2016年1月、米ラスベガスで開催された「CES 2016」でお目見えし、国内外で大きな話題となっているカシオのSmart Outdoor Watch「WSD-F10」。3月下旬の発売(予定)を控え、その動向も気になるところ。発表会では聞けなかった企画面や機能について、より詳しく探るべく、カシオの羽村技術センターにお邪魔した。

「Smart Outdoor Watch WSD-F10」

オレンジ

グリーン

ブラック

レッド

最初は「アウトドア」ではなかった!?

ご対応いただいたのは、カシオ計算機 新規事業開発部の今村圭一氏、岡田佳代氏、大村明久氏だ。今回のWSD-F10に関して、今村氏と岡田氏は商品企画、大村氏は機構実装を担当されているとのこと。(関連記事 : ひと足早く体験した! - カシオのAndroid Wearスマートウオッチ「Smart Outdoor Watch」)

―― まずは、CES 2016での反響についてお聞かせください。

カシオ計算機 新規事業開発部
岡田佳代氏

岡田氏「おかげさまで、想像以上の反響がありました。海外メディアでも単なる商品紹介だけでなく、実際に触っての体験記事として多く取り上げていただき、世界各国で話題にしていただきました」

―― どのような評価を多くいただきましたか?

岡田氏「カシオっぽくていいね、と」

―― それ、私も書きました(笑)。海外では、どんなところが「カシオっぽい良さ」と評価されたのでしょうか。

岡田氏「ハードウェアとしての耐久性、信頼性が大きいですね。G-SHOCKやPRO TREKのイメージと実績から、アウトドアという切り口もカシオらしいとお褒めの言葉を多くいただきました」

カシオらしい「物としての作りの良さや質感の高さ」を感じさせるWSD-F10

―― そのアウトドアという切り口は、開発当初から存在していたのでしょうか?

今村氏「このプロジェクトには、立ち上げ時から足かけ4年以上の歴史があります(といいながら、2つの試作模型を取り出す)。

ご覧の通り、最初はもっと汎用的で日常使いに向いた、いわゆる『スマートウオッチの王道』的なものを考えていました。画面の形状も四角です。バンドの裏が赤い方は、ランニングなどスポーツ向けにシフトしたモデル。初期の案より防水性能を高めた設計にしています」

【左】カシオ計算機 新規事業開発部 今村圭一氏 【右】右側は、もっとも初期に制作した試作品。まだアウトドアのコンセプトはない。左側は、ランニングなどスポーツ向けに振ったモデル

―― いや、これはこれで魅力的です。こちらが欲しいという人も、決して少なくないのでは。

今村氏「『こういうものが好み』という意見をいただいたことはあります。実際、作っているときは私もこれでいいと思っていたんですよ。『小さくて凄いスマホ』を作ってやろう、と。でも、それをどう使うのか考えていくと、『スマホでできてしまうことがあまりにも多い』という事実に気付いたのです。

スマートウオッチが主役で、お客さまが脇役になってしまっているんじゃないかと。お客さまの潜在的な要求を、この製品がどう満たせるのか。これを使うことで、お客さまがどんな(今までにない)メリットを享受できるのか。まずは用途や使用シーンをハッキリ決めて、その上で何ができるかを考えていこう、と、そんな発想に切り替えて、すべてを一度リセットしたのです。

その結果、従来のスマホでは対応しきれない用途・シーンとして『アウトドア』というキーワードが浮かんできました。しかも、アウトドアはカシオの耐環境性能や防水の技術、各種デバイス技術とも相性の良い分野だったのです」