改正会社法の施行から1年。「海外子会社を含む子会社の管理体制の整備」が法律事項に格上げされたにもかかわらず、アジア圏を中心とする海外へ進出する日本企業では、現地子会社の統制が遅れ気味である。法令遵守とともに、スピーディなグローバル経営基盤を確立させるためにも、日本の親会社が現地に赴かなくとも、正確な経営状況を把握し、迅速な意思決定ができる仕組みを海外子会社に展開したい。そんなニーズに最適なのが、ミロク情報サービス(以下、MJS)のERPシステム「Galileopt NX-I」と、東洋ビジネスエンジニアリング(以下、B-EN-G)の経営管理ツール「A.S.I.A.」の連携ソリューションだ。MJSの古澤氏と祖山氏に、アジア圏の日系企業の実情と課題を伺ったので紹介する。

海外に進出する日本企業が直面する課題

現在、日本企業はその生産・販売拠点の多くを海外に設立し、グローバルにビジネスを展開している。かつては大企業が中心だったが、近年は中堅・中小企業も積極的に海外へ進出している。特にアジア圏、なかでも経済成長が著しい東南アジア(ASEAN)市場をターゲットに、生産・販売拠点を現地に構える企業が急増中だ。

外務省の「海外在留邦人数・進出日系企業数の調査結果」(2016年6月)によると、ASEAN6カ国(タイ、インドネシア、ベトナム、フィリピン、マレーシア、シンガポール)に進出している日系企業は、2015年10月時点で延べ8,947社に及んでいる。また日本貿易振興機構(JETRO)の「2015年度 日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査」(2016年3月)では、事業拡大を図る国・地域としてASEAN6カ国を選んだ企業が73.2%という結果も出ている。

このように日本企業のASEAN進出意欲は依然として高いが、一方で課題も浮き彫りになっている。それは、現地法人における会計システムのあり方だ。
2015年5月に施行された改正会社法では、「株式会社及びその子会社から成る企業集団の業務の適正を確保するために必要な体制の整備」が法律事項(会社法362条4項6号)に格上げされ、海外子会社の不正防止と管理体制の確立が経営者の責務となることが明記されている。そのためには現地法人における内部統制強化が急務なのだが、MJS東京第一支社 支社長代理 古澤正章氏は「その実現が難しい事情がある」という。

「日系企業では現地の駐在日本人が社長しかいないというケースもあり、会計業務の管理にまで手が回らないことが多いようです。その結果、現地の会計事務所に業務代行をお願いしたり、現地採用のスタッフ任せになっていたりするのが実情です。つまり現地の会計業務を理解している日本人が不在となることで会計・財務情報がブラックボックス化し、それが日系企業にとって大きなリスクとなっているのです」。

日系企業のために手を組んだMJSとB-EN-G

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東京第一支社 支社長代理 古澤正章氏

日系企業でも大企業ならば、大手海外ベンダー製品のグローバル対応ERPシステムを導入して、日本の本社から統制を効かせられるかもしれない。しかし中堅・中小の日系企業にとって、導入コストも運用コストも非常に高額なグローバル対応ERPシステムを導入することは難しい。そこで現地の法制度・通貨に対応した"現地産の会計システム"を導入することになり、これがブラックボックス化を加速させていると古澤氏は見ている。

現地産の会計システムの場合、日本人が見ても分からないことが多い。画面レイアウトやユーザーインターフェイス、出力帳票が違っているだけでなく、科目や数字が何を指し、その数字が適正なのかも判断が難しい。現地法人や会計システムベンダーに問い合わせても明確な回答は得られにくい。財務諸表を日本基準へ変換するにも費用や時間がかかり、即座に業績を把握しての迅速な意思決定・経営判断もできない。万一不正があったとしても、見抜けないおそれさえある。

このように現地法人の会計業務がブラックボックス化してしまうと、さまざまな悪影響が出てくる。そこで、これらの課題を解決するために、日本における導入実績が豊富で、さらに安心かつ信頼して利用できる日本産ERPパッケージを導入しようという機運が高まってくる。だが、日本産ERPパッケージのほとんどは現地の法制度・通貨・言語に対応していない。他に選択肢がないため、やむなく現地産の会計システムを使い続けるということになってしまうのだ。

現地法人の会計業務のガバナンスを強化したいという相談は、日本国内にERPシステム「Galileopt NX-I」の導入企業を数多く抱えるMJSにも寄せられていた。そこでMJSでは解決策を模索、その最適解となったのが、B-EN-Gの提供するグローバルERPパッケージ「A.S.I.A.」との"純国産ERP同士"の連携ソリューションだった。

