「サクサク撮影」のEXILIMエンジン Ver.3を搭載!

―― では、続いて中身についてお聞かせください。

是木氏「一番大きいのは、映像エンジンを変えたこと。FR100には『サクサク撮影』のキャッチフレーズでお馴染みのEXILIM ZRシリーズが搭載している(一部を除く)EXILIMエンジンを採用しました。したがって、ZRシリーズ譲りの快速シャッターをはじめとする快適動作、高速連写合成、ハイスピードムービーなどが楽しめます」

―― 搭載しているEXILIMエンジンは、Ver.3(最新バージョン)ですか?

EXILIMエンジン Ver.3の搭載により画質が向上したことを説明する吉沢氏

吉沢氏「はい。正しくは、Ver.3をFR100用にカスタマイズしたものです。先にお話しした、新規設計の16mmレンズの性能を引き出すための機能などを盛り込んでいますので。一例を挙げると光学補正。16mmもの超広角レンズともなると、どうしてもレンズの周辺描写が多少歪むんですよ。これを補正して、画質を大きく向上させています」

是木氏「ほかにも、FR100用の新機能として『インテリジェント・インターバル撮影』があります。カメラ部をクリップで腕や胸、リュックに装着して、歩きながら、遊びながらの撮影を可能にする『ながら撮影』の必須機能ですね。FR10やFR100は、このインターバル撮影に重きを置いていますが、単純に一定間隔でシャッターを切るだけだと、ちょうど足を出した瞬間で画面が大きくぶれていたり、人物が目をつむっていたりと、イマイチな写真になってしまうことも少なくありません。

そこでインテリジェント・インターバル撮影では、シャッタータイミング前後の100枚近くを高速連写してメモリにキャッシュします。そして、これら各画像のプロファイルをすべて参照するんです。これらのプロファイルには(カメラ部に内蔵されている)加速度センサーやジャイロなどの情報が含まれているので、カメラの動きや傾きの大きさがわかります。つまり、『手ブレしている可能性が大きい状況かどうか』がわかるのです。

合わせて、露出や人物の顔の判定など画像解析も実行します。こうしたさまざまな条件を複合的に判断して、最適な一枚を記録します。動画だけでなく、静止画でも高品質なものを提供したかったんですよ。そこは、いわゆるアクションカメラと呼ばれるジャンルの製品と違う視点かもしれないですね」

吉沢氏「もちろん動画にも力を入れています。手ブレ補正は、わかりやすい例ですね。インターバル撮影同様、カメラ部を体やリュックに装着して歩きながら撮ることが多いFR100専用に開発した機構です。電子式ながら、補正効果はEXILIM ZRシリーズ以上でしょう。効果はお好みで、切・標準・強から選択できます」

FR100のヒンジの規格はFR10と同じなので、FR10用のアタッチメントがそのまま利用できる

FR100動画手ブレ補正の設定比較。その効果の差がよくわかる。設定の違うFR100を3台並べて固定し、持ち歩きながら同時撮影しているので、撮影時の条件はほぼ同じ

―― (動画を見て) 効果「強」だと、まるでジンバル(移動中の動画撮影で手ブレを抑える手持ち式のグリップ)を使用したような滑らかな動きですね。しかし、これらの複雑・高速な処理を伴う機能を利用すると、一気にバッテリーを消費しそうにも思えますが。

吉沢氏「消費量は若干増えるかどうか、というレベル。いずれにしても、みなさんが想像されるほどではないですね。それにFR100は、FR10に比べてコントローラーのバッテリー容量が少し大きいのです。そういった細かなところまで含めて、徹底的に仕様を見直しました。

カメラ部とコントローラー部の接続もBluetoothの規格こそ同じですが、通信性能は大きく改善しました。でも、これに思いのほか苦労しまして……。EXILIMエンジンの高速処理に、通信速度がついて行けなかったんですよ。そこで、細かなロジックを地道にひとつひとつ改善して、それらを積み重ねることで快適なリアルタイム通信を実現しています」