台風が多かった今年の夏。ジットリと湿度が高い日が多く、バテてしまったという人も多かったように思う。湿気が多いと気になるのが、カビなどである。ビジネスマン、ビジネスウーマンの皆さんでもお気に入りの革靴を靴箱に入れっぱなしにしてしまい、次のシーズンに「またやってしまった……」と後悔される方も多いのではないだろうか?

今回マイナビニュース編集部では、読者402名を対象に「シューケアに関するアンケート」を実施。スーツがバッチリキマってる、メイクはしっかり丁寧に……なんて言っているそこのあなたもちょっと待った! ビジネスマンたるもの、一番気にしなくてはいけないのが足元なのである。

シューケアをしていない人が驚きの数字に!

まずは第一問。「普段、シューケアをしていますか?」というもの。こちらはなんと「いいえ」が60%強という無残な結果に。皆さん、そんなに汚い靴を履いているのだろうか?

次は1問目で「はい」と答えた方への質問。「どのくらいの頻度でシューケアを行っていますか?」というもの。「一ヶ月に一回程度」25%「週に一回」20%弱と、「はい」と答えた人はコンスタントにシューケアをする習慣が身についていると言えそうだ。中には「毎日」というツワモノもおり、どんなピカピカな靴を履いているのか、一度見てみたいところである。

また靴以外の革製品のお手入れについても聞いてみたところ、「サイフ」や「キーケース」、「名刺入れ」などの手入れをする方が多く見られた。手入れをすることで、美しく、また長く使える革製品、ご自身の持ち物を一度見直した方がよさそうだ。

最後にシューケアをしない理由についても聞いてみた。

「親がやってくれている」(女性・21歳/その他・専業主婦等)
「靴は消耗品。冠婚葬祭用の靴が一足で、後は千円以下の靴を履き潰す」(男性・51歳/販売・サービス関連)
「ケアする価値のある靴を持っていない」(女性・38歳/その他・専業主婦等)
「あまり靴を長い時間はくことがないので、大丈夫かと思っています」(女性・45歳/事務・企画・経営関連)

この中でも特に多かった回答が、「面倒臭い」「やり方がわからない」というもの。そんなシューケア知らずな方々は、ここからの記事を心して読んでいただきたい。

プロに聞くシューケアのコツ

わからないことがあったらハンズの店員さんに気軽に聞いてみよう

「やり方がわからない」「面倒臭い」と言った回答が多かったシューケア。なぜシューケアをする必要があるのだろうか? 読者同様、悩みを抱えているマイナビニュース編集部のKさん(男性)とTさん(女性)が、東急ハンズのプロに直撃取材してみた。

シューケアのコツや必要なアイテムはもちろんのこと、いろいろな事を教わったほか、記事最後には、編集部による商品レビューもあるので最後までじっくり熟読していただきたい! まずは東急ハンズのバイヤーである田中一平さんにお話を伺おう。

――なぜシューケアが必要なのでしょうか?

田中:そもそも革靴って買ったままの状態が一番よくないんです。革を生成して靴にした商品を乾燥している状態で出荷してます。だからケアをしてあげないと、革が乾燥したまま使ってしまうことになります。買った時すぐにケアをしてあげることで、いい状態を保つことができるんです。男性・女性関係なく、また靴だけに限らず、革ものはすべて同じくケアが必要だと思ってもらって構いません。

――最初にすべきケアはどういう作業がありますか?

田中:まずは「汚れを取る」こと。次に革は人間の肌と同じなので「油分で保湿をする」。それに「汚れを付かないようにする」こと。この3点が初歩の初歩です。

――日ごろ簡単にできるオススメのケアはありますか?

田中:一番簡単なのは、ブラシをかけてホコリを取ってあげることです。カビが生えたり、革が痛んだり、状態が悪くなる原因は水分やホコリ、汚れなんです。脱いだ後にホコリをサッと取るだけでもだいぶ違います。加えて、シューキーパーを入れる、除湿剤を入れるだけでも革が長持ちするようになります。

――キチンとしたケアはどれくらいの頻度でやれば?

