富士通および富士通アイソテックは、毎年恒例となっている「パソコン組み立て教室」 を開催した。対象は小学4年生から中学3年生で、場所は福島県伊達市にある富士通アイソ テックで行われた。今年で13回目となる恒例行事だが、今回は例年よりもだいぶん、様相 が異なっていた。

パソコン組み立て教室が開催された富士通アイソテック

パソコン組み立て教室に集まった子どもたちと保護者

ちなみに富士通アイソテックは、富士通ブランドのデスクトップPCやサーバーを製造す る富士通の国内生産拠点のひとつだ。

実際の生産ラインでパソコンを組み立てる

まず目を見張ったのが、パソコン組み立て教室そのものの姿だ。例年であれば会議室や 体育館で子どもたちとその保護者が、パソコンの組み立てを“先生”から学ぶスクール形 式だった。つまり、PC組み立てに従事する富士通アイソテックの従業員が先生となり、組 み立て手順を解説。それを親子が実践していくという、まさに学校の授業のようなスタイ ルを採っていた。

だが今回は、実際の生産ラインに子どもたちが立ち、基本小学生には1人に1人ずつ、中 学生には2人に1人ずつ富士通アイソテックスタッフが付き、PC組み立てを教えていく。こ の間、保護者は子どもたちとは別にパソコン工場の見学などをし、保護者の手を借りずに PCを一人で組み立てることになる。例年のパソコン組み立て教室に比べ、非常にハードル が高い内容となっている。

組み立てを前にガイダンスを受ける子どもたち

組み立ては実際の生産ラインで行われた。まさに教室というより職業体験だ

職業体験型のアクティブ・ラーニング

これまでのパソコン組み立て教室は、親子がともに作業することでコミュニケーション を深めるといった、レクリエーショナル色が強い内容だった。だが今回は、スタッフに教 えられながらも、子どもたちが自分一人でPCを組み立てていく。わからないことや疑問に 思ったことがあれば、スタッフに質問しながら作業を進めていく姿が印象的だった。実際 の生産ラインに立ち保護者の手を借りずにPCを組み立てることはある意味“職業体験”と もいえ、まさにアクティブ・ラーニングのひとつの形だといってよい。

アクティブ・ラーニングを実践する、ある民間教育機関の先生が「ハードルの高い作業 をクリアした子どもは、成功体験を得られるとともに、その作業に対しての理解も深まる 」と話していたことを思い出した。実際に、組み立て教室に参加した子どもの一人は、「 学校の授業よりも時間がとても短く感じた」と話す。PC組み立てに充てられた時間はちょ うど1時間だったが、50分の学校の授業よりも充実した時間だった証拠だといえよう。

プログラミング教室を初開催

さて、今回のパソコン組み立て教室はこれだけでは終わらない。組み立て作業の後にプ ログラミング教室が用意されていた。実は、パソコン組み立て教室では初の試みだ。教材 として利用されたのはマサチューセッツ工科大学(MIT)が開発した「Scratch 2.0」(以下、 スクラッチ)と呼ばれるプログラミングソフト。インストールの必要がなく、ウェブブラウ ザ上で扱えるオープンプログラミングソフトだ。

ブラウザ上で動作するスクラッチ2.0

講師を担当したのはプログラミングサークル「OtOMO」を運営する倉本大資氏だ。プロ グラミングというと、小中学校の子どもたちにはハードルが高いと思われがちだが、「ス クリプト」と呼ばれる命令アイコンを組み合わせていくことで、「スプライト」と呼ばれ るキャラクターの動きを簡単に設定できる。複雑なプログラミング言語を打ち込むような ものではない。倉本氏はこのスクラッチと軽快なトークで子どもたちの興味をドンドン喚 起していく。

講師を担当した倉本大資氏

感心したのは、子どもたちを座りっぱなしにさせないこと。重要なことを教える際は先 生の前に子どもたちを集め、丁寧にスクラッチの使い方を解説する。「それではやってみ ましょう」という倉本氏の合図に、子どもたちは嬉々として自分の席に向かっていく。座 ったままの授業では、これほどの躍動感は生じなかっただろう。

そしていよいよ佳境を迎える。倉本氏が「最後の5分は自分の好きなようにプログラミ ングしてみて」というと、子どもたちから歓声が上がった。そして思い思いのプログラミ ングを試していく。以前、ある小学校でのレゴを使ったプログラミング教室を見学したが 、やはり最後は“自分の思い通りに”という展開になった。子どもたちの興味を最高潮に 沸き立たせるのに、この“自由に”というキーワードが重要になってくるのだろう。

要所要所で教室の前方に集まる子どもたち

解説を聞き終わると、真っ先に自分の席に戻りプログラミングを試す

変化するパソコン組み立て教室の役割

富士通がこれほどパソコン組み立て教室に力を入れるのには理由がある。それは、文部 科学省が進める教育改革が背景にあるからだ。文科省はICTを活用した教育を強力に推し進 め、2020年には「タブレットやパソコンを生徒一人に一台」という体制を目指している。

当然、PCメーカー各社はこうした施策の重要なICT機器納入元となるのだが、ここに課 題がある。それはICT機器をただ単に納入するだけではいけないということ。以前、ある教 師が「パソコンを教室に導入するのはいいのだが、メーカーにはそれを教育に生かすノウ ハウに乏しい」と指摘する。しかも文科省は小中学校において、プログラミングを必修科 目にするという答申を出している。

こうした教育改革に対応するために、PCメーカー側もノウハウを少しでも身につけなく てはならない。今回のパソコン組み立て教室がアクティブ・ラーニング型になり、プログ ラミング教室まで追加されたのにはそうした背景があるといえるだろう。周辺自治体にし ても、このパソコン組み立て教室を実践している富士通および富士通アイソテックの存在 は心強いだろう。事実、組み立て教室見学に訪れていた伊達市教育委員会 教育長 湯田健 一氏は「これまでパソコンというと、子どもたちに害をなす存在という認識があった。だ が、パソコン組み立て教室をベースにしたアクティブ・ラーニングでは子どもたちの興味 を引きつけていた。こうした教育を市の小中学校でも実践していかなくてはならない」と 、富士通の取り組みに何かを感じていたようだ。

また、富士通アイソテック 代表取締役社長 岩渕敦氏は「パソコン組み立て教室を通し 、地域貢献に役立ちたい」と付け加える。これまでのパソコン組み立て教室は、参加する のにパソコン購入が必須であったが、昨年から、購入しなくても無料でパソコンの組立を 体験できるメニューに変更した。もちろん、希望者には優待価格で提供をおこなっている 。実は今回参加した20組の親子のうち、17組が無料メニューを利用したものだ。

富士通アイソテック 代表取締役社長 岩渕敦氏

さらに、休日にもかかわらず多くのスタッフが出張り、教室の運営を支えていた。ある 意味、パソコン組み立て教室は、富士通の企業CSR活動といえるだろう。

富士通パートナー及び富士通担当営業とお取引があるお客様は直接担当者へお問い合わせください。

(マイナビニュース広告企画:提供 富士通)

[PR]提供:富士通