1カ月の期間を要した"可視化"がリアルタイムに

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パートナー事業部 課長
祖山健太郎氏

「A.S.I.A.」は日本の商習慣に立ち位置をおきながら、グローバルに経営管理をサポートする、B-EN-Gが開発した日本産のグローバルERPシステムである。会計、販売、購買、在庫など幅広い業務に対応する多彩な機能モジュールで構成されており、日本の本社から海外拠点の状況をリアルタイムに把握できるなど、グローバル企業の強力なインフラとして活用することが可能だ。なかでも最大の特長は、多言語、多通貨、多数の海外現地サポート拠点を備えていることである。例えばタイの場合、タイ語、バーツ(タイの通貨)に対応し、タイ国内にサポート拠点も用意している。すでに世界22カ国・地域で420社以上の導入実績を持つ。

一方の「Galileopt NX-I」は、年商50~500億円規模の中堅企業をメインターゲットにした純国産ERPシステムだ。"財務を核としたマネジメントシステム"であり、財務を中心に人事給与・販売管理・資産管理・各種フロントオフィスシステムのデータを連携させた高度な計画、分析、モニタリングによって、内部統制の確立や経営情報の可視化を実現する製品である。

両システムをつなぐ仕組みを今回用意したことで、「A.S.I.A.」に入力管理されている米ドル、バーツ、中国元といった多通貨の財務・会計データを円換算し、それを「Galileopt NX-I」へ仕訳データとして取り込めるようになった。これにより、「Galileopt NX-I」のBI(ビジネス・インテリジェンス)や管理会計機能を活用して、海外現地法人の状況を多面的に把握することができる。
MJS パートナー事業部 課長 祖山健太郎氏は、「A.S.I.A.」と「Galileopt NX-I」の連携によるメリットを次のように説明する。

「例えばタイ、マレーシア、シンガポールの3カ国で、それぞれ別の現地産会計システムを運用している場合、会計データを変換して日本の本社と同一の推移表や比較データとして可視化するのに1カ月近くの作業工数と時間がかかります。それが連携ツールで自動化できるようになるので、経営状況を迅速に把握できることにつながります。
また異なる複数の現地法人の経営状況を同じ指標で比較したり、日本法人の部門管理のように、海外子会社を横並びで比較することも可能となります。日本に居ながら明細単位での業務チェックができるため、リスク因子の早期発見にもつながると考えています」。

さらに、大幅なコスト削減が可能な点も見逃せない。古澤氏によると、大手海外ベンダー製品のグローバル対応ERPシステムを導入した場合と比較して「導入・運用にかかるコストは、間違いなく半分以下」と試算する。

業務用ヘア化粧品のミルボンがすでに導入検討へ

今回の協業は、MJSにとっては新たな海外向けソリューション、B-EN-Gにとっては海外展開する日本の中堅企業向けソリューションを拡充することになり、両社ともにソリューションの幅が広がるという効果が期待されている。両社が培ってきたERP分野のノウハウを共有し、それぞれの顧客基盤を中心に相互販売を推進するとともに、新規顧客の獲得も目指すという。なお、今回の協業を機に、「Galileopt NX-I」とB-EN-Gの製造業向け生産管理・販売管理・原価管理システム「MCFrame」のシステム連携も開始される。

連携ソリューションの提供は2016年7月からだが、すでに導入を検討し始めた事例も登場している。業務用ヘア化粧品を製造・販売するミルボンは、日本本社では「Galileopt NX-I」、海外子会社ではタイの現地法人に「A.S.I.A.」を導入している。今後は他の海外子会社にも「A.S.I.A.」を横展開する計画であり、今回の連携ソリューションによって「Galileopt NX-I」と「A.S.I.A.」の連携利用を検討中だという。両システムの連携の仕組みが構築できれば、会計業務の効率化とコスト削減を両立できるとともに、海外子会社における会計業務の属人性を排除できると見込んでいる。さらにBI・分析機能により、IR情報を充実させる手段としても活用する考えだという。

「Galileopt NX-I」と「A.S.I.A.」の連携ソリューションには今のところ、競合する他のソリューションは存在しない。換言すれば、多くの国・地域に進出する日本企業のグローバル経営基盤として、唯一無二の最適なソリューションと言えるだろう。

(マイナビニュース広告企画:提供 ミロク情報サービス)

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