日本はいうまでもなく地理的に台風や地震が起こりやすく、自然災害の多い国です。もちろん、備えは万全にしておく文化はすでに根付いていますが、それでも先に日本を襲った「東日本大震災」では災害が想定外の大規模なものとなったため、各方面へ大きな課題を残したことも記憶に新しいところです。こうした状況を受け、グローバル企業である日本精工株式会社様では大規模なBCP/DRの刷新を決定。KELもこれを全面的にバックアップする体制で臨みました。システム構築の最前線を担当するNSKネットアンドシステム株式会社様に話を伺いましたのでご紹介しましょう。

より堅牢なデータ保護システムを目指して

NSKネットアンドシステム
IT基盤ソリューション部長 吉澤 彰夫 氏

「そもそも、以前から日本精工では自然災害やパンデミックを想定したBCPを作成し対策を行ってきました。しかし、先の東日本大震災では、想定していなかった事態が起こり、災害時のシステム運用に課題を残したのです」と語るNSKネットアンドシステムの太田宏文氏(以降、太田氏)。先に起こった数百年に一度というクラスの大規模震災では、これまでの常識が覆されるケースが起こりえることを、多くの企業が学びました。「日本精工のシステムやデータセンターに対する直接被害はありませんでした。しかし、交通マヒで2交代シフトのシステム運用チームで、スタッフの出勤困難が起こるなど、想定外のトラブルがありました」と当時を振り返る太田氏。

「日本のデータセンターは日本のシステムだけではなく、アジア・アセアン各拠点向けのシステムが稼動しています。そのため、より堅牢なBCP/DRの構築が急がれることになりました」と太田氏は語ります。部品製造メーカーとして世界的地位と販路を持つ日本精工様におけるグローバル対応のBCP/DRの構築を目指し、大規模なプロジェクトがスタートします。

本格始動したBCP/DRの刷新

NSKネットアンドシステム
IT基盤ソリューション部 ネットワークグループ マネージャー 島本 修 氏

まずは、第2データセンターを設置するのに適した場所選びが必要です。「東日本大震災以前のリスク想定は直下型の地震を想定した『限定的な範囲』且つ『短期間の影響』という事で、第2データセンターは近距離に設置するのが通例となっていました、しかし東日本大震災の教訓として、様々なリスクを勘案する必要が出てきました」と語る太田氏。

「政府発行のハザードマップを見ながら検討すると、南海トラフを震源とした大震災を想定した場合、本州南岸はほぼすべてが危険地域になることが分かりました」と、語るNSKネットアンドシステムの吉澤彰夫氏(以降、吉澤氏)。電力供給が安定していること、原子力発電所の事故リスクを考慮すること、要員確保ができることなどが選定ポイントとして挙げられ、地震に対する地理的条件も加えて検討したところ、最終的に選ばれたのは沖縄でした。

「電力も安定していますし、"ITアイランド"という県の方針も後押しとなり、沖縄に拠点を設けることに決めました」とNSKネットアンドシステムの吉澤氏は語ります。もう一つの要因に「保守をするKELの拠点がある」ということも沖縄にデータセンターを構えるきっかけになったのだそうです。データセンター選定と同時に、BCP/DRプロジェクトもスタートを切ります。そんな中、システム構築ベンダーの主幹として選ばれたのがKELです。

「KELさんとは1970年代からのお付き合いで、メインフレームの時代から始まり、ネットワーク構築、HOST、OPEN系、プリンタなどのインフラ基盤やOS、ミドルウェアの技術支援など、現在に至るまで幅広く取引させていただいております」と太田氏。特に2009年のメインデータセンターの仮想環境構築におけるKELの働きが、大規模案件において高いスキルを発揮するという評価をいただき、今回の抜擢にも繋がったそうです。KELの役割はBCP/DRのためのシステム構築全般と、これに関わる様々なベンダー間のやり取りです。特に規模的に主要ベンダーを多数含んだマルチベンダーにならざるを得ないため、各ベンダーと連携、協力していくハンドリングスキルやソリューション力に大きな期待を寄せられています。

災害対策システム構成図

「プロジェクトは3段階に分けられました。フェーズ1として、データ保全いわゆるデータバックアップのためのシステム構築とネットワーク構築です。フェーズ2では、基幹システムの販売・調達システムについて、本番と同じ環境を詳細に設計し、稼働できるようにします。最終のフェーズ3では、BCP/DRシステムとして本稼働させ、定期的なDR訓練をするという内容です」と太田氏は解説します。