田中:2~3週間に一度で十分です。綺麗に持ちたい人は3~4回履いたらきちっと磨くという方もいらっしゃいますね。

――長く革靴を使うためにやったほうがよいことはありますか?

田中:クリームをつけすぎないこと。少しの量を薄く伸ばして使うのが基本です。それが長く持たせるコツです。

――傷や汚れが入り込んでしまったらどうすればよいでしょう?

田中:それには「ケア」と「リペア」があります。「ケア」はいくらやっていただいても構いません。ただ「リペア」は気をつけてやらないといけない。それぞれ傷や汚れの具合で方法が変わってきますので、その都度プロに聞いていただいたほうがベストです。

メンズ レザー編

シューケアの仕方を懇切丁寧に教えてくれる

それでは実際にシューケアをしていこう。実演してくれるのは、東急ハンズ新宿店の藤田康雄さんだ。マイナビニュース編集部のKさんが、ほとんど磨いていないという私物のレザーシューズを持参した。

【1】「まずは馬毛のブラシ、使い古しの手ぬぐいなどを使って、ホコリや汚れを落としましょう。靴底やコバ(靴底とアッパーの接合部)は一番汚れがたまりやすいところなので、注意深く手入れしてください」

【2】「次にクリーナーを柔らかい布(使い古しの手ぬぐいなど)で、全体に伸ばしていきます。アッパー部のシワになっているところ、ここは革靴の中で一番動く部分ですから、念入りにクリーニングしてください」

【3】「これらの工程を終え、しっかりと乾かしてから靴クリームを入れていきます。目安としては大粒のナッツ1粒。量が多すぎても良くありません。特に黒い靴は、ここでしっかりと靴クリームを入れておかないと色が薄く見えるので注意しましょう。

また靴クリームを塗る用の小さなブラシは少量の靴クリームを効率良く塗ることができてオススメです」

【4】「化繊などの柔らかめのブラシで入念に磨いて、ツヤを出していきます。縫い目部分はクリームがたまりやすいので、丁寧に磨きあげましょう」

【5】「ワックスは先の方だけに塗るのがポイント。ワックスはロウが入っているので、全体に塗ってしまうと、革がバリバリになってしまいます」

完成! 右が使用前、左が使用後である。一目瞭然。マットなレザー好きを自負していたKさんだが、最後に一言、「やっぱりレザーの靴はピッカピカなのが最高ですね!」

こちらがメンズのレザー編で使用したアイテム。上段左から「コロンブス×東急ハンズ シュークリーナー」1,200円(税別)、「ハイシャイン ポリッシュクロス」500円(税別)、「ハンドラップに入れた少量の水」、下段左から「コロンブス×東急ハンズ シュークリーム(ブラック)」900円(税別)、「コロンブス×東急ハンズ ポリッシュ(ブラック)」900円(税別)、「プロブラックブラシ」1,000円(税別)「プロホースブラシ」1,200円(税別)【提供:東急ハンズ】


レディース、スエード編 

かなり消耗していると思われるスエード靴のケアに挑戦

次はケアが難しいと思われがちなスエードのケアを紹介していただこう。マイナビニュース編集部Tさんの私物、ブルーのスエード靴である。

【1】「柔らかさが特徴のヤギ毛のブラシを使ってホコリを取っていきましょう。今回はスエード用のスポンジタイプのブラシを使います。このようなブルーやグレーのスエード靴は汚れや色褪せが特に目立ちます。シューケアの際には必ず補色することがポイントなんです」

【2】「次に補色ミストをふりかけます。コツは徐々に濃くしていくこと。こちらの商品はローズヒップオイル配合、つまり人間の肌に使うものと同じものが配合されています。人の肌=革と思ってもらってよいと思います。またガスを使っていないので、環境に優しいのもポイントですね。また気になる方は、最後に防水・防塵用のデリケート用レザープロテクターをかけるのもオススメです」

