ロジテックと伊那市による「ふるさと納税」への取り組み

ロジテックINAソリューションズ株式会社 取締役
生産管理部 部長 赤羽 利喜 氏

Aくん:ロジテックINAソリューションズが伊那市で業務を行っている理由について教えてください。

赤羽氏:ロジテックINAソリューションズ(以下:ロジテック)は、この伊那市に生産拠点を置いております。旧ロジテック時代から通算すると、34年になりますね。ロジテックと伊那市は長年関わりを持っておりましたが、エレコムグループに入ることで伊那市に本社がおかれるようになり、伊那市とさらに深いつながりが生まれました。

現在でもこの地で業務を執り行っている理由はさまざまですが、大きな要因としてWeb販売サイト「ロジテックダイレクト」があります。ロジテックダイレクトは、生産拠点から直接エンドユーザーさまに製品をお届けするという仕組みを採用しております。もし注文を受けた製品の在庫がなくとも、素早くエンドユーザーさまにお届けすることができるのです。

また、産業用/業務用PCの専門ブランド「ロジテック・カスタムコントローラ」をはじめとしたエンベデットソリューションも展開しており、B to C、B to B問わずさまざまな事業を展開しております。

Aくん:ロジテックの製品がふるさと納税の返礼品として選ばれた経緯につきましてお聞かせください。

赤羽氏:伊那市からのご相談をいただいての対応ですね。伊那市長の白鳥 孝氏は民間企業出身で、税収に関してもビジネスライクな視点で戦略的に物事を考えておられる方です。伊那市を活性化するための取り組みに私どもの製品が役立つならそれは願ってもないことです。より一層の地元への貢献ができるということで、快諾いたしました。

また、ふるさと納税の返礼品といえば食べ物、生ものなどが多いのですが、これらの特産品は製品ごとにバラツキがあったり、消費期限の問題があったりと、取り扱いが難しい品です。ですが弊社の製品は工場で一定の品質での管理をしたうえでお届けしている、通常販売製品と全く同じものですから、クレームなどの心配なく安心してお届けできるという点も大きいでしょう。市長さんにも「自信をもってお届けできる製品だ」とおっしゃっていただきました。

Aくん:ふるさと納税の返礼品として、これまでにどれくらいの数を出荷されたのでしょうか?

赤羽氏:提供を始めた2015年8月から2016年3月の間で、約14,000台の製品を出荷させていただきました。ふるさと納税関連のWebサイト「*ふるさとチョイス」の雑貨部門では、ランキング1位をいただいたこともありました。2015年度の市区町村別のランキングで伊那市が全国6位に輝いたこともあり、弊社製品も貢献できているのかなと思っています。また昨年度は、伊那市の税収全体の1割ほどを弊社が占めました。税収でいうと2億円強ですね。なお、昨年の伊那市の税収は24億円ほどと伺っています。

伊那市はこういった税収を子育て支援に使用しています。その成果があってか、宝島社が出版している「田舎暮らしの本」2016年2月号において、2年連続で「子育て世代にぴったりな田舎」第1位を獲得したそうです。

弊社はさまざまな社員を募集していますが、地元だけで高度な人材を求めるのは限界があります。子育て支援によって暮らしやすい街として評価が上がり、この地に優秀な方はUターン、Iターンしていただけるなら、我々としても大変ありがたいことです。伊那市、ロジテック、そして雇用される方、3者ともWINという形が作れればこれ以上ない喜びですね。

Aくん:ロジテックの返礼品が選択できない時期がありましたがなぜでしょうか?

赤羽氏:実は4月1日、総務省から全国の自治体に対してふるさと納税の「見直し」を図るよう通達が出されました。家電製品などの自粛が求められたわけですね。この結果、いくつかのふるさと納税関連ページでは現在家電製品が選択できなくなりました。

しかし、ロジテック製品は、この伊那の地で作られた「生産物」です。つまり、農作物と何ら変わらない、伊那市の特産品といえるわけですね。これは伊那市役所の皆さんも同じ思いです。皆さんの後押しもあり、再び提供できるようになりました。
*2016年8月からロジテック製品は「ふるなび」に移行。

Aくん:ロジテックの伊那市への思いのルーツはどんな点にあるのでしょうか?

赤羽氏:ロジテックは1982年に創業しました。当時から伊那工場では地元の方を多く採用しておりまして、長い社員は設立当時からずっと働き続けています。そんな地元メンバーの思いが脈々と引き継がれ、伊那市は我々にとっての"ふるさと"になっています。現在の社名にある「INA」は、I="いつでも"、N="なんでも"、A="あなたのために"という我々のポリシーを表すと同時に、まさに伊那市を表したものなのです。

Aくん:最後に、ユーザーの皆様にメッセージなどありましたらお願いします。

赤羽氏:いつも私どもの製品をご使用いただき、まことにありがとうございます。弊社では工場で生産した製品を直接お届けする「ロジテックダイレクト」を運営しています。また近年は、エンベデッドビジネスに注力しており、生産ラインの増強も進めております。工場で生産した製品のクオリティを落とすことなく、すぐにエンドユーザー様のもとにお送りできるよう、日々尽力しておりますので、伊那市ともども、今後ともご愛顧のほどよろしくお願い申し上げます。

Aくん:本日はお時間をいただき、まことにありがとうございました。