2016年11月17~22日の6日間にわたり東京ビッグサイトにて開催される第28回日本国際工作機械見本市「JIMTOF2016」。2年ごとに開催される本展示会は国内外から多数のトップメーカーが集う「工作機械業界」の一大イベントである。

本記事では、当日の展示会場において、切削工具や工作機械、そして産業用ロボットなどの、「NACHI」ブランドを提供している不二越のブースを紹介する。

JIMTOF2016 不二越東館ブースの様子

「未来型のものづくりで困り事を解決」する3つの新製品

今回、不二越では西館と東館にブースを出展。西館は主にドリルやタップ、エンドミルなどの切削工具、東館では工作機械やロボットなどの多種多様な製品の展示が行われていた。そのなかでも、特に多くの注目を集めていたのは、このJIMTOF2016にて登場した3つの新製品だ。

新製品1:NACHIの技術を結集した新ジャンルタップ「HyperZシリーズ」

HyperZシリーズ

タップとは、ドリルなどで開けた穴に対してネジ山(めねじ)を加工する工具のこと。このタップは、大きく分類すると主に低速から中速領域(5~15m/min)で使用する無処理タップと、高速領域(15~50m/min)で使用するコーティングタップの2つに分類される。

通常、コーティングタップは高速回転領域で使用してこそ安定し効率性も増す。だが実際の現場では、コーティングタップであっても低速領域で使用されるケースが非常に多いという。

不二越 工具事業部 工具企画部 部長 藤平欣司氏

「多くの場合、タップは穴加工の最終段階で使用されます。つまり、ここで失敗すると全ての苦労が水の泡になってしまいます。そんな心理が働いて、作業が慎重になり回転速度を落としてしまうのです」と語るのは、不二越 工具事業部 工具企画部 部長の藤平欣司氏だ。

ただ、当然ながら低速領域ではコーティングタップの持ち味は生かせない。かと言って、コーティングされていない無処理のタップでは、高速回転が必要な時には対応できず、寿命も短くなる。

そこで不二越が新たに開発したタップが「HyperZシリーズ」だ。低速から中速でも安定し、かつ高速回転にも対応したこのタップは、今回のJIMTOFが初披露となる。

当日は、新製品である「HyperZシリーズ」と「アクアドリルEXパワーフィード」(後述)を「より製品を見やすく、かつお客様が質問しやすいように」と工夫された対面式ブースに展示。そのお陰もあってか各所で活発な質疑応答が行われていた。

まるで宝石店のショーケースのような新製品展示ブース(右:HyperZシリーズ 左:アクアドリルEXパワーフィード)

新商品2:高送り加工と切り屑排出性にこだわったドリル「アクアドリルEXパワーフィード」

アクアドリルEXパワーフィード

ドリルの切削における最大の課題、それは切り屑である。切り屑が詰まると、穴加工の精度が落ちるだけではなくドリルそのものの破損にもつながってしまう。

不二越 工具事業部 ラウンドツール製造所 技術部 部長 五島康氏

「近年ではラインのコンパクト化が進み、小型マシニングセンタによるライン構築が増えています。また、穴加工では旋盤での加工も多数あります。それらの機械はコンパクトであるが故にドリルを押す力自体も弱く、スリップするなどで切り屑が上手に排出されないケースもよく見受けられます。今回展示した『アクアドリルEXパワーフィード』は、切削抵抗の30%を削減できたため、比較的剛性が弱い小型の機械でもスリップせずにスムーズな切削が可能となっています。また、切り屑を細かく分断・排出して詰まりを防止するような工夫も施されています」と、同部 ラウンドツール製造所 技術部 部長の五島康氏は強調する。

ロボットの「なちお(MZ07)」と「ナッチ(MZ04)」が、新製品の「HyperZシリーズ」と「アクアドリルEXパワーフィード」紹介する西ホール工具ブースのプレゼンテーション。ロボットのMZシリーズによる、俊敏な動きとアンサーボードを持つコミカルな動きに多くの来場者が足を止めた。

新製品3:総合機械メーカーとしての矜持を込めたスカイビングギヤシェープセンタ「GMS450」

建設機械向けの油圧走行モーターや各種減速機に組み込まれる内歯車部品。これらの歯切りに用いられる工法としては、主にブローチ加工やシェーパー加工などがある。

ブローチ加工は生産性の高い歯切りが可能なため大量加工向きであるが、工具や機械が大型であるために初期投資がかかり、加えて大径の加工が困難という問題もある。一方少量加工の場合には、シェーパー加工が用いられる。ブローチ加工に比べて形状やサイズに制約は少ないが、加工条件の設定などに専門的な知識が必要であり、さらに加工時間が長く生産性が低くなる。