完成! 右が使用前、左が使用後である。左の方が、見事に色が出ているのがわかるだろう。ブラッシングをすることで、スエード特有の毛の立ち上がりが回復したことも付け加えておこう。

レディースのスエード編で使用したアイテム。左から、「コロンブス ヌバックスエード捕色ミスト(ダークブルー)」1,000円(税別)、「コロンブス 起毛革のお手入れスポンジ(スエード起毛パフ)」700円(税別)、「コロンブス デリケートレザープロテクター」1,200円(税別)、「コロンブス×東急ハンズ デリケートブラシ」3,150円(税別)【提供:東急ハンズ】


レディース、レザー編

【1】「基本的にはメンズと同じ順番でシューケアをしていきます。ただし、レディースに関しては、柔らかいレザーを使用した靴が多いので、柔らかい馬毛のブラシを使うことをオススメします。豚毛は硬い靴用と覚えておくとよいでしょう」

こちらも完成。左が使用前、右が使用後である。美しいベージュの輝きを取り戻した。
※こちらの靴は事前に傷ついた箇所などを削って、クリームなどでリペアしてあります。

レディースのレザーケアで使用したアイテム。左から「コロンブス×東急ハンズ シュークリーナー」1,200円(税別)、「レザリアン カラーリペア(ダークアイボリー/ベージュ/ライトベージュ)」各600円(税別)、「コロンブス×東急ハンズ シュークリーム」900円(税別)、「ジャーマンブラシ」1,500円(税別)【提供:東急ハンズ】


カバンや名刺入れ、サイフなどレザー製品を手入れしよう

次にアンケートでも多く見られた革製品のケアを紹介する。まずは編集部員が持っていた名刺入れから。

【1】「コロンブス ブリロ レザーコンディションクリームを使用して、革に油分や栄養分を与えていきます。これは革製品なら万能に使えるのでオススメです」

【2】手の脂や汚れは革の中に入ってしまうので、基本的には取り除くことはできません。特にこのようなメッシュのものはクリーム残りに気をつけましょう」

【3】「最後は馬毛のブラシで余計なクリームをとって完成です。簡単でしょう?」

小物のケアはこちらの「コロンブス ブリロ レザーコンディショニングクリーム」1,800円(税別)が大活躍【提供:東急ハンズ】


レザーケア上級編のカラーリングセット

ここからは新発売となる「革製品のカラーリングが出来るオールインワンセット」を紹介しよう。今回は編集部員が持っていた、角の擦り切れた年季の入った赤いレザーバッグである。

こちらの製品は、だれでも簡単に革靴、革小物、レザーバッグなどを染色できるお手軽なリペア製品である。各色のカラーリングリキッド、薄め液、カラーリングコンディショナー、カラーリングコートといった薬剤ほか、筆、手袋、調色用皿、塗布用スポンジなどがセットになっている。

「コロンブス カラーリングが出来るオールインワンセット」10,000円(税別) ※11月初旬発売予定【提供:東急ハンズ】

【1】「レザーのカラーリングが簡単にできるセットです。ヌメ革、レザー、スエードに着色可能です。顔料ではなく染料を使用しているので、レザーによく馴染むのが特徴です」

【2】「まずは下地の汚れ、ホコリを落とします」

【3】「次に色入れです。薄めに何度も繰り返すように塗っていくのがコツ」

【4】「コンディショナー(下塗り剤)を塗っていきます」

【5】「15分ほど乾かした後、色落ち防止剤を塗って完成です。これらすべての薬剤、ハケなどがセットになっています。」

いかがだろうか? 擦り切れていたバッグの角の部分が赤く染まっているではないか! こんなに簡単に染色できるなんて、とマニアならずともうなってしまうところである。


マイナビニュース編集部による<実践編>

「面倒臭い」「よくわからない」と言っていたマイナビニュース編集部員のKさん(男性)とTさん(女性)。取材後、実際に東急ハンズで購入した商品を使って、実際にシューケアや革製品のケアを行ってみた。その結果を次ページでご紹介していこう!