ビッグデータやAIなどの最新のITは、世界が抱える様々な問題の解決にも大きく貢献することが期待されている。人類に希望をもたらすような、最先端のIT活用事例と、そこでSGIの技術がどのように生かされているのかについて、米国SGI(Silicon Graphics International)のシニアバイスプレジデント兼CTO(最高技術責任者)、イン・リム・ゴー(Eng Lim Goh)氏に語ってもらった。

人工知能の可能性を広げるSGIの技術

ITの力で世界が抱える問題の解決に貢献すべく、ゴー氏は現在SGIが特に注力している事柄の一環としてとして次の3つを挙げる。

米国 SGI
シニアバイスプレジデント兼CTO
イン・リム・ゴー氏

1 ソーシャルメディア
2 地球温暖化問題
3 健康・ライフサイエンス

このうちソーシャルメディアに関する数ある取り組みの中でもとりわけ興味深いのが、ウィキペディアでの事例だ。世界中の人々が利用するインターネット百科事典には、過去の様々な出来事に関する記事が掲載されている。このうち、ある国と国について触れている記事を分析し、その内容が肯定的であれば緑、否定的であれば赤として、年代ごとに色の分布の推移を世界地図上に描いてみせるという試みが行われているのである。これにより、「どの年代が世界的に平和な時期で、どの年代が争いの多発する時期だったのか」といったように、時代ごとの世情や雰囲気のようなものが一目瞭然で把握できることになる。

SGI Wikipedia Projectの特設ページ

ウィキペディアに記載されている膨大な記事を同時に読み込み、人間があらかじめ想定できない関連性を見つけだすという、通常であれば困難な処理を可能としているのが、SGIが世界最大級のデータマイニングマシーンとして提供する「SGI UV」である。

「SGI UVは、巨大な共有メモリーを有し、1インスタンスの標準Linuxで稼働することができる。そのため、大量のデータであっても網羅的に関係性を分析することが可能となるのだ」とゴー氏は説明する。

また、同様にSGIのコンピューターを用いたソーシャルメディア分析の事例として同氏が挙げるのがツイッターのつぶやき分析システムだ。このシステムは、世界中で日々5億件も発せられているツイッターのつぶやきを1年分──約2000億ものつぶやきを可視化するものである。例えば「USドル」に関するつぶやきを検索すると、それがどの地域で多く発せられたかが世界地図上に表示される。そしてアメリカ東海岸が多いとなれば、そこにマウスを当てると、実際につぶやかれた内容も読むことができるのである。

SGI Twitterプロジェクトの特設ページ

「2000億ものつぶやきを瞬時に検索してビジュアルに表示することができるのは、我々のコンピューターならではだと自負している」(ゴー氏)

こうしたSGIのテクノロジーは、世界中で注目を集めるAI技術にも大きく貢献している。例えば今年、16TBものメモリー空間を有するSGI UV上で稼働するポーカー対戦プログラムが、世界トップレベルのポーカープレイヤー4人と対戦。3敗したものの、1勝を挙げるという快挙を成し遂げた。チェスや将棋などと違い、相手の手札が見えない不確実性の高いポーカーにおいて、コンピューターがトップレベルの人間に勝つのは不可能と言われていたのだが、その定説が覆されつつあるのだ。

「近い将来には、対戦相手の表情を読むことまで可能になるかもしれない。ここで我々が貢献できるのはハードウェアの部分。大量のデータに基づいた処理を包括的に行えるような“大きな頭脳”を実現するアーキテクチャがSGIにはある」とゴー氏は強調する。


MRJの低燃費化にも貢献

続く地球温暖化問題に関する事例の1つとなるのが、アメリカ海洋大気庁(NOAA)による地球環境のシミュレーションシステムである。このシステムは、2100年までに地球上の気温や水温、水位などがどこでどのように変化していくかをシミュレーションするもので、そのインフラとして使われているのが、SGIが誇る超高速の分散メモリー 型プラットフォーム「SGI ICE X」だ。標準Linux上で稼働するSGI ICE Xは、ラックあたり182テラフロップスを超える性能を有しており、ノード数を36から数万まで容易に拡張できることから、条件が非常に厳しい計算問題であっても処理が可能となっている。

「SGI ICE Xの極めて高い性能とスケーラビリティは、計算流体力学(CFD)の分野においても目覚ましい効果をあげている」(ゴー氏)

日本国内でも、東京大学地震研究所や東北大学 流体科学研究所、統計数理研究所、日本原子力研究開発機構などのトップレベルの研究機関で、SGIのコンピューターが活用されている。例えば東北大学 流体科学研究所では、待望の初飛行を間近に控えるMRJ(三菱リージョナルジェット)の抵抗最小化と重量最小化による燃費向上にSGIの技術が大きく貢献しているのである。

ビッグデータを活用し、効果的な抗癌剤の開発を目指す

3つ目の健康・ライフサイエンスの分野での取り組みの1つが、小麦の遺伝子解析だ。世界中で主食とされているこの植物だが、実は人間の何倍もの情報量の遺伝子を有していることはあまり知られていない。そのため、小麦の遺伝子解析には、ヒトゲノム解析よりもはるかに大きな困難が伴うのである。しかし今後、世界の食料問題がますます深刻化していくなかで、小麦の生産性を上げるためには遺伝子解析は欠かせない。そこで膨大な情報量を持つ小麦遺伝子の解析に、SGI UVが使われているのである。

また、イギリスのがん研究院では、100種類もの抗癌剤の組み合わせからどのような効果が表れるかの研究にSGIのコンピューターが活用されている。薬の組み合わせでは比率も変わるため、そのパターンは10兆通りにも及ぶという。それぞれの組み合わせを1つ1つシミュレーションし、データを蓄積することで、個別の癌の症例に有効な新たな薬の処方を目指しているのだ。

「まさしく人類にとって希望となるビッグデータ活用例だと言えるだろう」とゴー氏は力強く語る。

さらに、アメリカのハーバード・メディカル・スクールは、マサチューセッツ州の病院と共同で、SGIのコンピューターを使ったCTスキャンの画像解析を実施している。

「放射線の被曝が避けられないCTスキャンによる検査において、彼らはいかに少ない放射線で検査を可能にするかチャレンジしている。低放射線で撮影した不鮮明な画像であっても補正技術によって的確な診断が行えるよう、我々のコンピューターを使った分析に取り組んでいるのだ」(ゴー氏)

ソーシャルメディア、地球温暖化問題そして健康・ライフサイエンスといったそれぞれの分野の最先端で、SGIの技術がどのように活用されているかを説明したゴー氏は、最後に次のように同社の使命について強調した。

「我々のコンピューターが人類にとって望ましい方向に活用されていることに誇りを感じている。今後も、食、自然災害の低減、経済活用、エンターテイメント、そして宇宙の起源の解明といった人類の大テーマについて貢献し続けていくことが我々の使命である」

(マイナビニュース広告企画:提供 日本SGI)

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