ビジネスにおける人材育成を手がけている一般企業の女性社員が、業務外活動で製作したYouTube限定公開のミュージックビデオ『男のうた』。そのビデオの中で、不器用だが実直な一人の男を演じているのが俳優・飛坂光輝(ひさか・こうき)。俳優としては無名に近いが、その存在感は不思議と人を惹き付ける。そんな彼に話を聞いた。

「自信」と「度胸」で自分にしか出来ない役を

飛坂光輝
1977年5月23日生まれ
オフィス斬 所属

――今年も残すところ、あとわずかとなりました。飛坂さんにとっての2015年を振り返ってもらえますか。

周りのみなさんのおかげで、去年より仕事が増えました。実績になったかどうかは別として、ささやかだけど忙しさを実感する一年でした。とはいえ、今は役者の仕事をした後、夜にバイトをしているのですが、そういう生活も辛くはないので、出来る限り続けていこうかなと。

――仕事を通じて発見したことは?

こう見えて、かなり緊張しやすいタチなんですよ。焦ると早口になったり、口ごもってしまったり。若い頃は「なんとかなるや」と思っていましたけど、この年齢(38歳)にもなると「自分はこのままで本当に良いのだろうか」と悩むことが多くなりましたね。いっそのこと役者を辞めようかという考えが頭によぎったこともありましたし。良い意味でも悪い意味でも深い1年でした。

――撮影現場の緊張感は相当なものなのでしょうか。

それはもう半端じゃないですから。自分のような人間がいていいのかと思うくらいですよ。とはいえ、そうも言っていられないので、とにかく慣れることが大事だと、少ない仕事の合間に定期的にワークショップに通ったりしながら現場感をつかむことを心がけています。もちろんそれだけでなく、誰がやっても同じだと思われないためにも、自分なりの演技や芝居というものを模索し続けないといけないと思っています。

――飛坂さんがそもそも役者の道を志したきっかけを教えて下さい。

22歳の時、韓国で専門学校に行きながらバンドを組んで活動していたところをスカウトされたんです。24歳で『夜を賭けて』(2002年)という映画に製作スタッフとして参加させていただき、そこでほんの1シーンだったけど役者として出演させてもらいまして。それ以降、活動を続けていたんですが、29歳くらいで壁にぶち当たったんです。「自分はなんて引き出しが少ないのだろう」って。でも、そんな時、人から自分の演技を評価されることがあって。役者としてそういうことが出来たんだなと思った瞬間、この仕事が楽しく思えたんです。それが30代前半の出来事です。

――映画やドラマの撮影現場って、独特な空気がありますよね。

何とも言えませんよね。撮影が終ったらみんな別れてしまうんだけど、短い時間の中でも強い絆が見えたり、それを感じたりするのがいいですね。作品が変わるたびに新しい人とも出会えますし、損得関係なく今でもつながっている人もいます。

――では、飛坂さんの役者としての武器は何でしょう。

韓国語が話せることですね。あと中国語も少し。言語のトレースも上手だと褒められたことがあります。あとは、小学校から高校2年まで空手を習っていました。卒業後も中国武術の形意拳(けいいけん)の師匠に9年間、師事していました。

――逆に、今の飛坂さんに足りないモノって何ですか?

「自信」ですね。これが無いんですよ、不思議なことに。あとは「重さ」と「脂」かな(笑)。どうしたら脂って乗るんですかね。いつまでフレッシュなんだ! みたいな(笑)。自分みたいな役者、掃いて捨てるほどいるじゃないですか。

――そんなことないと思いますよ。あとほんの少し「度胸」があれば道は開けると思いますが。

度胸…いい言葉ですね! ぜひそれ、使わせていただきます(笑)。

――役者としての理想は?

自分にしか出来ない役をやりたい、というのと、同じ役者から自分の演じた役を「やりたい」って言われるような芝居をしたいですね。たとえセリフを言ってなくても気持ちが伝わるような。

プラモデル作りが大の趣味! 意外な素顔

――ところで、飛坂さんのプライベートをぜひ知りたいのですが、一番の趣味は何ですか?

プラモデルです(笑)。

――それは意外ですね! どういったジャンルのものをよく作るんですか。

昔はバイクとか戦車とか作っていましたが、今は基本的にガンプラです。自分の場合「いかに綺麗に作るか」にこだわっていて、2年くらいかけて1体、作っています。

――さしあたって今、作ってみたいものは?

『機動戦士ガンダムUC』のバンシィ・ノルンですね。いわゆる王道のタイプより、黒い機体が好きなんです。暗いかな(笑)。ちなみに、生まれて初めて作ったプラモデルはガンキャノンです。幼稚園の時、いとこに脚を折られて大ゲンカしたのを覚えています(笑)。

――どうしてそんなにプラモデルが好きなんですか。

集中すると日常を忘れられるのがいいんですよね。昔、部品を削りながらケータイを頬と肩に挟んで1時間以上話していたら、自分の汗で水没して液晶がぶっ壊れたことがあります(笑)。

――そのケータイはどうしたんですか?

自分で直しました。ネットオークションで同じ型の機種を手に入れて、液晶の部分だけ取り替えて。

――簡単に言いますけど、難しいですよね?

いや、パソコンも自作するんで、全然大丈夫です(笑)。昔から細かい作業が好きなんですよ。友だちのノートパソコンが壊れた時も「任せろ」と(笑)。

――話が少しそれてしまいましたが、最後に、2016年の抱負をお聞かせ下さい。

これまで警官や刑事、医者の役が多かったんですが、思い切って悪役をやってみたいですね。ネチネチした性格の嫌なタイプの悪を演じてみたいです。月並みかもしれませんが、ぜひ。

――ひとりの人間としてはいかがですか?

やっぱり「度胸」ですね。これは一生の課題かも。知らない人がいる飲み会とかでも、今年以上にフットワーク軽く積極的に参加していきたいです。体力も落ちてないし、自分の中では20代中盤から30歳前後の感覚なので。最近ちょっと膝が痛いですけど(笑)。

――ありがとうございました。

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