AFPなど多数のプロトコルに対応したファイルサーバー機能

ここからは、SynologyのNASがAppleユーザーにおすすめできる理由を解説していきたい。最大ポイントは、ファイルサーバーとしての柔軟性だ。SynologyのNASに搭載されているOS「DiskStation Manager」(以下DSM)は、Windows/Mac/Linuxに対応した様々なプロトコルをサポートしている。もちろん、MacOSで使用されるAFPプロトコルにも標準で対応。仕事用と家庭用で違うOSを利用している場合であっても、同じ感覚で利用できるメリットは大きい。また、UTF-8をサポートしているため、異なる言語や文字でコード化されたファイルも、文字化けすることなく読み取ることが可能。異なるOS間でのファイルを共有し、スムーズにやり取りを行うことができる。

Time Capsuleでは不可能なRAIDを構築可能

また、「AirMac Time Capsule」では対応していないRAIDを構築できることも大きいだろう。今回紹介しているDS216+は2ベイモデルであるため、選択肢はRAID 0/1、JBODのみとなるが、それでもTime Capsuleに対するはっきりとした優位性となる。RAID 5/6/10などを利用したい方向けには、DS416jのような4ベイモデルも用意されているため、高度な機能を利用したい方はこちらを選択するのも良い。

「DS416j」などの4ベイモデルでは、RAID 5/6/10といった高度な設定も可能

さらにSynologyのNASには、RAIDをより柔軟に構成するための自動管理システム「SynologyハイブリッドRAID」が搭載されているのもポイント。これはLinuxのRAID管理システムをベースとした、Synology独自の技術だ。例えば、通常のRAID構成では500GBドライブでアレイを構築すると、アレイ内の全ドライブが500GBしか使用できない。しかしSynologyハイブリッドRAIDならば、アレイ内の各ドライブのボリュームを細かく分割が可能。予備領域として利用可能となる。またその特性を活かし、アレイ構成のアップグレードやボリュームの拡張を段階的に行うこともできる。厳密なシステム管理を志向する上級ユーザーは従来のRAIDシステムを使うべきだが、限りある予算でやりくりする個人が利用する分には、大いに活躍してくれるシステムだろう。

SynologyハイブリッドRAIDの設定例。クラシックなRAIDに比べ、柔軟な構成と拡張を行うことが可能だ

Time Machineバックアップをサポート

Time Capsule同様、MacOSに付属するバックアップ機能「Time Machine」をサポートしている点も大きな特徴だ。もちろんストレージを含めた価格面のメリットも大きいが、RAID環境に対して純正ユーティリティでバックアップが行えるのが最大のポイントとなるだろう。Time Machineにボリューム全体を占有させないよう、容量も自由に設定できるため、環境に合わせたバックアップ環境を構築することができる。

MacOSのファイルサービスであるAFPプロトコルに対応。Time Machineによるバックアップ用ドライブに設定も可能だ

Synology NASでTime Machineを効果的に利用する場合は、まずTime Machine用のユーザーを作り、Time Machineのバックアップにボリューム全体を専有されないよう、割り当て制限を行うのが良いだろう。ユーザーが作成できたら、続いてTime Machineバックアップ用の共有フォルダを作成。割り当て量を指定したら、先ほど作ったTime Machine用ユーザーに読み取り/書き込み権限を設定しよう。最後に、DSMの「Macのファイルサービス」項目から作成したバックアップ用の共有フォルダをTime Machine用として指定すれば、あとはMac OSのTime Machineからその共有フォルダを指定すればOKだ。

DSMのコントロールパネルにある“ユーザー”から、Time Machine用のユーザーを作る

次に、Time Machineのバックアップに利用する共有フォルダを作成し、割当量を決める

作成したTime Machineバックアップ用共有フォルダに対してTime Machine用ユーザーの読み書きを許可する

M@コントロールパネルにある”ファイルサービス”から、Time Machineバックアップ用共有フォルダを指定する

また、DSMの「Cloud Station」を使ってNASに直接ファイルバックアップと同期を行うことも可能だ。小さいファイルであれば、これまでの870%を超える速さで同期が行える。加えて、Cloud Stationでファイルを同期する際、「Cloud Station Backup」を使ってMac OSからSynologyのNASにファイルのバックアップもできる。

「Cloud Station Backup」を利用すれば、Mac OSからSynology NASに直接バックアップすることも可能

Mac Finder 統合検索と全文一致検索

また、現在Beta 2がテスト中のDSM 6.0では、検索機能がより強力になった。新たに、MacOSやiOSユーザーが日ごろからお世話になっている”Mac Finder”に対応。NAS上の共有フォルダにインデックスを付けるよう設定しておけば、MacOSが自動で検索に必要な情報を作成。Mac Finderを使った検索によってファイルやフォルダを瞬時に見つけ出すことが可能だ。Synology NASの共有フォルダを、まるで内蔵ストレージかのように利用することができる。

Mac Finderから検索を行えるようにしたいフォルダに対して、ファイルインデックス処理を設定しよう

また、Synology NAS内のファイルをWebブラウザなどから直接管理する際にも、強力な検索機能を利用可能となる。DSM 6.0では、Synologyの検索エンジンが最適化、統合化され、リソースの消費が非常に少なくなった。標準パッケージ「File Station」はDSM 6.0に統合され、独自の全文一致検索エンジンによって少ないリソースで強力な検索が行える。写真や音楽、動画ファイルなどのメディアファイルに含まれているメタデータをインデックス化し、詳細な検索を行うことも可能だ。DSM 6.0では700種類以上のコンテンツやメタデータのファイルからデータを検索するため、NASに保存した大量のファイルも、この全文一致検索を利用すれば簡単に探し出すことができるだろう。

さまざまな条件を設定し、Synology NAS内のファイルを一括して検索することが可能。またメディアに含まれているメタデータをインデックス化することもできる