これらの課題を解消するものとして、大きな注目を集めている加工方法が「スカイビング加工」である。今回のJIMTOFでは、不二越が満を持して登場させるスカイビングギヤシェープセンタ「GMS450」が初披露。焼入れ後に行う歯車の仕上げ加工(ハードスカイビング加工)のデモが行われた。

多くの来場者を集め実施された、スカイビング加工機「GMS450」による東ホール工作機ブースのプレゼンテーション。加工の様子も映像を交えながらわかりやすく解説。

GMS450について、同社 工作機事業部 工作機製造所 技術部 開発で設計主務を務める廣瀬智博 博士(工学)は、次のように語る。

不二越 工作機事業部 工作機製造所 技術部 開発設計主務 廣瀬智博 博士(工学)

「現在、世に出ているスカイビング加工機のほとんどは、工作機械メーカーによって開発されています。GMS450は、歯車加工の工作機械と工具の両方をもつメーカーとして私たちが永年培ってきた技術とこだわりを集約した自信作です。また、GMS450については、海外の方から資料を求められるケースも多いですね。今回は、展示にもプレゼンテーションにも、予想以上に多くの方々にお集まりいただいています」

総合機械メーカーならではの独自技術によって実現した高能率(加工時間がギヤシェーパー加工比で最大5分の1)。この点において、同社 工具事業部 精密工具製造所 技術部 部長の石葉寛二氏は、「現在、流通しているスカイビング加工機の中では最もコンパクトになっています。そのため設置スペースの削減やスマートラインの実現が可能となります」と補足する。

さらに形状を整える旋削能力や穴あけ能力も付加されており、これらの複合的な作業が必要な際には、大幅な時間短縮が可能となる。

「今回のJIMTOFでは、事前にGMS450の展示を告知していたこともあり、ズバリ“GMS450を見に来た”とおっしゃる方も数多くいらっしゃいました」と語るのは同社 工作機事業部 工作機企画部 営業企画室 室長の島田信氏である。

不二越 工具事業部 精密工具製造所 技術部 部長 石葉寛二氏

不二越 工作機事業部 工作機企画部 営業企画室 室長 島田信氏

なお今回の展示では、次の新製品としてGMS450よりもさらにコンパクトなGMS200のコンセプトモデルも紹介されており、「よりコンパクトなラインが必要という来場者の皆様からと、多数のお問い合わせをいただきました」と、島田氏は嬉しそうに語ってくれた。

本記事にて紹介した3つの新製品は、すべて今回のJIMTOFが実物の初披露となる。そして、それぞれが「数百件以上にものぼるヒアリングを行い、現場からの要望を吸い上げて生まれた製品です」と藤平氏は自信を覗かせる。

「ただ、工具や工作機械については、実際に使ってみなければわからない部分が多々あります。どんなに性能がよくても、現場の実態に合わないものであったなら意味がありません。ですから我々は、まず評価として実際に使用していただき、本当にお客様にとって有効かどうかを確かめていただく。その上で、具体的なお話をさせていただくようにしています」(藤平氏)

困り事を解決するためのメカニズムを動画で解説した「ワークショップ」

開催2日目(11月18日)に開催された出展者ワークショップでは、「困り事」が発生するメカニズムと、それを解決するための工具について、比較動画をなどを用いた具体的な解説が行われた。併せて、プライベートワークショップも開催。こちらは開催期間中に毎日開催され、1日平均100人(11月18日時点)もの集客があったとのことだ。

不二越では、今回の新製品についてのセミナーや勉強会などを、随時開催していく予定となっている。

50人以上の来場者を集めて開催されたワークショップ「未来型ものづくりで困り事解決」

なお今回紹介した製品の詳細については、以下のURLを参考にしていただきたい。

スカイビングギヤシェープセンタGMS450
http://www.nachi-fujikoshi.co.jp/kos/gearshape/gms450a.htm
EZ03
http://www.nachi-fujikoshi.co.jp/ez03/index.html
超硬ドリルとタップのラインナップ拡充
http://www.nachi-fujikoshi.co.jp/news/pre/161107.html

(マイナビニュース広告企画:提供 不二越)

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