな広告企画を立案・調整しています。

世界先駆けのサービスに惹かれた!

お話を頂いたときは、「世界中どこもやっていない試み」という点にすごく惹かれました。人々を驚かせるというのがテーマの映画でしたので、私たちもプロモーションしていく中で、びっくりするような仕掛けで人々の注目を集めたい、という狙いがありました。なので”トレイントレンド”は、この映画のプロモーションとしてまさにピッタリの企画でした。また、本作はコアな映画ファンではなく、映画好きや、マジックやイリュージョンに興味がある人など幅広い層をターゲットにしていたのも、実施するうえでの後押しになりました。しかも、JR主要路線で一斉に放映するという手法は短期間で東京をジャックするようなイメージもあり、映画との相性にもマッチしたので、期待を込めて手を挙げさせていただきました。

角川アスキー総合研究所 プラットホーム開発事業部 グループマネージャー
第2セクション セクションマネージャー 主任研究員
中尾 文宏氏

(マイナビニュース広告企画:提供 Twitter Japan)



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