「2012年にこのプロジェクトの構想が持ち上がったのですが、スタートを切る前に、日本精工のITシステム全体をきちんと把握して、どのデータやどのシステムを沖縄データセンターへ持って行くか、整理するところから始めました」と太田氏。現場の意向でベンダーや管理者がパッチなどをあてることはよくありますが、その報告を忘れていると、当事者以外に発見しづらいケースがあります。後から発覚した場合、不明点を探すのに全体を調査しなくてはならず、対応に苦慮する結果になりがちです。

「そのようなケースも発見されましたが、システムが稼働している中、KELさんはスケジュール通りに進めてもらいました。おかげで良いスタートを切ることができました」と、NSKネットアンドシステムの島本 修氏(以降、島本氏)は語ります。

メインデータセンターとの両立
「アクティブ/アクティブ」の実現

NSKネットアンドシステム
IT基盤ソリューション部 データセンターグループ マネージャー 太田 宏文 氏

NSKネットアンドシステムでは今後進むことになるフェーズ3へ向けてある施策も考えていらっしゃいます。「沖縄データセンターには本番と同じシステムが構築されます。これを有事の時に備えておくだけで、眠らせておくのはもったいないので、このリソースを使って何かできないか検討しています」という島本氏。通常、メインのデータセンターがアクティブなら、バックアップとしての第2データセンターはクローズドですが、そこもアクティブとして有効活用するという考え方、すなわち「アクティブ/アクティブ」を目指しているのです。

「北米、ヨーロッパでも基幹システムは同じ基盤で構築してあります。沖縄の第2データセンターがきちんと稼働したら、北米、ヨーロッパのバックアップセンターとしても稼動させたいと考えています」と太田氏は将来のシェアリング構想を語ります。世界市場を3分する各拠点が強固なバックアップ先を持ち、なおかつアクティブ/アクティブで稼働できれば、日本精工様のグローバルビジネスの業務効率は格段に向上するでしょう。

「すべてが完成した後になりますが、リソースだけでなく、ノウハウやナレッジ、ライセンスなどあらゆる意味での世界中の"資源"が共有できるとよいですね」と島本氏。最後に、今後のNSKネットアンドシステムの展望として「各拠点がアクティブ/アクティブで稼働することを目指していますが、全てがオンプレミスではなく、クラウドとも融合し、次期IT基盤を検討していくことが重要なテーマであると考えています」と吉澤氏はにこやかにお話をしめくくってくださいました。

KELは引き続きBCPプロジェクトを牽引する役目を担っており、最大限の努力でお応えすると同時に、日本精工様とNSKネットアンドシステム様の将来へ向けての基盤システム構築へ、新しい提案、新しいソリューションを持って応援し続けたいと考えています。

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創業当時の本社

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■日本精工株式会社

・所在地:東京都品川区大崎1-6-3 日精ビル
・設立:1916年
・従業員数:31,088人(2015年3月 現在)

日本精工ホームページ

■NSK100年の歩み
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100年前の図面

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昔のカタログ

軸受(ベアリング)は、機械や設備の信頼性や効率を向上させ、エネルギーロスを削減させる重要な部品です。「産業のコメ」とも呼ばれ、社会で幅広く使われています。
日本精工(NSK)は、軸受の開発・製造を1916年に日本で初めて成功させました。以降、さまざまな革新的な技術・製品を生み出し、100年近くにわたり産業の発展と環境の保全に貢献しています。
洗濯機や掃除機などの身近な家電製品から工作機械、新幹線、飛行機、建設機械、鉄鋼設備などの大規模な産業機械に至るまで、NSKは20万種類を超える軸受で人々の暮らしを支えています。
また、エンジンや補機類、変速機、タイヤまわりに至るまで、1台の自動車には100~150個の軸受が使われています。NSKの自動車軸受は、摩擦損失の低減、小型・軽量化、電動化への対応などで、自動車の性能向上に貢献しています。  
NSKは、1960年代初頭から海外に進出し、現在では30ヶ国に214拠点を設け、世界有数の軸受メーカーとして、年間22億個もの軸受を広く供給することで、世界中のお客様から高い評価と信頼をいただいています。

■NSKネットアンドシステム株式会社


・所在地: 東京都品川区大崎1-6-3 日精ビル
・設立: 2001年4月
・従業員数: 221人
NSKネットアンドシステムは、2001年4月設立の日本精工100%出資会社であり、安全、安心、安定を目標方針とし、日本精工グループ各社のシステム企画から、開発・業務運用・保守サービスを実施しています。

(マイナビニュース広告企画:提供 兼松エレクトロニクス)

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