ブラザーから2015年インクジェットプリンターの新モデルとして、家庭向けのA4対応機「PRIVIO」BASIC(ベーシック)シリーズ4機種と、ホーム・オフィス向けA3対応機「PRIVIO」NEOシリーズ2機種が発表された。

ブラザーのA4対応インクジェットプリンター「DCP-J963N」。本体カラーのバリエーションは画像左のホワイト(型番:DCP-J963N-W)と画像右のブラック(型番:DCP-J963N-B)の2種類

主な特徴は「PRIVIO」BASICシリーズで新たに「できる4色インク」が採用された点と本体がコンパクトになった点、そして全モデルで利用可能なスマートフォン/タブレット向けアプリ「Brother iPrint&Scan」がパワーアップした点だ。

そこで今回は大きくパワーアップした「PRIVIO」BASICシリーズ代表機種である「DCP-J963N」について評価していきたい。

コンパクトでありながら豊富な機能を搭載

筆者は毎年のように各社のインクジェットプリンターを試用しているのだが、今回発表されたブラザーの新モデル「DCP-J963N」を見て、「前モデルよりも、かなりコンパクトになったな」と感じた。新モデルの本体サイズは幅400×奥行き341×高さ172mmで、重量は約8.6kg。旧モデル「DCP-J957N」は幅410×奥行き374×高さ180mmで、重量は約9.3kgだ。700gと大幅な軽量化を実現し、体積比についても15%減となっている。従来モデルも小型であったが、さらにスリムになっている。外観デザインも前モデルと比べて本体の凹凸がかなり減り、スッキリとしたスクウェアな形状に。このデザイン変更の影響によって、実際のサイズ以上に小さくなったと感じる。

「DCP-J963N」の本体前面。従来モデルに見られた凹凸感がなくなり、フラットで段差がなく、コンパクトにまとまっている

奥行きは341mmで、旧モデル「DCP-J957N」より33mmも小さくなっている。高さについては8mm減だ

背面には手差しトレイなどが用意されている関係上、やや出っ張りがある。だがそれでも従来モデルから接地面積比で11%小型化されており、置き場所には困らないはずだ

給紙トレイは全部で3種類用意されている。フロントにある下段の記録紙トレイには普通紙を100枚、上段のスライドトレイにはL判光沢紙/はがきを20枚セット可能だ。背面の手差しトレイは、紙を特殊紙などロールさせたくない紙に印刷するのに向いている(通常は紙がU字を描くように排出される)。

はがきやL判用紙をセットできる上段のスライドトレイ。利用するトレイを切り替える際は、右柄のスライドレバーを操作する

下段にある記録紙トレイには、A4サイズの普通紙を最大100枚セット可能だ

背面にある手差しトレイには、1枚ずつ用紙を入れていく

給紙トレイ上面部には、手動引き出し式の排紙トレイを配置

コンパクトでありながら、最大20枚の資料を連続スキャンできるADFや自動両面印刷に対応している点も特徴だ。もちろん、平置きで1枚ずつスキャンすることも可能。複数枚の資料を一度に取り込む際にはADFが非常に便利。同クラスの他社製品でも自動両面印刷に対応しているモデルはあるが、ADFを搭載しているモデルは珍しい。本体価格はリーズナブルだが、多彩な機能を搭載しているのがブラザー製品の魅力のひとつだと言える。

最大20枚の連続取り込み(スキャンは片面)が可能なADFを搭載

タッチで簡単に扱える操作パネル

操作パネルには2.7型のタッチ対応液晶ディスプレイが用意されているほか、ディスプレイ右側の点灯式ボタンで操作することが可能だ。タッチパネルは感圧式で、操作感はとてもスムーズ。本体のみで資料のコピーや写真のダイレクト印刷が可能で、パソコンを起動しなくても使える手軽さがうれしい。

2.7型の液晶ディスプレイや感圧式タッチパネルを搭載した操作パネル。パネル左側にあるNFCポートにNFC対応スマートフォンをかざせば、写真を手間なく印刷可能だ(印刷は専用アプリ「Brother iPrint&Scan」から実行)

液晶ディスプレイのインタフェースはわかりやすくまとまっているので、初心者でもスムーズに利用できるはずだ

操作パネルは自由に角度を変えることができる

インタフェースとしては、ダイレクト印刷用のUSB端子とメモリーカードスロット、PC接続用のUSB端子、有線LAN端子が用意されている。もちろん、無線LAN対応だ。最近は有線LAN端子を省略するモデルが増えているが、2万円前後でこれだけインタフェースが充実しているモデルはなかなかない。

前面左側のカバーの下に、USBメモリーやメモリーカードを利用するためにインタフェースが用意されている

PCや有線ネットワークに接続する場合は、本体カバーの下にある端子にケーブルを接続する