国内有数の大手総合電機メーカーである三菱電機。その中で通信・気象・天文観測設備の製造を担う通信機製作所は、より良いデータを得るために日々研究を重ねている。開発現場におけるこの普遍的な課題に対し、同所が取った解決手段はCAEツール「HyperWorks」の導入だった。

「衛星運用」の設備を製造

三菱電機 通信機製作所の歴史は古く、1953年に前身となる「無線機製作所」が設立され、1965年に現在の通信機製作所と改称され現在に至る。主に、レーダー技術、衛星通信技術などの要素技術を核として、様々な新しい事業を創出しており、世界的に見てもトップクラスの技術をもっている。 “電子と情報通信の三菱”をリードする製作所として、通信・気象・天文観測などの幅広い分野で社会に貢献している同所が、1960年代から注力している分野が宇宙事業だ。

1964年当時に世界一の高所に設置された「富士山頂レーダー」や、1999年に観測を開始した世界最大級の光学赤外線望遠鏡「すばる」は、いずれも同所から誕生した。

効率化を目指した技術開発とは

このように、高い技術力を誇る同所だが、宇宙産業は欧米メーカーがひしめく競争市場である。国際入札で勝ち抜く競争力を強化するためには、技術開発は当然のこと、さらなる短納期・低コスト化が求められる。 製品開発において短納期・低コスト化を実現する手段として注目を集めているのが"CAE(Computer Aided Engineering)"だ。

CAEとは、実際に製品を作る前に、コンピューター上で応力解析や振動解析といった多種多様なシミュレーションを行い検証することである。例えば、屋外に設置するアンテナは自然環境にさらされる設備だが、CAEツールを使えば、設計段階においてその構造が台風等に耐えられる強度を備えているか、その設計が妥当かどうかを確かめることができる。

通信機製作所ではCAEによる品質の高い解析を求めていたが、そのためには複雑で詳細な構造解析用モデルを作成しなければならなかった。良い製品を製作するためには、データ解析などにおいて効率化されたシステムの導入が必要不可欠だ。この課題を解決するために、同所が2015年8月から導入を始めたのが、アルテアエンジニアリングの「HyperWorks」である。

HyperWorksの導入による工程改善

HyperWorksはCAEの代表的なソフトの一つである。開発・提供を担うアルテアエンジニアリングは「ものづくり支援企業」として、パラリンピック選手のための両足義足の開発や、フェラーリの新型車両デザインなど、多種多様な分野のプロジェクトに携わっている。

HyperWorksが内包する設計支援ツール「HyperMesh」は、メッシュの形状を直接修正・編集する機能や中立面メッシュを作成する機能などを備えており、大規模モデルに対応していながら軽々とハンドリングできる高機能CAEモデリングツールだ。

HyperMeshによるアンテナ(内部)の有限要素モデル表示例

アルテアエンジニアリングは、ユーザーサポートの手厚さで知られており、サポートセンターに技術力の高い人員を充分に配置しているほか、ソフトを購入する以前から、実際に使う機能・用途に合わせたセミナーを受講することができる。

三菱電機 通信機製作所は「セミナーで使ってみることで、旧来ツールからの持ち替えに関する問題点が少ない、と判断できた」と導入の理由として挙げており、さらに、「トレーニングセミナーから導入した後の本格運用まで、利用する技術者の操作習得が予想より速やかに完了した。サポートセンターからの支援が従来ツールのものより優れていた」ことが予想外だったと述べている。

HyperViewによるアンテナ(内部)の解析結果表示例

HyperWorksの導入により、同所ではモデリングの作成・編集にかかる時間を改善するという成果を遂げた。この劇的な効果に対し、他部署・他部門からも興味を寄せられているという。今後は、複雑な機構の挙動と性能をシミュレートし解析することができるHyperWorksのツール「MotionSolve」を活用していく予定だ。

ネパール地震や東日本豪雨など災害による被害が激甚化する中で、人工衛星の運用を充実させることは、より安心できる社会づくりのために欠かせないミッションである。三菱電機 通信機製作所は、本導入事例を「世の中に安全で低コストな製品を送り出す」ための一助としたいと語った。

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